【剣淵町・東川町・旭川市・士別市・和寒町・猿払村】 2013年5月18日、札幌シネマフロンティア、シアターキノ、シネプレックス旭川にて北海道先行上映された映画「じんじん」。絵本がつなぐ親子の心の絆をテーマに、楽しく、そして少し切なく心に染みわたる同作品は、主に道内で撮影された。
そのメインロケ地として選ばれたのは、北海道のほぼ中央にある豊かな農村風景が広がる剣淵町。絵本の里として知られる同町は「絵本の里」として知られている。1988年、未来を担う子供たちの心豊かな成長を願い、絵本を中心に人の心が交わるまちづくりがスタートした町だ。(掲載写真は (C)2013『じんじん』製作委員会)
剣淵町の絵本の取り組みに感銘を受け映画製作がスタート
今回の映画を企画し主演を務めた俳優・大地康雄さんが2008年2月、知人に誘われ剣淵町の絵本の館を訪れたのだが、これが、映画「じんじん」誕生のきっかけとなった。農作業に精を出す町民が、仕事の合間をぬって絵本の館に顔を出し子供たちに読み聞かせをしていたその姿に、体が震えるほどの感動に包まれたそうだ。「この情景が語るものこそ、今、私たちが、この日本が語らなければならないものではないだろうか……」と感じ、映画製作プロジェクトへとつながっていった。2011年3月11日に発生した東日本大震災で改めて絵本の力が発揮されたエピソードも、映画作りを進める力となったという。
剣淵町の絵本の里活性化研究会の映画ロケ誘致の呼びかけもあり、大地さんは2011年夏に上川エリアをロケハン。2012年5月26日にクランクインし、同年8月4日まで剣淵町を中心に撮影が行われた。サブロケ地として道内からは東川町・旭川市・士別市・和寒町・猿払村が選ばれた。2013年2月に夕張市で開催されたゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013では、一般市民の観客が選ぶ「ファンタランド大賞」(作品賞)、開催中もっとも輝いてた人に贈られる「ファンタランド人物賞」(大地康雄)を獲得している。
映画「じんじん」あらすじ
主役は立石銀三郎(56)。宮城県・松島に住んで伝統芸能を伝える大道芸人だ。気ままな独り身で芸人仲間から愛されるお調子者である彼は、人の集まるところがあればどこへでも行き、誰とでも仲良くなる自由な生活を楽しみ、決まり事といえば、北海道で幼なじみが営む農場を年に一度手伝うことのみ。会社員だったときに別れた妻と幼かった娘にもそれっきり会っていない。
ある日、銀三郎の幼なじみが営む農場に農業研修で都会から女子高生4人がやって来て、ひとつ屋根の下で過ごすこととなる。出会いが最悪だったが、大自然に抱かれ、土地に触れ、剣淵町の優しい人々とふれあううちに次第に距離は縮まっていった。しかし、ただ一人、日下部彩香だけは心を開かない。やがて農業研修は終わりに近づき、一人だけ心を開かない彼女は、研修を担当する農家の青年にそっと悩みを打ち明けるのだった……。
映画製作にあたり、テーマに共感にした日本を代表する演技派キャストが集結。主演は大地康雄さん、心を開かない女子高生をミスFLASH2012グランプリの小松美咲さんが務める。核となる絵本制作には「旭山動物園日誌」などを生んだあべ弘士さんが参加した。映画「じんじん」から生まれたその絵本『クロコダイルとイルカ』は、2013年5月13日に発売されている。絵本を真ん中に置きながら、人のやさしさと親子の絆をテーマにした映画を、剣淵町の風景と共に是非お楽しみいただきたい。