行者大蒜(ギョウジャニンニク)

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 ヒトビロ、キトピロとも言うものの、それよりも「アイヌネギ」と言うのがメジャーな北海道を代表する山菜、それが行者大蒜、つまり「ギョウジャニンニク」であります。ちなみに、道産子にとって「アイヌネギ」が一番言いやすく使い慣れていることもあって、よく聞きますが、差別用語だと主張する方もいるため、ギョウジャニンニクに統一したいと思います。

 北海道では「アイヌネギ」とも呼ばれていることから分かるように、アイヌ民族の人たちが昔から薬草として、食べ、火に炙り煙を浴び、消毒し、さらには伝染病の神を追い払うなど大切に用いてきました。行者大蒜とは何者?そしてどんな効能があるの?今回は”山菜の王様”、ギョウジャニンニク特集です。

ギョウジャニンニクとは?

 ユリ科ネギ属の植物で、冷涼気候の地域にしか自生できないので本州の東北などで見られるものの、なんといっても北海道が国内最大の自生地です。時期は4月下旬~5月にかけての、ちょうど冬が終わり雪解け時に短い期間だけ生育します。群生場所の特徴ですが、特に山の斜面や水が綺麗な湿地帯などです。しかも成長がなまら遅く、3年、上質なものになるまでに5~8年はかかってしまいます。

 外見の特徴は、2枚葉、根元は白く、葉っぱは緑で、その間はきれいな紅色です。そして最大の特徴、それは強烈な臭み。ニンニクの強いにおいと辛味があるため、においが服・体に染み付いてしまうほど。ニンニク+ニラ÷2といったお味。ギョウジャニンニクというのは牧野富太郎さんが付けた名前。修行中の行者たちが食べたということに由来しているようです。

ギョウジャニンニクを食べてみる?

 近年のブームでその効能も知られるようになってきました。ギョウジャニンニクはビタミンが豊富で、疲労回復、血液さらさら、動脈硬化予防、食欲増進、生活習慣病予防と、健康にいい食べ物。これを食べたら風邪を引かなくなった……という人もいるほどです。

 北海道では特に郷土料理のジンギスカンに入れるとおいしいですね。また、炒め物、醤油付け、おひたし、てんぷらなど様々な料理法があります。また、ギョウジャニンニク入り餃子など、ギョウジャニンニクが入った、北海道発の食品も登場してきています。

 においはきついですが、においをできるだけ消したいなら、一緒に鶏卵、セロリの葉やパセリを食べたり、食べたあとには牛乳を口でぐちゃぐちゅして飲むか、ハーブティーを飲むかです。

ブームの火付け役

 ブームを作ったと言える人は北海道東海大学教授の西村さん。ギョウジャニンニクについて研究し、それについての本を幾つか出しました。さらにテレビでも取り上げられたりして、健康に良いとあって、北海道だけにとどまらず全国規模で人気になりました。

 ブームによって、これまで手軽に採れたギョウジャニンニクをなかなか見かけることが少なくなってきてしまいました。ただでさえ、成長が遅い植物で、全国あちこちにあるわけではありません。栽培しているものが多くなっている状況です。

※注意:似たもので毒のある草が一緒にはえていることも。シュロソウはギョウジャニンニクと違って紅色がない。
※実践編:ジンギスカンにはギョウジャニンニク。これセットで食すべし。
※必須:消臭もしっかりすべし。くっせぇ~と言われないために。