富良野といえば、やはり一般的に知られているのはラベンダー畑でしょう。大地を覆う紫色のラベンダー畑も素敵ですが、実は富良野では上質のワインが作られていることをご存じですか。
ワイン作りが盛んな北欧に似た気候風土と土地条件が、原料ぶどうの育成に適しているという富良野。富良野市ぶどう果樹研究所にお邪魔して、ふらのワインについていろいろ教えてもらいました。
50年近く前にはじまったワイン作り
▼赤い屋根が特徴的なワイナリー
富良野市でワイン作りがはじまったのは、1972(昭和47)年。日本にワインブームが巻き起こる、まだずっと前のことです。そもそものはじまりは、農業振興が目的でした。農家が栽培したワイン用原料ぶどうを市が買い取ることで、農業の安定を図ったのです。
▼歴代のワインを保管しているサンプル室
しかし、ワイン作りは順風満帆というわけにはいきませんでした。凍害による枝枯れ、長雨による裂果や病害、ハチ・ムクドリ・エゾシカ・ヒグマなどの食害などなど、生産者の苦闘が続きました。それでも品種改良や栽培技術の導入を重ねることで、良質なぶどうを育てることに成功し、また優れた醸造技術と品質管理を実現して、ふらのワインが誕生したのです。
▼樽で1年、瓶で4年熟成させるツバイゲルトレーベ
現在、ふらのワインは直営農場のほかに、18件の農家と契約しています。ぶどうも20種類以上となり、生産本数は年間25万本に上ります。心を込めて作られた上質なワインは評判も良く、多くのワイン愛好家を惹きつけています。
▼ワインを貯蔵するためのタンク
ちなみに富良野市ぶどう果樹研究所の工場内は、見学することも可能です。製造工程や熟成庫を見学したり、ワインの試飲を行ったりと、ワイン好きならきっと楽しめるはず。
▼たくさんのワイン樽が積み重なっている
たとえばワイン樽がたくさん置かれた熟成庫では、フレンチオークとアメリカンオークの2種類が使用されているそうです。フレンチオークは目が細かくて繊細な味になり、アメリカンオークは目が荒くて香味が豊かになるなど、ワインとの相性によって使い分けられているのです。
▼瓶詰めの工程も見学可能
ワイン作りの見学が終わったら、お待ちかね、試飲の時間です。ふらのワインにはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
食事に合うことが前提のふらのワイン
▼ワイナリーのエントランス
ワイナリーのエントランスから、地下に行く階段を降りれば熟成庫、2階へ行く階段を上れば試飲できるコーナーになっています。
▼広々とした試飲スペース
2階の試飲スペースは広々として、窓も大きく、開放的な空間です。目の前に広がる富良野の自然を眺めながら飲むワインは、もう最高の贅沢としか言いようがありません。それではここで、人気のあるワインをご紹介しましょう。
▼羆の晩酌
山ぶどうとセイベル種の交配品種から作られる赤ワインです。かわいいラベルですが、スパイシーな風味の辛口で、焼肉やジンギスカンによく合います。肉料理に負けないしっかりとした骨格で、樽の香りが華を添えます。
▼アイスワイン
また、希少なアイスワインも人気です。秋に収穫せず、冬の厳しい気候にさらされたぶどうは、水分が凍ります。その果汁の甘い部分だけを使って作るのが、アイスワインです。数が少ないので、抽選になることもあるのだそう。
▼2階の売店で目当てのワインを探して
ワイナリーを見学して、ワインを試飲したら、お待ちかねのショッピングタイムです。売店にずらりと揃ったふらのワインを前に、目移りすること必至です。
▼ふらのワインハウス
ふらのワインは、食事に合うことを前提に考えられています。そのため、甘口よりも辛口に寄せて作られたものが多いのも特徴です。そんなふらのワインと料理のマリアージュを楽しめるのが、同じ敷地内に建つふらのワインハウスです。
▼チーズフォンデュはやはり白と
このレストランで食べられるのは、チーズフォンデュや地元産牛肉の赤ワイン煮込み、エゾ鹿肉のステーキなど、どれもふらのワインと相性抜群の料理ばかり。創業38年目の人気レストランです。
日本人の生活にも、すっかり馴染んでいる感のあるワイン。最近では国産ワインも随分と注目されるようになりました。もしワインを購入するなら、ふらのワインを手に取ってみてください。一度飲めば、その味わいの虜になるかもしれませんよ。