国内では北海道限定で見られる鳥のひとつに「エトピリカ」があります。根室市、浜中町などでは、エトピリカをモチーフにしたかわいらしいマスコットを作っていたりします。みやげ物に最高です。
エトピリカとは?
エトピリカはチドリ目ウミスズメ科の海鳥です。体長40cm。全身は黒色ですが、大きなくちばしは橙色、足も橙色、頭部の上部・顔面は白色、東部の後ろには飾り羽がついていておしゃれです。黒に白にオレンジに、とにかくあざやかで派手な鳥です。
黒とオレンジの色合いと白い飾り羽から、別名は「花魁鳥(おいらんどり)」。英語では「Tufted Puffin」と表記します。日本語の「エトピリカ(etu-pirika)」という美しい名前は、実はアイヌ語「美しいくちばし」に由来します(ピリカが「美しい」に相当)。
動画(ムービー)
エトピリカの生息域は減少中
生息地は北太平洋沿岸の亜寒帯地域で、東部は北米カリフォルニアまで、西部は北海道までとなっています。北海道がエトピリカ生息域南限、西限といわれています。
国内では北海道東部の太平洋岸の島々や岬、つまり、ユルリ島、モユルリ島、大黒島、霧多布小島、友知島、湯沸岬、霧多布岬、アゼチの岬、落石岬が中心(市町村で言うと根室市、浜中町、厚岸町)ですが、すべてあわせても繁殖数は10つがい程度で、環境省レッドリスト絶滅危惧IA類(CR)、国内希少野生動植物種に指定されています(世界的にはIUCNレッドリスト(LC))。
かつて、上述の島々では数百羽生息・繁殖していたとされていました。たとえばモユルリ島では250羽いた1960年がピークとされており、1970年頃には100羽ほど、1990年頃に20羽程度になってしまいました。現在はモユルリ島、ユルリ島が繁殖地の中心になっています。
そんなわけで、いつの日か日本で見られなくなる可能性があります。環境省では、保護をするためにいろいろ手を焼いていますが、たとえば原因の一つとされるドブネズミ大量生息問題(エトピリカやその卵を食べているとされる)で、2006年以降駆除を実施しています。
エトピリカの生態
鳴き声はクルルルルルです。基本的に洋上で生活し、シシャモ、スケソウダラ、イカ、カニなどを、ときには海中に潜ってとらえエサとします。繁殖期は5~7月ごろ。その時期になると沿岸部に戻り、草のある岩礁に奥行き最大100m、直径最大20cm弱の穴を掘り、巣を作ります。