濡らしたジーンズを凍らせる「フローズン・パンツ」という遊びをご存知でしょうか。更別村の地域おこし協力隊が2016年1月下旬にフローズン・パンツの写真をFacebookに投稿したところ、十勝管内のほかの地域からも投稿があるなど輪が広がり話題となっています。十勝の冬の風物詩になる可能性を秘めた「フローズン・パンツ」の取り組みについて、亀井さんに話をお聞きしました。
更別村の地域おこし協力隊が投稿し話題に
フローズン・パンツとは、アメリカ・ミネソタ州を寒波が襲った際、寒さを逆手にとって楽しんでみようと始まったムーブメント。濡らしたジーンズなどのパンツを外気で自然に凍らせて自立させると、まるで透明人間のように見える面白さを狙ったユーモアあふれる遊びです。
更別村の地域おこし協力隊である亀井秀樹さんは、友人であるニューヨークの建築家から情報を聞き、氷点下が続きしばれる(厳しく冷え込むこと)十勝でもやってみたいと考え、2016年1月24日に自身のFacebookに「Frozen pants in Sarabetsu!」と題して写真を投稿。村観光協会のFacebookにも同様の情報を掲載したところ、通常の二倍の「いいね」がつき反響を呼びました。
亀井さんは最初、3体のフローズン・パンツを村内のバス停前、店舗前、イルミネーション前などに配置し写真を撮影。その後、中札内村、帯広市の幸福駅、日高山脈を望む広大な十勝の平野に置いて撮影し投稿しました。さらに、村議会議員や農家、帯広市の広小路商店街にも「透明人間」が出没するまでに輪が広がりました。
2月下旬には、十勝世界一プロジェクトと連携し「フローズン・パンツ」でギネス世界記録に挑戦する動きもあります。更別村内を会場に1000体のフローズン・パンツを作る計画です。
十勝だからこそできる「場所遊び」
亀井さんはこのフローズン・パンツの取り組みを「十勝ならではの『場所遊び』」と表現します。十勝の冬はとても冷え込みますが、マイナス何度と言われても本州などの道外の人にはあまり実感がわかないものです。そこで亀井さんは、フローズン・パンツならどのくらい寒いのかをわかりやすく表現できるのではないかと考え、この取り組みを始めました。
「十勝晴れ」という言葉があるように、十勝の冬は晴天率が高く、放射冷却現象で明け方に氷点下20度になることの多い地域です。一方、同じ北海道でも札幌をはじめ日本海側では気温がそこまで下がることは少ないため、ジーンズを一日中凍らせておくのは難しいでしょう。フローズン・パンツは十勝だからこそできる遊びであり、それが十勝の冬の魅力のPRにつながっています。
▼更別村ふるさと館入口に展示されるフローズン・パンツ。実物を見たい方はこちらへ
亀井さんによると、濡らしたジーンズは外気温マイナス6~7度で凍り、マイナス20度だとすぐ凍るそう。また乾燥しすぎると形を維持できないので、水を吹きかけることも大切だといいます。今後はジーンズにとどまらずスーツなど様々な服を凍らせたいと話しています。
また、1月28日~2月8日を「とかちフローズン・パンツ・ウィーク」と定め、それぞれ思い思いの作品を投稿してもらう十勝の冬のファッションショー「とかち冬コレクション」の期間としています。FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSでハッシュタグ「#tokachi_frozenpants」をつけて写真を投稿することで、作品を一元管理しています。(イベントページはこちら) 亀井さんは「この発想はなかったという作品をお待ちしています」と投稿を広く呼びかけています。
※一部写真:亀井さん提供