退役した5機の航空機・ヘリコプターがずらり―「美幌航空公園」

【美幌町】オホーツク管内美幌町は、実はスカイスポーツの街としての一面も持つ。かつて戦時下においては、日照率が高いことから、旧海軍美幌航空基地が二つ、美幌町と大空町に存在していた。現在は美幌町の旧美幌第一航空基地が陸上自衛隊美幌駐屯地、大空町の旧美幌第二航空基地が女満別空港として存続している。

そのような経緯があるため、美幌町に「美幌航空公園」があり、滑空場、戦闘機が展示されているとしても少しも不思議ではない。「美幌航空公園」がある網走川堤防の上には、5機の小型航空機・ヘリコプターが並ぶ。航空機ファンなら生唾ものなのかもしれない。具体的にはどのような航空機が屋外展示されているのだろうか。向かって右手から順に、以下の航空機が展示されている。




V-44ヘリコプター(愛称 ほうおう)
アメリカ・バートル社製の大型ヘリコプター「空飛ぶバナナ」で、1958年に陸上自衛隊が救難部隊および輸送用等に2機購入した。そのうち1号機が展示されている。当時は人員・補給品の輸送、ヘリボーン空輸や各種の災害救助活動等に活躍していた。また、1959年秋に、伊勢湾台風時に平成天皇が状況視察のためお乗りになった由緒あるもの。全長26.3m、全高4.9m、最高速度204km/h、乗員2名・搭載人員21名

ベルHU-1Bヘリ
1963年から陸上自衛隊が導入開始したタービンエンジンを搭載したヘリコプター。他用途の能力を有し、1972年までに合計90機が導入された。全長14.66m、最高速度204km/h、乗員2名・搭載人員10名

T-33Aジェット練習機
F-80シューティングスター戦闘機を練習機に改造したもので、世界各国のジェット練習機として使用された。日本では航空自衛隊のパイロット養成のため、210機を国産、全てのジェットパイロットが最初に体験するジェット練習機として使用された。この387号機は、1962年10月に運用開始、1990年12月の最終飛行まで、小松基地、岩国基地、浜松基地、千歳基地で延べ約1万人が搭乗し、総飛行時間は7560時間の訓練を重ねた。全幅11.9m、全高3.6m、全長11.5m、最高速度960km/h

T-6プロペラ練習機(愛称 まつかぜ)
アメリカ・ノースアメリカン社製の練習専用機。各国で中級操縦教育用に採用され、アメリカではこの機体を使用した編隊飛行チームが存在するという。全長8.8m、全高3.8m、全幅12.8m、最高速度341km/h、乗員2名

T-34Aメンター 初等練習機
アメリカ・ビーチクラフト社と富士重工が提携して国産化、陸海空自衛隊の共通の初等練習機として採用され、自衛隊のパイロットが一番最初に初飛行を行う機体である。全幅10m、全長7.9m、全高2.9m、最高速度340km/h、乗員2名


このように見てみると、戦時下に使われていた航空機ではなく、自衛隊で訓練用に使われた練習機やヘリコプターが引退したあと展示されていることがわかる。戦時下は海軍基地があり、その後自衛隊駐屯地となった歴史がある美幌町ならではの展示といえる。野ざらしになっており腐食も見られるが、興味のある方は行ってみてはいかが。入場は無料、見学自由だ。

美幌航空公園・美幌滑空場
美幌町昭野
通年