北海道で電車が走るのはどこ?JR北海道の電化区間と非電化区間を紹介

北海道では、鉄道列車のことを「汽車」、市電(路面電車)のことを「電車」と呼ぶことがあります。これは北海道の方言の一つとして紹介されることがあります。

しかし、今やその表現は厳密には正しくないとされます。鉄道の発展と時代の移り変わりに伴い、北海道の電化区間が広がったためです。そこで今回は、北海道の鉄道路線の電化区間と非電化区間の違いをご紹介します。(※本稿は初心者向け記事です)

方言としての「汽車」と「電車」

北海道、特に札幌では、「汽車」と鉄道列車として表現する人がいます。北海道は鉄道の歴史でもあります。鉄道駅を中心に街は発展してきました。その主役は蒸気機関車でした。いわゆる「汽車」です。電気で動く列車が存在しなかった時代から「汽車」とは鉄道のことを指す言葉として定着したのです。

一方で、札幌の場合は路面電車(市電)が電気を動力とする軌道として広まり、蒸気機関車や気動車を中心とする鉄道路線に対して、電気で動く列車といえば路面電車を指す言葉として「電車」と区別するようになりました。

電車と呼んでよいのはどこか

電車と呼んでよいのはどの区間でしょうか。北海道全域が電車というわけではないのはご承知のとおりです。北海道は非電化区間のほうが割合多い地域だからです。

電気を動力とする列車が電車と呼ばれるにふさわしいものです。見た目には、線路の上に架線が張られていれば電化区間です。電車であれば車両の上に設けられたパンタグラフを通して電気を受け、走ることができます。(※初心者にもわかりやすく説明するため、市電、地下鉄、ハイブリッド型気動車車両については今回は説明を省いています)

市電などを除けば、札幌近郊と函館近郊は基本的に電車です。在来線と新幹線それぞれに電化区間があります。詳しく見ていきましょう。

北海道新幹線の全線

新幹線列車は当然電気で動きます。JR北海道管轄は青森県の一部も受け持っていて、新青森駅はJR東日本とJR北海道の共同使用駅となっています。新青森駅から北側、奥津軽いまべつ駅、青函トンネルを経て木古内駅、新函館北斗駅まで(今後開通となる札幌駅まで)全線電化区間となっています。

海峡線、道南いさりび鉄道線、函館本線新函館北斗駅まで

在来線では、もともと青函トンネルは電化区間ですし、函館から青森の間は電化区間となっています。かつて特急スーパー白鳥、白鳥は電車として運転されていました。

在来線では、青森県蟹田にある北海道新幹線との接続部分となる新中小国信号場から中小国駅までがJR北海道の管轄です(同駅がJR東日本との境界駅)。

北海道側では木古内駅から五稜郭駅(実際の運用は函館駅まで)の第三セクター道南いさりび鉄道線も全線電化区間です。ただし、旅客運転はすべて気動車で、貨物列車のみ電車機関車によって運転されています。

函館本線では、函館駅から北に向かい、北海道新幹線と接続する新函館北斗駅までが、北海道新幹線開業に伴って電化区間になりました。函館と新函館北斗駅の間は、快速はこだてライナーが電車運転していますが、それ以外の大沼・森方面まで直通する在来線は気動車車両を使っています。

道南ではここまでしか電化されていません。次に電化されているのは札幌周辺になります。そこまで電化区間は途切れている状態です。

札幌近郊の電化区間

札幌近郊はほぼほぼ電化区間です。室蘭本線・千歳線は、室蘭駅から東室蘭駅、苫小牧駅を経て白石駅まで(実際の運用は札幌駅まで)が電化区間です。千歳線の支線である新千歳空港線(南千歳駅から新千歳空港駅)も電化区間です。

札沼線(学園都市線)は、2020年5月に非電化区間廃止により全線電化区間となりました。もともと全線非電化区間でしたが、2012年6月に北海道医療大学駅までが電化区間になり、電車が乗り入れるようになりました。

函館本線では、小樽駅と構内の引き込み線に始まり、札幌駅、岩見沢駅、滝川駅を経て旭川駅までが電化区間です。

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実はさらにその先、新旭川駅の先まで電化区間となっています。なぜかというと、新旭川駅と永山駅の間に旭川運転所という電車の車庫があり、そこに電車を運転する必要があるからです。ここが、日本の電化区間の最北端かつ最東端となっています。

札幌では電車も気動車も見られる

これ以外、特に道北と道東は非電化区間ばかりなので電車が運転されることはなく、電車と呼ぶのはふさわしくありません。気動車はどこでも走れますが、電車は電化区間しか走ることができません。

札幌近郊型の普通列車・快速列車で使用する車両は、始発・終発の両方が電化区間内に収まるため、電車車両が用いられています。しかし、小樽より先の然別に向かう列車など、まれに気動車運用があります。

特急列車も、札幌と旭川を結ぶ特急カムイ、ライラック、札幌と室蘭を結ぶ特急すずらんは、電化区間しか走らないので電車特急です。

一方、札幌発着ですが、電化区間よりも先まで運転する特急は気動車運転になります。旭川から先の稚内、網走まで運転する特急宗谷、特急オホーツク、千歳線から分岐して石勝線を経由する特急とかち、おおぞら、東室蘭駅から先の函館まで運転する特急北斗はすべて気動車運転になります。

利用者が少ない区間では、電化区間なのに気動車運転する区間もあります。室蘭線の苫小牧から室蘭までは電化区間ですが、普通列車は気動車の運用が見られます。

最近は車両外観はおしゃれになってきているので、見た目で見分けるのが難しく感じるかもしれません。鉄道ファンは塗色などでも見分けることができますが、電車か気動車か迷ったら、車両にパンタグラフがあるかどうかで電車かどうかを見分けるのが良いと思います。不安であれば、列車と呼ぶと間違いないです。