日本人なら誰もが知っているスタジオジブリ制作の名作アニメ「となりのトトロ」。その中で登場する「ネコバス」もきっとご存じだろう。体がバスになっている巨大ネコで、12本の足で猛スピードで目的地まで駆け抜ける。作中では、迷子になったメイを、七国山病院にいる母親のもとへ送り届けた。
そんなネコバスがある場所として知られているのが、深川市の高台である。その高台は「戸外炉峠(ととろとうげ)」と呼ばれており、ネコバスが置かれる場所としてふさわしい、まさに知る人ぞ知るトトロワールドとなっている。本来は子供にしか見えないとされているネコバスも、ここなら大人でも見ることができる。
もっともこの「ねこバス」、ネコバスモニュメントとも言うべきで、映画中に登場するネコバスとは大きく異なっているので予め言っておこう。
使われているのは廃バスで、トトロ仕様にペインティング塗装されている。バスの正面はネコバスの大きな顔が描かれ、行き先表示は「戸外炉峠」。側面は黄色と茶色でネコバスの体を描く。後部ドアにはトトロが、後部や行き先表示にネズミも描かれている。内部はほとんどの座席が取り外されており、残念ながらふかふかの毛皮シートはない。
この廃バスは、付近の畑作で農作業する人の休憩所として使われていたが、1998年「深川まちおこしグループ戸外炉」によってネコバス模様に塗装されたものである。2年に一度の頻度で塗装し直しており、直近では2008年6月22日に市内のグループ「虹色イルム」の協力を得て塗装されている(その日付がバス後部に記されている)。
また、「戸外炉峠バス停」も設置され、「ねこバス時刻表」も記述されているのが面白い。それによれば、停留所名は10番、行き先は七国山、問い合わせ先は「ねこバス深川営業所」で、ホームページアドレスも記載されている。時刻表は下記の通り、始発6:10、最終20:06で、一応一時間に一本は来るようである(実際には来ない)。
ちなみに、近くには、道道79号線沿いに「戸外炉峠展望台」もあり、深川市街地と周辺の田園地帯を一望できる展望地となっている。特に夜には夜景が美しい。市内の市民団体が、夜景が美しく見えるよう市街地に街灯を設置し、オレンジ色の星座が暗闇に浮かびあがるよう工夫されている。ネコバスと戯れ、夜景を楽しんで、ゆっくりと時を過ごしてみたい場所である。