北海道全域に生息しているという北きつね。北海道を旅していると見かけることもしばしばです。しかし、警戒心が強く、すぐに逃げてしまうため、あまりじっくりと見ることはできません。そんな北きつねが飼育されている牧場があると聞きました。北見市留辺蘂(るべしべ)町にある「北きつね牧場」です。
自然な姿の北きつねを間近で堪能
北きつね牧場は、旭川市と網走市を結んでいる国道39号線沿いにある「道の駅おんねゆ温泉」のちょうど裏側にあります。旭川方面から東に車を走らせると、左側に「道の駅おんねゆ温泉」がありますので、そこを越えたすぐの信号を左折(北方面)すればすぐに到着します。真っ赤な屋根に大きく「北きつね牧場」と書かれているので、すぐに見つけることができるでしょう。
わくわくしながら建物の中に入ると迎えてくれる笑顔の北きつねのぬいぐるみ。これだけでテンションが上がります。
▼迎え入れてくれる北きつねの等身大ぬいぐるみ
受付けを済ませ、さっそく北きつねの飼育スペースに。遠くから北きつねたちがこちらを見ています。敷地の中の北きつねたちを柵越しに見るような感じだろうと思っていたら、まったく柵などなし。隣を北きつねが通り過ぎていきます。
▼入口を入ると北きつねたちが出迎えてくれる
思っていた以上に北きつねとの距離が近いことにビックリ。寄ってくる北きつねもいれば逃げていく北きつねもいます。この北きつね牧場で客側が守らなければいけないルールは「エサをやらない」「触らない」の2つ。あとは近くまで行ってじっくり見るのもよし、遠くから眺めるのもよし。北きつねも客も自由な空間なのです。
▼カメラを2台持っていた筆者に興味津々の北きつね
季節によってさまざまな表情を見せてくれる
北きつね牧場がオープンしたのは1982年5月のこと。オーナーの「北海道を代表する動物を紹介したい」という思いから作られました。「北きつねの自然な姿を見てほしい」というコンセプトです。
▼換毛期を迎えている北きつね
意外と知られていないのが北きつねは木に登るのだということ。ただ頻繁に登るわけではないので、運が良ければ見られます。ちなみに筆者は残念ながら見られませんでした。
取材に訪れたのは5月下旬。ちょうど換毛期で冬毛が抜けているところでした。6月から7月ぐらいになると、冬毛がすべて抜け、すっきりと夏毛になり、11月ぐらいにはモフモフの冬毛になる北きつねたち。年間を通してその生態が見られるわけです。
現在(2017年5月末)、北きつね牧場には62頭の北きつねが飼育されています。あと、タヌキが3頭。広い飼育スペースで3頭のタヌキを見つけることができるでしょうか?
▼3頭だけ飼育されていモコモコでかわいらしいるタヌキ
北きつねたちの繁殖期は2月ぐらいで、毎年2~3頭の赤ちゃんが生まれているそう。今年も2頭生まれたそうで、まだ公開前でしたがお願いして見せていただきました。
▼今年(2017年)4月2日に生まれた赤ちゃん北きつね
その後、保護した子ぎつねが加わり、現在は3頭がガラス室で公開されています。動物は成長が早いので、今しか見られない子ぎつねならではのかわいらしさをぜひ見に訪れてください。
【動画】赤ちゃん北きつねのかわいらしさ
北きつねというと、誰もがすぐに口にするのがエキノコックスという寄生虫のこと。スタッフに聞いてみると「定期的に駆虫剤を与え管理しているので大丈夫ですよ。1982年にオープンして35年経ちますが、これまでスタッフ、お客さま共にエキノコックス症になった人はいません」と教えていただきました。
映画やドラマの影響で、北海道に行けば北きつねに会えると思っている人も少なくないのかもしれませんが、必ずしも会えるとは限りません。ただし、北きつね牧場は別。いつでも必ずかわいい北きつねたちに会うことが可能です。ちなみに「るーるるるるー」と言ってみましたが、寄ってきてはくれませんでした。