札幌市に隣接する江別市のJR大麻駅から、徒歩10分程度の場所。昔ながらの雰囲気が残された商店街、大麻銀座商店街があります。
そちらの一角にある「麺こいや」は通常のラーメン店とは、一線を画した個性派ラーメン店。実は使用している麺のすべてが、地元企業が製造する袋麺だというのです。
2013年にオープン!地元産の袋麺を扱う店
麺こいやは2013年にオープンし、2016月7月に3周年を迎えました。
店主の橋本正彦さんは、地元のNPO法人で勤める中で、商店街との関わりを築いていった方。元々は総菜屋だったという建物を引き継ぐ形で営業を開始。新たなまちづくりの拠点を「飲食」を基軸につくっていこうと試みました。今でも店の内装は総菜屋時代の面影が残されているようです。
現在は橋本さんのご家族を中心に店を運営が行われています。飲食業界での経験を特別持っているわけではありませんが、地元の方の意見を取り入れながら、メニュー開発に取り組んで来ました。
現在、取り扱うメニューはラーメンやラーメンピザ、各種飲み物など。特徴的なのは、使用する麺が、地元企業「菊水」が製造する袋麺であるということ。開店前は、世界のカップラーメンを置くという案もあったそうですが、「江別産のラーメンがあるじゃないか!」と気づき、思い切って袋麺専門店にしたそうです。
取り扱う袋麺は現在3種類。えべチュンラ~メン(写真中)と江別小麦(写真左)には、江別産小麦「はるゆたか」が使用されています。
地元産小麦を使い、地元企業が作ったラーメンであるのにも関わらず、「初めて食べた」と感想を漏らすお客さんも多いのだとか。
極上えべチュンラーメン ミルクみそ(550円)をいただきました!
袋麺をそのままいただくこともできますが、おいしく調理された袋麺を食べられるのが麺こいやの醍醐味。今回は江別市内「町村農場」の牛乳を使用した「ミルクみそ」をいただきました。
麺は袋麺であることを感じさせない、モチモチとした食感が特徴的。えべチュンラーメンは油で揚げない寒干しという製法で作られるため、生麺に限りなく近い食感が実現しています。ストレートでツルツルとしているのでとても食べやすいです。
また、牛乳を加えたスープはマイルドな味わい。ついついすべて飲み干してしまいました。チャーシューに見えるものは、実は油揚げ。創意工夫が詰め込まれており、リーズナブルな価格がとても嬉しいです。
B級グルメ「ラーメンピザ」が食べられる!
麺こいやのメニューを眺めていて、最も気になったものが「ラーメンピザ」です。
海外経験が豊富な方からの助言をヒントに開発された商品。なんとピザ生地部分が丸ごとラーメンで出来ています。店主の橋本さん曰く、「北海道でおそらく唯一、全国的にもかなり珍しいのではないか」とのことでした。
写真はラーメンピザ Mサイズ(450円)です。
今回が初体験のラーメンピザ。
外側はカリカリとしていて、内側はモチモチ。通常のピザ生地以上に噛みごたえがあるように感じられます。チーズや野菜も江別産のものを取り入れるこだわりっぷり。Mサイズはおやつ感覚で食べられる大きさです。屋台で食べるような家庭の味が、B級グルメ好きにはたまらないのではないでしょうか。
若者と町をつなぐ、江別のまちづくりの拠点に!
麺こいやは、ラーメン店としてだけでなく、まちづくりプロジェクト「江別港」の中心とも位置づけられています。店内や建物の2階部分では、日々各種イベントが行われており、大学生や地元住民が集うのです。
橋本さんは「若者が自信を持って社会に出られるようにしたい」と話してくれました。飲食という共通の目的を入口として、人が集まりつながる場所へ。今後もWi-Fiの完備や建物の改装を行い、より居心地の良い空間づくりを目指していきます。
最後になりますが、麺こいやには「Onakama 同釜」という変わった支払いシステムがあります。
店を訪れた際、少し余分に支払いをすることで、あとに店を訪れた方にご馳走できるというシステム。江別市民は遠慮がちなのか、なかなかご馳走されたがらないそうで「ご馳走待ち状態」のお金(ビーズ1つあたり50円)が溜まっているようです。
麺こいやに興味を持たれた方は、まずはご馳走してもらうために、店を訪ねてみてはいかがでしょうか。取材時、私はこのシステムを利用してラーメンをご馳走してもらいました。ご馳走して下さった方、ありがとうございました!