新函館北斗駅近くに歴史あり!茅葺屋根の古建築は何なのか?

2016年3月に開業する北海道新幹線の当面の終着駅・新函館北斗駅。これまで渡島大野駅と呼ばれてきた同駅に通じる道路沿いには、茅葺屋根の古建築があるのをご存知でしょうか。いまや北海道ではなかなかお見掛けしない茅葺屋根は、周辺でも際立って目立つ存在です。通るたび気になって仕方ないこの建物、いったい何の建物なのでしょうか。

100年以上の歴史を持つ伝統的な農家住宅

この建物、名称は「安藤宅『まねきや』と呼びます。木造平屋建て、屋根が四方に傾斜する寄棟造(よせむねづくり)で、その屋根は茅葺になっています。明治時代の1910年築の和風農家住宅で、100年以上の歴史を持ちます。

これは函館近郊の農村地帯の農家住宅としては当時一般的なスタイルだったそうで、伝統的な農家住宅建築形式を今に伝える貴重な建物となっています。

名物雑貨店だった安藤宅「まねきや」

ここに住んだのは故・安藤正一氏。愛媛県で生まれた安藤氏は一旗あげるべく17歳で樺太に渡り、24歳で樺太南部の落合(現:ドリンスク)で、招き猫に由来する雑貨店「まねきや」を創業しました。

戦時中の1945年4月に北海道に引き揚げてからは、大野村(現:北斗市)で農家住宅を買い取って商店に改造、樺太時代と同名の雑貨店「まねきや」を開業しました。建物の大野本町側正面に、道路に少し突き出した入口を構えた構造になっています。

戦後から平成初期までの長期にわたり、渡島大野駅と大野本町とを結ぶ幹線道路沿いに位置する名物雑貨店として知られてきましたが、1990年に廃業してしまいました。現在は建物の外観のみ見学可能です(内覧不可)。

ちなみに、北海道新幹線・新函館北斗駅前には1933~1938年の5年間、カールレイモンのハム・ソーセージ生産拠点「大野工場」とミニ動物園があったという歴史も。新函館北斗駅周辺には明治時代の名残が随所にみられるのです。