アカエゾマツとクロエゾマツを合わせて「北海道の木」に指定されているエゾマツ。北海道全域に分布している針葉樹で、北海道を代表する樹木の一つです。クロエゾマツは最高200年程度とされていますが、中には300年以上の樹齢をもつものもあります。
そんな『老木』ともいうべきクロエゾマツの輪切りを、道の駅スタープラザ芦別で見ることができます。
1936年伐採、樹齢304年
道の駅スタープラザ芦別館内に入ってすぐ左手に見えるのがクロエゾマツ年輪標本板です。高さは身長以上という巨大な木です。太っ!と声をあげてしまいそうなほどの大きさです。
この巨木は、上芦別営林署管内、芦別市・惣顔真布沢の国有林にあった木で、1936年1月に伐採されました。その後の調べで、直径(胸高直径)は1.6m、樹高36m、樹齢は304年を数えることが判明。立木材積は26m3という計算になりました。
クロエゾマツは古くから木材として使われることが多く、今ではこれほどの巨木を見ることは難しくなりました。
江戸時代初期にさかのぼる
伐採した1936年から樹齢304年をさかのぼると1632年(寛永9年)頃になります。当時の日本はまだ江戸時代の初期頃で、江戸幕府の第2代将軍・徳川秀忠が亡くなった時期にあたります。
芦別の年輪標本板には、樽前山噴火や伊能忠敬の北海道測量、蝦夷地の北海道への改称など、節目となる出来事が記されています。
1636年 日光東照社大造営完成
1673年 延宝・元禄年間檜山のヒバを伐採し、江差港から江戸・大阪に移出
1702年 赤穂浪士の吉良邸討入り
1739年 樽前山大噴火
1776年 アメリカ独立宣言公布
1800年 伊能忠敬蝦夷地を測量し地図を作る
1869年 蝦夷地を北海道に改称
このクロエゾマツ年輪標本板は、伐採直後から芦別を離れ、ながく札幌市の北海道森林管理局のロビーに展示されていたといいます。2004年3月31日に芦別市に寄贈されることとなり、68年ぶりに里帰り。既にオープンして10年経っていた道の駅スタープラザ芦別ロビーに展示されることとなりました。
2014年はその里帰りから10年。芦別の山奥で300年以上の歴史を刻んできたクロエゾマツの巨木。いつでも自由に見ることができますので、ふらっと立ち寄った際は忘れずにご覧ください。
※本稿は2014年12月に掲載したものの再編集版です。