美人の湯でつるつるに!鶴居村で創業100年迎えるホテル「TAITO」

釧路市に隣接する、総人口2500人ほどの鶴居村。タンチョウの見られるこの村に、今年2016年に創業100年の節目を迎えるホテルがある。有限会社泰都が運営する「鶴居ノーザンビレッジホテル TAITO(タイト)」だ。美人の湯として知られる天然温泉、豊かな自然を求めて全国・世界各地から訪れる宿泊者との交流に至るまで、TAITOならではの温かみと魅力がここでは感じられる。同ホテル四代目オーナーの和田正宏さんにその歩みを聞いた。

起源は1916年に創業した「和田旅館」

TAITOの歴史は1916年にさかのぼる。初代オーナーは、大正時代に鶴居(当時は舌辛村。現在の釧路市阿寒町の一部だった)中雪裡に入地し、商業、林業、宿泊業の三本柱で経営を行った。そのうち現在も続くのが宿泊業。道道53号線と道道1093号線との交点、現在のホクレンスタンドの斜め向かいに「和田旅館」として1916年10月に創業したのが始まりだ。分村した鶴居村としての歴史は1937年からになるため、村の歴史よりも長いことになる。

和田旅館はその後、「安泰に栄える」という意味を込め「泰都」に改称。当時の宿泊客は、商業関係者や、タンチョウの取材で来るメディア関係者が多かったという。同旅館は1998年に法人化。温泉掘削を開始し、深度1,200メートルで温泉湧出に成功した。そして2000年12月、馬の牧場だった現在地に新築移転し、天然温泉を有する北欧テイストのホテル「TAITO」として新たなスタートを切った。

美しいホテルで、美しくなる

ホテル「TAITO」は、北欧をイメージした、美しくもありかわいらしくも感じる外観。「TAITO」という名称は、偶然にもフィンランド語で「美しい」という意味があり、「日本で最も美しい村」でもある鶴居村に建つ「TAITO」にぴったりの名称といえる。

▼部屋は16室(うち和室4室)

▼レストラン「forest」の料理の例

同ホテルの魅力の一つは、「美人の湯」ともいわれるすべすべの天然温泉だ。特徴は、コーヒー色で泡の浮かぶお湯、強いつるつるの感触、芳香。その評価は高く、『レタスクラブ』(角川書店グループ)の泉質ランキングで全国2位に輝いた経歴を持つ。






同温泉は、湿原由来のアルカリ性の重曹泉で、正式には「ナトリウム-塩化物-炭酸水素塩泉(低張性アルカリ性高温泉)」。9.19というpH値は、化粧水と同じ作用をもたらすという。実際に入ると、芯からポカポカ温まり、角質化した皮膚を溶かしてすべすべの肌にしてくれる。43.5度の源泉は毎分400リットル以上が流れ出しており、この温泉を求めて訪れる人が後を絶たない。男女別の露天岩風呂があり、男湯には釜風呂が一台ある。

鶴居村温泉美人の湯の「温泉の素」は売店で販売しており、人気商品の一つという。また、温泉の水を使って作った石鹸も種類が豊富で人気が高い。いずれも、ホテルTAITOのオリジナルグッズ。温泉が気に入った方はお土産に入手してみては。

▼美人の湯「温泉の素」(1個130円。10個以上で119円、20個以上で108円)、美人の湯「温泉水の石けん」(ビューティー・ラベンダー・ローズ・レモン・ホエー・はちみつ・あずき:772円)




温泉の後は、鶴居村産の牛乳で作ったソフトクリームがおすすめ。牛乳の味がさっぱりと感じられ、バニラアイスの甘さが苦手な方にも喜ばれている。さらに、5月のゴールデンウイークから販売開始した「鶴居プリン」は濃厚な中にも牛乳本来のコクが感じられる一品だ。発売日から完売する日が続出!!






動画温泉リポート(和田知慧)

カメラマンが集うホテル

同ホテルオーナーの和田さんはプロカメラマンでもある。幼少期にタンチョウが好きになり、写真を始めた。現在ではネイチャーガイドも兼ねて写真撮影のツアーを行っている。訪れる場所は釧路湿原から太平洋岸、そして根室まで足をのばすこともある。

TAITOの宿泊客の大半は、和田さんのネイチャーガイドに参加するカメラマン。全国津々浦々、最近では中国などインバウンドの客も多くなっているという。多くはリピーターで、中にはこのツアーに30年以上参加し続けている常連もいる。

▼ホテル内には美しい写真が飾られ、まさにギャラリー

レストランの二階「ライブラリー1916」は、和田さんのプライベートスペース。20:00過ぎになると、ツアー参加者が一人一人と階段を上がってくる。お酒を傾けながら、写真のこと、鳥のことを、参加者と和田さんとが語らう交流の場となる。

ネイチャーガイドの参加者の中には親子連れの方もいるのだそう。「自然は人を丸くする」と和田さん。親子関係を良好にする上でも、自然を感じる体験ツアーは一役買っているようだ。

100歳を迎えるホテル「TAITO」では現在、和田さんの息子達がフロント、厨房それぞれを担当する。次代を担う若者たちの手によって、150年、200年に向けてどのような進化を遂げていくか、今後が楽しみである。

ホテルTAITO
所在地:阿寒郡鶴居村鶴居西1丁目
TEL:0154-64-3111
日帰り入浴:大人700円、中学生500円、小学生400円、小学生未満100円(平日11:00~22:00、日曜祝日は10:00~22:00、受付は21:30まで)
レストラン:ご朝食 07:00~09:00(宿泊者のみの利用)
ご昼食&ティータイム 11:30~14:00(ラストオーダー13:30)
ご夕食 17:00~20:00(ラストオーダー19:30)

公式ホームページ
一部写真提供:ホテルTAITO

2023年5月31日:料金、営業時間を更新しました。