糖度16で甘い!しかも大粒!道産イチゴの新品種「夏瑞(なつみずき)」

2016年7月5日~12日にかけて、丸井今井札幌本店、札幌三越店で夏イチゴの新品種「夏瑞(なつみずき)」の誕生フェアが開催されました。見た目は大粒で、食べてみるととても甘い! まるで「あまおう」のよう! そのイチゴの見た目と味わいに一瞬で虜になってしまいました。今回は、実家が「夏瑞」の研究農場だというパティシエ・加野裕介さんに、生産と加工の両面から「夏瑞」の魅力についてたっぷり語っていただきました。

「夏瑞」がうまれたワケ

北海道産夏イチゴの新品種「夏瑞」の最大の特長は、その甘さです。九州産の甘いイチゴ「あまおう」は糖度が15~16ありますが、「夏瑞」はそれに匹敵する甘さで、平均糖度16、最大糖度18。一般的なイチゴは酸味があり11くらい、メロンでも13~14の糖度ですから、相当甘いことがわかります。

開発したのは東神楽町に本社を置く株式会社ホーブ。研究農場が中富良野町にあり、10年かけて夏イチゴの開発がすすめられてきました。2015年までに同農場で試験栽培を行い、2016年から道内数か所で本格生産を開始しました。

開発の背景にあったのは、一般向けの生食用イチゴの生産をしたいという同社の思い。同社はこれまで業務用(ケーキ用)のイチゴの品種「ペチカプライム」などを育種生産してきました。道内産の夏イチゴは製菓用ばかりで、生食用イチゴは道外から入ってくるものが一般的でした。道内から出荷したほうがイチゴの新鮮さを保てます。

そこで道内産で、食べたことがないくらい甘くて、瑞々しくて、清涼感のある夏イチゴを作りたいと研究を進めました。酸味と甘さのバランスが良い「ペチカプライム」とやわらかくて甘さの強い「さがほのか」をかけあわせ「夏瑞」が誕生したというわけです。

今後拡大の予感がする「夏瑞」

「夏瑞」の収穫は7~11月。一房の中でも場所によって実のサイズが異なるそう。比較的小粒のものは製菓用としてケーキや大福に使われるなどしており、大粒のものを生食用として、また贈答用として一般向けに販売しています。大粒一つのお値段は250円!

偶然にも近年のトレンドとして、甘さ控えめの洋菓子が好まれる傾向にあります。これまでは甘い生クリームに酸味あるイチゴがバランスをとっていましたが、甘さ控えめの洋菓子がトレンドになるとイチゴも甘さのあるものが使われるようになってきたといいます。そのような時代背景もあり、札幌市内の製菓店では「夏瑞」を早速使ってスイーツを製造しており、今後も需要拡大していくことが見込まれています。

富良野市内の洋菓子店「トロン」では、洋菓子に入っているイチゴはすべて中富良野産「夏瑞」を使っています。同店の加野さんは、「富良野と言えばメロンのイメージが強いが、富良野産夏イチゴもこれから普及させていきたい」と意欲を見せています。

<取材協力・一部写真提供>パティスリートロン(富良野市幸町1番23号)