ユリ根(ゆりね)。ユリの葉が重なり合ったような鱗茎(りんけい)です。
仕組みはたまねぎを思い浮かべていただくと分かりやすいです。ただ、も
っと厚みがあります。そして色は白色。ユリ根は栄養が豊富で食用される
部分となります。漢方薬になることもあります。
ユリ根日本一といえば……
そんなユリ根の全国総生産量に占める北海道内の生産量は98%です(残り
の数%は東北が主)。つまり、日本一のユリ根生産量を誇る“ユリ根王国”
なわけです。ところが、道内ではほとんど消費されず、ほとんどは本州
(京料理で多く使用されるため関西方面が多い)へ流れ消費されることに
なります。
道内でユリ根の生産地として有名なのが後志管内真狩村(まっかりむら)。
食用ユリ根の出荷量が市町村単位で日本一です(ちなみに花ユリ球根出荷
量も日本一)。全生産量のうち3分の1、約800tが真狩村というデータもあります。真
狩村ではほとんどの農家がユリ根生産をしていますが、周辺の羊蹄山山麓
の町々でも生産されています。
ユリ姉さんというキャラクター、世界のユリ園というスポットもあり、
世界各地の75種類2万5千のユリが咲きますし、道路沿いに花ユリが植えら
れていたり、ユリ根を使った焼酎やお菓子が作られていて、ユリ王国とは
まさにこのことです。
ユリ根の栽培は一苦労……
食用ユリ根の種類としては、コオニユリが中心で、ヤマユリ、オニユリ
も食用ユリ根です。サイズは直径5~10cm、100gほどの重さになります。ユ
リ根は実は全国各地で栽培可能な作物です。それでも北海道で栽培される
理由としては、冷涼な気候では、より高品質なユリ根を収穫できるからで
す。明治時代までは、暖かい地方でも栽培されたことがありましたが、病
害が多く栽培は中止されていきました。
ユリ根栽培には手間がかかるのがデメリットでしょうか。3~4年間かか
るとされます。期間だけではなくて、10月~12月にかけて行われる収穫時
も、傷をつけないように手作業じゃないといけないので神経を使います。
もし傷をつけてしまうと赤くなってしまい、真っ白ではなくなるため、価
値は落ちます。長期保存にはオガクズが相性が良いようです。
最初は抵抗があるかもしれないけれども、ホクホクしていて甘さがあっ
て、イモのような歯ざわりです。茶碗蒸や御節料理に使われたり、ケーキ
に使われたりと、意外なところで活躍しているんですね。和の高級食材と
も評されます。滋養強壮によく、最初に書いたように漢方薬にも古くから
活用されてきました。栄養素では、カリウム含有量が特に秀でています。機会があったら、ユリ根も食べてみてくださいね。