とても人懐っこい馬たちに出会える牧場―芽室町「剣山どさんこ牧」

広大な自然に、のんびりと草を食む馬たち。北海道内では、至るところで見かける風景です。しかし芽室町にある「剣山どさんこ牧」が他と異なるのは、自然の地形を利用して馬を放牧する「牧」というスタイルを採用しているところ。しかもここの馬たちは、とても人懐っこいんです。かわいい馬たちが生き生きと暮らす場所へ、お邪魔してみました。

どさんこ牧の馬が人懐っこい理由とは

▼林道に立つ看板が目印

剣山どさんこ牧(以下どさんこ牧)の広さは、約100ヘクタール。ちょうどディズニーランド(49ヘクタール)とディズニーシー(51ヘクタール)を足した広さだと言えば、その規模がお分かりいただけるでしょう。現在60~70頭の馬が自然に近い状態で放牧され、毎年20頭ほどの仔馬が生まれています。どさんこ牧は馬の生産牧場で、生まれた仔馬は1~2年後に乗用馬として全国に出荷されていきます。

▼この光景だけでも見る価値あり

オーナーである1936年生まれの川原弘之さんは、1992年に農業改良普及員を退職後に「牧長」としてどさんこ牧をスタートさせました。現在もひとりで業務全般を管理運営しているというから驚きです。

▼川原弘之さん(左)と、どさんこの乗馬施設を運営している中村三保子さん

実は、どさんこ牧にいるのはすべて「道産子(どさんこ)」という種類の馬たちです。体重が約500kgもあるサラブレッドより、ひと回り小さい体重350kgほどのどさんこは、埴輪の時代から日本で飼われていた「日本在来馬」という品種です。北海道には江戸時代に持ち込まれ、開拓時代には農耕や荷役で活躍しました。ところが時代の変化と共に、道産子の頭数は激減してしまいます。

▼古来より日本人と深く関わってきた道産子

実はどさんこ牧は、そんな道産子を保護するために設立されたのです。川原さんは、健康で頑丈な道産子本来の優れた資質を残しながら、乗馬という新たな活躍の場を築くため、人と仲良くやっていける温和な性格にしていこうと考えました。選抜と繁殖の作業は15年3世代以上にわたって繰り返され、その結果、人懐っこい馬たちばかりの希有な牧場が誕生したというわけです。

どさんこ牧で体験できること

近年、川原さんの後継者が不在のため、どさんこ牧の存続が懸念されてきたといいます。そこで川原さんを慕い、どさんこ牧を愛する仲間たちが、2018年6月から観光客を迎える取り組みを始めています。そのひとつが、触れ合い体験です。

▼かわいい馬たちと触れ合える

1日1グループ限定で、専任ガイドが付いて案内してくれます。これだけのロケーションで馬たちと気持ちを通じ合える環境は、なかなかありません。絶景ポイントにテーブルとイスを並べ、馬を眺めながら食事を楽しむ体験観光(料金不定)も可能です。

▼心まで雄大になる乗馬ツアー(写真提供:剣山どさんこ牧)

また、乗馬ツアーは1時間(一人1万円)と2時間(一人2万円)のコースがあります。小柄な道産子は、初心者でも乗りやすい品種。ゆっくりと牧草地や木立の中を巡り、馬と呼吸を合わせ、北海道ならではの思い出をつくってみてはいかがでしょう。

▼すっかりハイジのような気分に

また、施設内には自然の大木を活かした長いロープのブランコもあります。思いっきり体を動かして、ブランコに揺られながら新鮮な空気を吸い込んでください。他にもフリスビーを投げて競技する、ディスクゴルフの公式コースも敷地内にあります。

▼ディスクゴルフの公式コースも(写真提供:剣山どさんこ牧)

さらには、道産子の活躍の場を増やそうと、川原さんは流鏑馬をスポーツ競技に転化させました。実は昔から神事として行われてきた流鏑馬には、道産子が使用されていたのです。2002年には、どさんこ牧で日本初の流鏑馬競技会を開催。現在では日本各地で大会が開かれ、2017年10月にはどさんこ牧にて初の国際大会も開催されました。

▼様式美とダイナミズムが混在する流鏑馬(写真提供:剣山どさんこ牧)

最近では、帯広にあるホテルヌプカ主催で、どさんこ牧へのツアー(一人5,000円)も行われています。積雪する12月上旬まではツアー可能の見込みだということなので、興味のある人はぜひ問い合わせてみてください。

約26年もの歴史がありながら、観光地としては全く知られていなかったどさんこ牧。有志たちによって、今後はより本格的な観光プログラムが運営されていく予定です。どさんこ牧の馬は、仔馬の頃から人に甘えたがる性格。馬といえば時に気性の荒さを見せるものだと思っていたら、そのかわいらしさにノックアウトされること間違いなしです。

【動画】剣山どさんこ牧の様子(モデル:染矢優)

剣山どさんこ牧(つるぎざんどさんこまき)
所在地:北海道河西郡芽室町上美生12線35番地
電話:090-1307-0099(ナチュラルホースパーク:永田)
定休日:予約のみ
営業時間:ご要望に沿います
公式サイト
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取材協力

ナチュラルホースパーク
電話:090-1307-0099(永田)
情報ページ
ホテルヌプカ
所在地:北海道帯広市西2条南10丁目20-3
電話:0155-20-2600
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