オホーツク観光大使・ラウフェンくかです! 私の故郷斜里町には、「知床八景」と呼ばれる知床を代表する八つの景観があります。
その中の一つにもなっているのが知床峠。定番の観光スポットとして人気のある場所ですが、近年は北海道屈指の星空スポットとしても注目を浴びています。
まずは知床峠がどんな場所なのかを、ご紹介したいと思います。
知床峠とは
知床峠は知床半島の斜里町と羅臼町を結ぶ知床横断道路が通る、標高738mの峠です。
この区間は気候の変化が激しく、雪崩や崖崩れなども起こり道路管理に厳しい条件となっています。そのため、例年10月下旬から4月下旬頃まで、羅臼町湯ノ沢から斜里町字岩尾別道道交差点まで23.8kmの区間が冬期通行止めとなります。冬季全面通行止めになる国道は道内唯一で、日本で一番開通期間が短い国道でもあるんです。(知床横断道路についてはこちらも参照)
道路自体も1963年(昭和38年)から膨大な時間と巨額の費用をかけて建設され、1980年(昭和55年)の開通までなんと18年もかかっていることから、本当に厳しい自然環境であることがわかりますね……!
▼峠の石碑に刻まれた文面
▼油圧ショベルとロータリー除雪車による除雪作業
知床峠の見どころ
知床峠は駐車場やトイレが完備されていて、眼前にそびえる羅臼岳やハイマツの樹海、そして天気が良ければ北方領土の国後島を望むこともできます。
7月下旬頃でもまだ残雪を見ることができるのも特徴で、秋は紅葉の名所としても知られています。
▼峠から羅臼側に下った標高650m地点の通称”見返り坂”から見た紅葉
運が良ければ、雲海と朝日を同時に楽しむこともできるので、道路の開通期間は常に絶景が満載と言えるでしょう。
▼朝日と雲海(国後島を望む)
知床横断道路が開通する前の4月上旬には、毎年「知床雪壁ウォーク」というイベントも開催されています。3月からはじまる道路の除雪作業によって、道の両脇に高い雪の壁(3m~8m程度)ができるので、その間を歩いて一足先に開通前の道路を楽しむことができます。
世界遺産で見る天然プラネタリウム
ここまでだけでも、知床峠が十分魅力的な場所であることはおわかりいただけたと思いますが、私が一番オススメしたいのは峠で見る満天の星です。
北海道には沢山の星空スポットがありますが、周りに人工の明かりがここまでない場所は中々ないと思います。
周りに明かりがないと星がより一層輝いて見えるので、天然プラネタリウム状態になります! 天の川も肉眼ではっきりと見ることができます。
子供の頃見に来た時は、毛布を持ってきて地面に横になりながら星を見ていたのを覚えていたので、今回も同じようにしてみました。
あお向けになりながら星空を見ていると、まるで宇宙と繋がっているような感覚になります!(車や歩行者には十分気をつけましょう)
この日は途中から月が出てきて星空が少し見えづらくなってしまいましたが、月明かりによって照らされた雲海もまた幻想的で素敵でした。
星だけをじっくり楽しみたい場合は、新月付近の時を狙って見に行きましょう。
▼月明りと雲海
知床峠は4月下旬頃に開通したあともしばらくは夜間の通行規制があり、24時間通行可能になるのは5月下旬頃からになります。
開通期間中でも、雪や凍結の恐れなど、夏タイヤで通行出来ないと判断された場合は通行止めになります。(世界遺産登録地域なので、環境に配慮して凍結防止剤や砂利を撒けない)
また、羅臼町では9月頃からイカ漁が始まり、イカ釣り漁船の明かり(漁火)は星空の輝きに影響を与えてしまいます。
逆に漁火との組み合わせを楽しむというのも面白そうですが、いろいろ考慮すると星だけを見るなら6月~8月頃がベストかもしれません。
星空観賞は天候にかなり左右されてしまいますが、晴れた時は本当に素晴らしい景色を見ることができますので、一度見られなくても諦めないでまたチャレンジしてみましょう。
峠は寒いので、防寒対策はお忘れなく! 念のためヒグマ対策もしておきましょう。
▼月明りと羅臼岳
いかがでしたか?
斜里町は蜃気楼や夕日の名所としても知られていますので、日中は蜃気楼を、夕方には夕日を、そして夜には星空を……というスペシャルコースも運が良ければ楽しめるかもしれませんね!
他にも知床には魅力がたっぷりありますので、ぜひ遊びにいらしてください!
(写真提供:知床斜里町観光協会/克(laufen)※星空とその他一部)