関東でも大人気!木古内町「コッペん道土」に行列ができる理由

道の駅みそぎの郷きこないの中にある小さなパン屋さん「コッペん道土(こっぺんどっと)」が評判を呼んでいます。小さなカウンターだけのパン屋さんですが、道の駅と同じ2016年1月の開店以来「行列のできるパン屋さん」として評判を呼んでおり、今では関東にも店舗を構える堂々の人気店です。

▼コッペん道土(こっぺんどっと)

看板商品は「ぱくぱく塩パン」。道産小麦「春よ恋」にライ麦を配合して歯切れの良さを実現した生地は、外はカリカリ、中はモチモチのクセになる食感。かむと北海道産バターがじゅわっと染み出します。天保2(1831)年から続く神事「みそぎ祭り」が行われる津軽海峡の海水から作った「みそぎの塩」のトッピングが、小麦のうまみを引き立てます。

▼ぱくぱく塩パン

「ぱくぱく塩パン」には、ほかにも特徴があります。とても小さく、およそ2口くらいで食べられるのです。道の駅という場所柄もあり、車の中でも食べやすいようにという配慮からですが、もうひとつの理由もあります。

同店を運営するK. DEPART代表取締役の近藤舞子さんは、開店準備を進めている頃に塩パンにはまっていました。ですが、ほとんどの塩パンはそこそこ大きく、かじるとパンがほどけて伸びていきました。そこで、「2口くらいで食べられる塩パンがあったらいいのでは」と小さな塩パンを考案したのです。商品名の「ぱくぱく塩パン」には、「2口でパクパクと食べられる」「パクパクと何個も食べられる」という2つの意味を込めています。

小さな厨房ならではの逆転の発想

▼ぱくぱく塩パン明太子

コッペん道土のパンづくりはスタンダードです。北海道産のバターや小麦を使うなど素材にはこだわりを見せますが、それ以外に特別な技法は使っていません。近藤さんは人気の理由を「すべてお店で手作りして常に焼き立てを提供しているところが喜ばれているのでは」と分析。ぱくぱく塩パンだけで、実に1日2000~3000個も焼き上げており、常に作り続け、常に焼き続けています。

どんなに設備が整っているかと思いきや、バックヤードは驚くほど狭いです。「本当にここで作っているんですか?」と疑ったお客さんもいるとか。ですが、カウンターの横に回れば誰でも厨房が一目瞭然に見渡せます。本当にびっくりするほど狭い店内と小さな焼き窯で、少量ずつ焼き上げているのです。

▼一度に焼き上げる量は決して多くない

一般的なパン業界の常識では、これほど狭いバックヤードに店舗併設の製パンスペースを設けるのはあり得ません。ですが、ここに「コッペん道土」の特異性があります。

実は近藤さんをはじめ、製パンを専門に学んできた職人はあまりいないというのです。その代わり、ひたすらパンが好きなスタッフばかりが集まっています。製パン業界の常識にとらわれないので、狭い厨房でも「家庭の台所よりは充実している」ととらえてパンづくりに専念できます。そして、少量ずつしか焼き上げられないからこそ、常に作りたて・焼きたてを提供できるのです。逆転の発想がそこにありました。

▼ぱくぱくウインナー

コッペパンが隠れた人気メニュー

▼店頭にはコッペパンも並ぶ

オープン当初は、さまざまな具材をはさんだコッペパンをメインの商品にしようと考えていました。実は近藤さんは、同じ道の駅内にあるレストラン「どうなんde’s(どうなんデス)」のオーナーでもあります。同レストランは、世界の料理人1000人に選出された日本を代表するイタリアンのシェフ・奥田正行さんの弟子がいる人気店です。

▼焼きそばパン

ただ、レストランとしては少々敷居が高いと感じられてしまうかもしれません。そこで、レストランで作った惣菜をコッペパンにはさみ、まずは味を知ってもらおうと考えました。ふたを開けてみるとぱくぱく塩パンが爆発的にヒットしたため、陰に隠れた形になってはいますが、今でも一日に3~4種類はさまざまな総菜をはさんだコッペパンを販売しています。特別な総菜をはさんだスペシャル限定品が登場することもあるので、立ち寄った際はぜひチェックしてください。

パンを通して木古内に住む人を増やしたい

▼開店3周年記念商品「みそぎの塩メロン」

近藤さんは、道の駅開設に先だって2015年に木古内町が実施した、道の駅併設のレストラン運営者の公募に手を挙げました。誰かがやらなければならないことだと思ったからです。縁あって木古内町に嫁いできた自分の使命なのかもしれないとも感じたそうです。

レストランにパン屋を併設するのは、近藤さんのアイデアでした。その読みはピタリと当たり、平日は地元・木古内町の人々、土日は函館市や北斗市から訪れる人でにぎわう、押しも押されもせぬ人気店に成長しました。

2016年12月には、初めての支店「市が尾店」を横浜市青葉区に出店。さらに2018年3月には関東2店舗目となる「アピタテラス横浜綱島店」を横浜市港北区に開店。どちらも評判の人気店です。関東方面では百貨店の催事にも積極的に参加しています。

▼「まずは木古内町を知ってもらいたい」と話す近藤舞子さん

本州進出の理由は、「事業を拡大したいから」ではありません。近藤さんの狙いはあくまでも、「木古内を訪れる人を増やすこと」「木古内で雇用を増やすこと」のふたつにあります。パンを通して木古内の食材を関東でPRし、まずは木古内を知ってもらう。そして、「木古内っていいよね」「いつか行ってみたいね」「住んでみたいね」「木古内で働きたいね」と思ってくれる人をひとりでも増やしたいというのが最終的な目的だといいます。

横浜の店舗で働く現地採用のスタッフにも必ず木古内に研修に来てもらっています。木古内の街並みや特徴を肌で感じてもらい、木古内をお客さんに伝える役割も担って欲しいと思うからです。消滅可能性都市全国第5位※の小さな町にある小さなパン屋さん「コッペん道土」の大きな挑戦は続きます。

※2014年に日本創生会議が発表

コッペん道土
所在地:木古内町字本町338-14 道の駅みそぎの郷きこない内
電話:01392-6-7210(どうなんde’s・コッペん道土 共通)
営業時間:10時~17時(売り切れ次第終了)
定休日:不定休、年末年始

(2022年11月24日:店舗情報を更新しました。)