2021年4月1日、胆振管内洞爺湖町にアイヌ民族共生拠点施設「ウトゥラノ」がオープンしました。アイヌ文化と関わりが深い洞爺湖町で、アイヌ文化を身近に感じ、親しみを持ってもらいたいと町が整備を進めてきた事業の一環です。
伝統儀式が行われる研修室と展示コーナーも
施設は建物床面積約500平方メートルの木造で、国の交付金を用いて洞爺湖町本町1の国道37号沿いに新設されました。
愛称の「ウトゥラノ」とはアイヌ語で「共に、一緒に」を意味します。町内の小中高校生403人の投票で、最も多かった名称です。アイヌの人たちと地域の人たちが一緒にアイヌ民族について理解し、伝承していく施設にしたいとの思いが込められています。
同施設は、洞爺湖町におけるアイヌ文化や地域文化を継承する目的で建設されました。館内には、旧虻田町に住み「アイヌ教育の父」と呼ばれた故・白井柳治郎(1882~1966)の展示コーナーがあり、アイヌ民族の衣装、儀礼用具、民具類のレプリカなど約30点を展示。
また、アイヌ民族の伝統儀式である「カムイノミ」「イチャルパ」を季節や天候に左右されずに行えるように、炉を設置した研修室を設置しています。アイヌ文化体験学習としてはほかに、アイヌ文様の刺繍教室などの講座を実施していく予定です。
アイヌ文様ラッピングバスも登場
「ウトゥラノ」誕生にあわせ、虻田地区の循環コミュニティバス(運行:道南バス)の停留所に「ウトゥラノ」が加わります。また、洞爺湖町アイヌ文様ロゴマークをデザインした新しいアイヌ文様ラッピングバスが導入されました。停留所にも、このアイヌ文様ロゴマークがあしらわれています。
洞爺湖町ではほかにも、洞爺湖文化センターを活用したり、洞爺湖温泉街や洞爺駅前にアイヌ文様をデザインしたオブジェを設置したりしています。
なお、同じ胆振管内では室蘭市「イタンキ生活館」でアイヌ民族の民具など約40点を展示するアイヌ文化展示室新設が行われ、4月1日にリニューアルオープンしています。2020年に民族共生象徴空間ウポポイが白老町に誕生後、胆振管内でもアイヌ文化の伝承を目的とした施設が整備されています。