札幌市の隣町、石狩平野の内陸にある江別市には「江別漁業協同組合」
があります。漁協が存在するわけは石狩川。市街地北端を石狩川が流れて
いるわけなのですが、石狩川で何がとれるのでしょうか。
ヤツメウナギって?
全国的にもヤツメウナギ(八目鰻)が有名なのは石狩川。特に江別市は名
産品の一つであります。名前の由来はエラが片側に7つあり、本当の目と
合わせて8つ目があるように見えることから。名前にウナギとついていま
すが、実際はウナギの仲間ではなく、無顎類ヤツメウナギ目ヤツメウナギ
科。
分類上は魚ではありません。外見はウナギそっくりであり、長さは50~
60cm。ヤツメウナギのうちポピュラーなのはカワヤツメと呼ばれるもので、
北海道や東日本の日本海につながる河川を中心に生息しています。秋頃に
産卵のため遡上してくるので、サケと同じような感じでしょうか。
ヤツメウナギを捕獲せよ
北海道ではヤツメ漁は明治の開拓時代から行われてきて、最盛期には北
海道のヤツメウナギシェアは全国1位でした。道内では、石狩川水系と後
志管内尻別川がほとんどを漁獲し、残り5%ほどは同管内朱太川と檜山管内
後志利別川の2箇所で漁獲しています。
江別での近年の年間漁獲量は年々減少傾向です。1984年から漁獲量が急
増、以降約5年はそれ以前の2倍も漁獲されました。ピークだったのは約72
t漁獲できた1986年。しかし1990年代は激減、1995年ころには10t代で推移、
現在は1tを割るようになってきています。石狩川の河川改修工事が一つの
原因といわれています。養殖という手もありそうですが、実際にはできな
いそうです。
江別漁協で秋から春にかけて行われる漁獲の方法は、石狩川にカヤ製の
手作りドウを沈めるというもの。このドウは太目のビンのようなカゴ(直
径約80cm)で、人の背丈弱の高さ(約1.5m)があります。ヤツメくんはこれ
に入ったら出られません。ただ、最近では鉄と網製ドウや定置網も用いら
れています。
江別漁協だけではありません。石狩川河口では石狩漁協も行っていて、漁
獲量はほぼ同じです。テリトリーは石狩漁協が石狩川河口付近と茨戸川半
分、江別漁協は茨戸川半分と、石狩川は江別を経て岩見沢大橋まで。
ヤツメウナギは食べられるんです
ウナギは食べたことがあって好きな人も多いかもしれませんが、ヤツメ
ウナギはあまり食べたことがない人も多いでしょう。いまや漁獲量も減り
稀少・絶滅危惧にあるヤツメウナギですが、実は栄養たっぷりなんです。
特にビタミンA含有量は半端じゃない。他の魚介類に比べて突出してい
て、ウナギの8倍とかいいます。だから免疫を高めてくれるし、目に良い
らしい……。ガンの予防にも効果があるともいわれます。
旬は秋~春。ウナギ同様、ぶつ切りにした蒲焼が最も一般的な食べ方。
ほかには刺身だとか、丼もの、味噌味のヤツメ汁、ヤツメソーセージ、石
狩川の八ッちゃんというヤツメの甘露煮まで様々。食感はほぼウナギで、
弾力もあるのですが、コリコリした軟骨があるのがウナギと違うところ。
ツウの間でうまいと言われるのが「寒ヤツメ」、つまり寒い時期に漁獲さ
れた脂の乗ったヤツメ。
1990年以来、毎年4月には「江別ヤツメうなぎ祭り」が開催されていま
したが、漁獲量激減が響いて2001年で終了されました。保護などに取り組んでいるのは石狩川やつめ文化研究会。ヤツメウナギをPRする運動として、ヤツメウナギサンバ、こいのぼりならぬ、ヤツメウナギのぼりなどが発案されています。
ヤツメウナギの商
品を江別で見つけるには、12号線沿いにある江別河川防災ステーション内
が何かと便利ですし、江別市内にはヤツメウナギ料理を出す店が幾つかあ
ります。