【札幌市】明治11年(1878年)に創建された三吉神社では、毎年5月15日を例祭としてお祭りを行っています。100年以上行われているこの例祭には、当然のことながら様々な歴史があり、明治36 年(1903年)から市内への神輿渡御(みこしとぎょ)がスタート。その後大戦の影響により昭和15年(1940年)に中止され、代わって翌年から子供神輿が始まりました。しかし交通事情により昭和37年(1962年)に中止。それから17年後の昭和54年(1979年)に子供神輿が復活し、昭和60年(1985年)に46年ぶりに神輿渡御が復活。現在に至ります。
神輿渡御に参加させていただきました!!
この日の札幌は最高19.4°Cと平年より2度ほど高い、暑すぎず寒すぎずというすごしやすい陽気。 市内中心部の町内会が協力しあい、この日を迎えました。
先ずは神職のお祓いから。
気合を入れて出発です。
この神輿渡御は三吉神社を出発し、西18丁目から西2丁目までを移動。途中休憩を挟み、およそ3時間半かけて市内を巡行。沿道では足を止め巡行を眺める方々はもちろん、仕事の手を止めいったん店から出てくる人や、ビルの窓から眺める人など、大勢の方が手を止め足を止め神輿渡御に注目しました。
「若者の○○離れ」など、世代間のギャップが取り沙汰される昨今。この日は多くの若者も参加。30年近くこのお祭りに携わる町内会の方は「それでも最近は若い人の参加は増えている」と語ります。「小さいときにこういうお祭りに触れて、大きくなってから参加するとやはり想いは違うのではないか」と話し、「確かに何時間も歩くのは大変だけど、やっぱり祭りだから。”日本人の気持ち”として楽しくなってくるんだよ」と語りました。
巡行後は子供相撲やライブステージの他、やはり大人の楽しみとしての酒盛り。この日は普段なかなか会えない町内の人も集まり、この一年の話や自分の小さい時の話に花が咲きます。こういった話を聞ける機会も若い世代ではなかなか無いもの。札幌もかつての面影が無くなりつつあると思っていた筆者ですが、こういった話を聞いていると、どこかしらでその姿は生きていると感じました。例えば、かつては中島公園には遊園地があったそうですが、1994年に円山動物園に移設。遊具の老朽化によりこちらは2010年に閉鎖されましたが、一部の建物はイベントなどでホールとして使用されています。
「これが祭りなんだよ!一年に一回の特別な日にこうやってみんなが集まって、祭りを楽しんで、そしてたくさん酒を飲む!昔から日本人が行ってきた”祭り”なんだよ」と今年で82歳になるという男性。
参加してみて……
この日は普段慣れない裃(※裃=かみしも……和服における男子正装の一種)での参加になりました。町内会のご婦人達に羽交い絞め(笑) にされながらの着付け。「いまいくつなの?」「普段どんな仕事してるの?」「うちの孫と同じ年だね!」など、こうした中でも会話は生まれます。「渡御は初めての参加?」「晴れてて涼しいな!神輿日和だ!」などといった会話も、普段なかなかしないもの。同じものに一緒に取り込むという気持ちが、年齢差という壁を無くしているのかもしれません。
巡行は当然車道をお借りして行います。たくさんの警察官や警備の方に守られながらの巡行ですが、本当に多くの人が関りながら神事が行われていると実感しました。個人的に楽しかったのは車道を堂々と歩けるという開放感。歩行者天国とはまた違った開放感は、一度味わって欲しいものです。
世代が違う人同士が一同に会する場というのも中々機会がありませんが、こういった行事ではその機会があります。それは若者だけに限ったものではありません。誰しもがそれぞれの世代に興味を持ち、会話し、お互いの世代を知る。それが町内会の役割なのではと感じました。
▼札幌 三吉神社
北海道札幌市中央区南1条西8丁目17番地
(市電西8丁目、地下鉄大通駅又は東西線西11丁目下車)
電話 011-251-3443
【祭神】
大己貴神(おおなむちのかみ)
少彦名神(すくなひこなのかみ)
藤原三吉神(ふじわらみよしのかみ)
金刀比羅宮(ことひらぐう)
天満宮(てんまんぐう)