帯広競馬場のばんえい競馬については、北海道ファンマガジンでも過去に何度か取り上げてきました。
世界唯一のばんえい競馬とグルメを贅沢に楽しめる!? 「帯広競馬場」
世界唯一!大迫力!帯広競馬場で開催される「ばんえい競馬」とは?
一般の競馬とばんえい競馬の違いなど、基本的な知識に関してはそちらをご覧いただくとして、今回ご紹介したいのは、ばんえい競馬にまつわるエトセトラ。レースはもちろん楽しいけどそれだけじゃない、帯広競馬場の魅力について探っていきましょう。
神々しいまでの馬たちの姿
▼帯広競馬場の朝は早い
夜もまだ明けきらないという時間、帯広競馬場が動きはじめます。毎日の日課である調教を行うためです。寒い朝などは馬の吐く息も白く、調教が進むにつれて汗が蒸気となって馬の体から立ち上がり、なんとも幻想的な風景をつくり出します。
▼少しずつ、馬の体も目覚めていく
朝調教の主な内容は、ずり曳き運動と攻め馬です。まず、ずり曳き運動とは1頭に1時間ほどかけて、軽めのソリをゆっくり引かせ、歩かせます。こうすることで、ばん馬にとっていちばん大切な心肺能力を高めていくのです。
▼1時間じっくりと時間をかける
レースが近くなると、攻め馬と呼ばれる調教を付けます。本番さながらの障害がある練習走路という場所で、実際に騎手が手綱を持って仕上げの調教をしていくのです。
▼レースに向けた攻め馬という調教
完全に夜が明けて、朝日に輝く馬の姿もまた見事です。毛艶の良さに、思わず見惚れてしまいます。
▼バックショットも美しい
こうした朝調教の様子は、一般の客にも公開されています。有料の「朝調教見学ツアー」というものがあるので、気になった人はぜひ公式サイトから実施日などをチェックしてみてください。
厩舎はひとつのコミュニティ
▼たくさんの人が働いている帯広競馬場
こんなに朝が早いと、調教師は出勤してくるのも大変そうと思うかもしれません。実は帯広競馬場の西側には、面積約6万平方メートルもの厩舎地区が広がっています。そこには30の厩舎があり、調教師、騎手、厩務員、そしてその家族が、500頭を越えるばん馬と共に暮らしているのです。
▼いくつもの厩舎棟が立ち並ぶ
馬の衛生管理や競馬の公正確保などの理由から、厩舎地区への関係者以外の立ち入りは厳しく制限されています。レース開催日ともなると騎手らが外出することも禁じられるため、ここで暮らしが成り立つよう、売店や食堂、共同浴場もあります。子どもたちはここから学校に通うというから、まさにひとつのコミュニティとなっているわけです。
▼もちろん馬もコミュニティの一員
今回は特別に厩舎にお邪魔して、裏でばんえい競馬を支える人たちの仕事ぶりを見学させてもらいました。
▼まずは獣医師さんのお仕事から
獣医師の仕事は、蹄や歯の病気、腹痛や風邪など一般診療を行います。競走馬のワクチン接種を行ったり、日々の健康管理を専門家の目線で行うので、厩舎関係者の心強い味方です。
▼大きなばん馬には点滴もたくさん必要
また、蹄鉄を作成し、ばん馬のヒヅメに蹄鉄を打つ装蹄師の仕事も重要です。
▼熱い蹄鉄を打って作成する
競走馬にとって蹄鉄は、自らの力を最大限に発揮するために大切な部分。特に重量のあるばん馬となると、その土台となる蹄鉄に狂いがあれば、ケガや病気の元になりかねません。
▼それぞれの馬に合った蹄鉄を調節していく
装蹄師は、長年培った技術を駆使してそれぞれの馬に合わせて微調整していかなければならない、とても繊細な仕事なのです。
▼ばん馬のヒヅメに蹄鉄を打つ
毎日のトレーニングは、調教師と、調教師の管理のもと厩務員が努めます。また、レースに出る馬を担当する厩務員は、出走時刻の約2時間も前から馬の手入れをはじめます。
▼調教師、厩務員によって丁寧に手入れ
ファンの目を楽しませるために、時にはタテガミを三つ編みにするのも、調教師や厩務員の仕事なのだそうです。
▼最後に、騎手の仕事についても
競馬場といえば、忘れてはならないのが花形である騎手の存在です。当日の馬場状況や馬のコンディション、メンバーなどをみて、その馬の最大限の力を引き出します。実力勝負の厳しい世界です。この騎手の駆け引きがばんえい競馬のレースの魅力の一つです。
▼いろいろな人に支えられて
今回ご紹介した厩舎地区の様子やそこで働く人々は、もちろん全体のごく一部に過ぎません。もっと細かく、さまざまな役割を担っている人が、帯広競馬場には大勢いらっしゃいます。興味を持った人は、こちらも朝調教ツアー同様、バックヤードツアーを行っているので、公式サイトでチェックしてみてください。競馬はやらないという人でも、大きなばん馬の迫力は一見の価値ありですよ。