小樽のB級グルメといえば、最近ではあんかけ焼きそばが有名です。全国放送のテレビ番組でも取り上げられ、雑誌で特集されることも。しかし、そんなあんかけ焼きそばとは別に、小樽市民に昔から愛されてきた焼きそばがあるのをご存じでしょうか。どんな焼きそば? 「どんど」の焼きそばです。ここまで読んだ多くの小樽市民が「あぁ、あの店ね!」と膝を打っているに違いありません。
調味料で自分好みの味にカスタマイズ
▼長崎屋の地下にある店舗
どんどは、JR小樽駅のすぐ近く、長崎屋の地下一階にあるお店です。長崎屋がオープンしたのは1975(昭和50)年の4月。その当初から、どんども営業してきました。実に40年以上、ずっと変わらず先代からの味を保ってきたといいます。
▼二代目社長の井上俊明さん
メニューはいたってシンプル。焼きそばの量によって「並」300円「大盛」320円「ジャンボ」350円「スーパージャンボ」450円と値段が設定されています。ここに玉子をトッピングするならプラス50円、チャーシューのトッピングもプラス50円です。
「メニューに並玉子チャーシューとか書いてるから、ラーメンと勘違いするお客さんもいるんだけど、うちは焼きそば屋ですよー、ってね」と、二代目の井上さん。その並玉子チャーシューを注文して実際に出てきたのが、これです。
▼並玉子チャーシュー(400円)
本当に、ラーメンに入っていそうなチャーシューが2枚乗っています。黄身がとろけそうな目玉焼き、横に添えられた紅しょうがも、食欲をそそります。スープ付きなのも、うれしいじゃありませんか。
「うちの焼きそばは薄味なのが特徴。カウンターにある調味料を使って、お客さんの好みに味つけしてもらってるんです」(井上さん)
▼手前左から、ソース、酢、ラー油
そのまま食べると、うん、確かにあっさりしています。これで十分においしいと思う人もいるでしょうが、せっかくだから井上さんの推奨する食べ方を教えてもらいました。
「ソースをちょろっとかけて、ラー油は多め、最後に酢をさらっと回すのが好きですね」(井上さん)
その順番で試してみたところ、味が徐々に変化していきます。ソースを足してこってり、たっぷりのラー油でさらにこってりピリ辛、最後の酢が爽やかに全体をまとめてくれます。これは、おいしい、そして楽しい!
途切れることなく訪れるお客さん
ちなみになるべく営業の邪魔にならないよう、取材時は夕方4時過ぎという中途半端な時間に訪れたのですが、お客さんが途切れることはありませんでした。
▼店内は厨房をぐるり囲むカウンター席のみ
長崎屋で買い物をしたついでにテイクアウトしていくお客さんも多いようで、鉄板の上では常にジュージューと景気のいい音が響いています。
▼焼きそばが手際よく作られていく
メニューのジャンボは並2つ分、スーパージャンボは並3つ分の麺が使われているそうですが、ジャンボをぺろりと平らげる女性のお客さんも少なくないのだとか。おいしいのはもちろん、いろいろな調味料で味変しながら食べる楽しさがあるから、ついたくさん食べたくなる気持ちもよく分かります。
小樽市民の日常に当たり前のように存在して、みんなが「おいしいね」と笑顔になれるどんどの焼きそば。部活帰りの学生たちのお腹を満たすこともあれば、忙しいお母さんが家族の夕食用にテイクアウトすることもあるでしょう。今日も長崎屋の地下で、鉄板がジュージューと音を上げているはずです。
所在地:北海道小樽市稲穂2丁目20番1号 小樽駅前サンポートビル長崎屋地下一階
電話:0134-33-1119
営業時間:10時~19時(ラストオーダー18時45分頃)
定休日:元日のみ