大阪から札幌へ引っ越してきた筆者。文化の違い、習慣の違いに日々驚くことだらけなのですが、今回は電車で見る大阪府民と北海道民の違いにスポットを当てたいと思います。
「大阪が特殊なだけで、北海道は普通でしょ?」と思った道民のそこのあなた。いえいえ、いかにも道民らしさという特性は存在し、電車の乗り方ひとつを取っても、それが顕著に現れているものなのですよ。
1本くらいなら平気でやり過ごす道民
たとえば地下鉄の階段を降りている途中で、自分の乗る電車がホームに到着したとします。扉が開いた音がして、電車を降りた人たちが階段を上ってきました。走れば間に合います。さぁ、あなたならどうしますか?
大阪府民なら、間違いなく走ります。猛ダッシュです。何なら階段を上ってくる人に「すんません!」と声をかけて道を開けてもらい、確実に電車に乗り込みます。ところが、北海道民はまず走りません。猛ダッシュなんて、もってのほかです。それでどうなるかというと、今来た電車はやり過ごし、次の電車を待つのです。
「いや、それが普通じゃない? やっぱり大阪人がせっかちなだけだよ」
と、言われるかもしれません。しかし北海道民のすごいのは、電車の扉が開いていても、その扉がもうすぐ閉まりそうな気配がすれば乗らないというところ。
つまり、自分がホームに到着した時にはすでに他のお客さんが車内に乗り込んだ後で、今から自分がそこに入ろうとした瞬間に扉が閉まるかもしれない。その危険性を察知したら、そのままホームに立って次の電車に乗ることを選ぶのです。結果、余裕で乗れる電車も、目の前で扉が閉まるのをじっと待ってやり過ごしてしまいます。
「だって、もし扉が閉まって挟まれたら、恥ずかしいでしょ?」
これこれ、「恥ずかしい」というのは、北海道民からよく聞くセリフです。それなのに、ホームのベンチで堂々とお弁当箱を広げて食べている学生がいるなど、むしろ大阪府民がギョッとするようなシーンで平然と大胆に振る舞っているのも道民の特徴。面白いものですね。
素晴らしき哉、道民の合理性!
筆者が大阪から札幌へ引っ越してきて地下鉄を利用する際、もっとも感動したのが「専用席」の存在でした。他の都市が「優先席」や「シルバーシート」を設けているのに対し、札幌の地下鉄は「専用席」と表示した席を設けています。
高齢者や体の不自由な方や妊婦さんが「優先」されるのではなく、彼らの「専用」の席。だからなのか、札幌の地下鉄で、何もないのに専用席に座るような人をまず見かけることはありません。どんなに車内が混んでいても、専用席は空けておきます。これにより、高齢者や妊婦さんは、誰に気兼ねすることなく専用席に座ることができるのです。素晴らしい!
大阪の地下鉄はというと、たぶんご想像の通り。健康そうな若者が優先席に座っている光景は、日常茶飯事。もちろん、その席を必要とする人が乗車してきたら、譲っている……はずですけどね。
駆け込み乗車はおやめください
最後に、筆者の実体験を。ある日、自分の乗りたい電車が地下鉄のホームに到着しているのを見て、大阪人の性が出て猛ダッシュした筆者。ギリギリで滑り込んだため、閉まりかけた扉が一度「バン!」と音を立てて開きました。
これ、大阪だと本当によくあることなんです。扉が閉まりかけては客が飛び乗って開き、また閉まりかけては別の客が飛び乗って開き。大げさじゃなく、場合によっては4度も5度もそれを繰り返すことがあります。
そういえば、札幌では閉まりかけた扉がもう一度開くなんてことはほとんどありません。まさか自分がやらかすとは恥ずかしい限りです。
と、思っていたその数日後。またしてもギリギリで電車に飛び乗った学習しない筆者、するとその後から中年夫婦が飛び乗ってきました。珍しい、北海道民でも駆け込み乗車するのかと驚いていた矢先に聞こえてきた会話。
「いやぁ~良かったやん、間に合って」
「あんたが鈍くさいからやでー」
なんてことはない、大阪からの観光客だったのでした。