北海道は、豚肉消費が国内で最も多い地です。今回は、そのうち特に有
名な地域「帯広(おびひろ)」の名物「豚丼(ぶたどん)」に焦点を当ててみ
たいと思います。帯広に行くと「豚丼」ののぼり・看板はあちこちにあっ
て、豚丼専門店や豚丼を扱っているお店が乱立状態です。
しかも全国展開
の吉野家が豚丼をメニューに取り入れたこともあって、全国で大注目です。最初に全国に知られるようになったのは、「どっちの料理ショー」という番組で。2003年には破れ、2004年に牛丼に勝つという星とり。(北海道の豚肉事情について詳細ページはこちら)
なぜ帯広で豚肉が?
こんな言葉があります。「開墾のはじめは豚と一つ鍋」。帯広の開拓の
始まりは、依田勉三率いる晩成社が入植した1883年というのは、よく知ら
れたこと。その依田勉三が述べた言葉ですが、その言葉の通り、帯広で豚
肉生産が行われるようになったのは、開拓時代からのことです。豚を4頭を
下帯広の地に連れてきて、養豚を開始しました。
以来、養豚は増加。手軽に調達できる豚肉だったのですが、最初は豚肉
を食べる人が少なく、栄養食として、そして力をつけるために食べられる
ことが多かったようです。そんな豚肉が、帯広の一般家庭に広く浸透する
ことになったきっかけは、「豚丼の誕生」でした。
元祖豚丼!
豚丼とは、豚肉をごはんの上にのせて丼ものにしたものですが、焼いて、
しょうゆタレをつけて……というパターンが多く見られます。豚丼の始
まりは1933年1月のことでした。その年、元祖豚丼のある店が誕生しました
(1955年以降豚丼専門店)。
函館出身の阿部秀司さんが創業した店で、寒い十勝ならではのメニュー
として、豚丼を思いつきました。しかも洋風の料理にすると一般庶民にな
かなか食べてもらえないということで、日本人の口に合う和風のものに。
ヒントは、うな丼だったそうです。だから味付けもしょうゆ風味。
そのお店は現在も「元祖豚丼のお店・ぱんちょう」(中国語の飯屋の意)
として帯広駅北口に立っています。店内は狭いのに、いまや観光名所なみ。
土日や祝祭日ともなれば、長蛇の列ができる一大名所になっているほどで
す(面白いのはメニューは梅・竹・松の順になっている点で、理由は創業者
の妻の名前がウメさんだから……)。
そして豚丼は一般家庭に広まった……
その後、ぱんちょうの豚丼は、街で話題になり、あちこちで豚丼を提供
する店が増えていきました。その豚丼史初期のお店の一つに「はげ天」が
あり、帯広の人で知らない人はいないほどの有名な老舗の一つになってい
ます。
帯広や近隣の十勝圏では、すっかり地域に根ざし、小さい頃から家庭で
豚丼を食べて育ち、月1~2回程度豚丼を……という人も多いそうです。
しかもそのほとんどは家庭で食べていて、「豚丼=家庭の味」になってい
ますね。以前に、十勝情報誌Chaiに、十勝OL100人豚丼アンケートがありま
したが、豚丼好きが9割を占めるという結果が出ています。
豚丼、最高です。大好きです。帯広に行った際には、六花亭もいいけど、
ぜひ名物豚丼も食べてみましょう。