このほど函館に、新しいご当地メニューが誕生しました。その名も「はこだてチャウダー」。函館近海の新鮮な魚介のうまみがぎゅっと詰まったシーフードチャウダーとして評判を集めつつあります。
はこだてチャウダーの4つの統一ルールとは
2月22日から市内6店舗で販売を開始し、4月からはさらに1店舗が加わります。味付けやビジュアルは各店舗によって異なりますが、4つの統一ルールが定められています。
その2 ダシには函館産の昆布を使用するとなお良し
その3 サブ食材である肉・ジャガイモ・ニンジンなどの季節の野菜はできるだけ道南産を使用する
その4 提供する際には必ずパンを添える
よく読んでみると少しルールがゆるい感じもしますが、これは季節や漁模様などによって地元食材が十分にそろわない時でも、なるべく「はこだてチャウダー」を切らさないための配慮。
函館は普段から近海の魚介をはじめとする地元食材が豊富に流通しているので、各店とも自主的に地元食材の割合を高めた「はこだてチャウダー」を作って来店者を待ってくれています。
「海のダイニング shirokuma」は、ホタテのコクをベースにベーコンのスモークが薫るスープを考案。具をたっぷり入れたスタンダードなチャウダーです。
「みなとの森」は、近海産の甘エビで取った旨みたっぷりのスープで赤レンガ倉庫をイメージ。
「函館空港 レストラン ポルックス」は、牛乳とエバーミルクでマイルドに仕上げたスープに香辛料を加え、ヨーロピアンカレーテイストのチャウダーに。
なぜ函館でチャウダー?
はこだてチャウダーの開発を手掛け、販売開始後は6店舗を自腹で実食したというはこだて雇用創造推進協議会の仲川昇一さんは「チャウダーの発展のさせ方が店ごとにまったく異なるのでそれぞれに良さがあり、バリエーションが楽しめると思います」とPRします。
でも、どうして函館の新たなご当地メニューが「チャウダー」なのでしょう。
仲川さんによれば、もともとの出発点は、函館は新鮮な魚介類のイメージがあまりにも強いために、海産物を生で食べる以外の楽しみ方があまり浸透していないことにありました。函館朝市の食堂や居酒屋などで焼き魚を食べることはできますが、それ以外に函館でこれといった「魚介に火を通した料理」は定着していません。
ここに工夫の余地があると考えた協議会は、生ではない魚介の食べ方として観光客にも地元市民にも提案できる料理を探しました。焼いたり揚げたりして魚そのものを食べる料理は当たり前だが、もう一歩進んだ何かはないだろうか。
そこで気付いたのが、石狩鍋や三平汁に代表されるように、魚介を食べる郷土料理には「汁物(鍋料理)」が多いという事実。汁に溶け込んだ魚介の旨みを味わい、魚そのものもいただく鍋料理は年代を問わず根強い人気を誇ります。これを現代風煮込み料理にアレンジしたらどうなるだろう、と考えた時に出てきたのが「チャウダー」だったといいます。
ねらうのは、函館を訪れて海鮮丼やお寿司・お刺身を食べた人の「次の食事」の座。「海産物を楽しみにしてきたけど、生ものはもう十分食べたな」と思う人に「では火を通した食べ方もどうぞ」と提案できる存在になるのが目標です。あえてナンバー2の座をねらっていく「はこだてチャウダー」の戦略に注目が集まります。
はこだてチャウダー提供店舗
海のダイニング shirokuma(函館市末広町24-23)
函館空港レストラン「ポルックス」(函館市高松町511函館空港内)
函館蔦屋書店レストランFUSU(函館市石川町85-1)
函館ビヤホール(函館市末広町14-12)
みなとの森(函館市豊川町11-5)
彩・食 すいしょう(函館市美原1丁目20-11カワシロビル2F)
函館国際ホテル アゼリア(函館市大手町5-10)