北海道ファンマガジンでは、札幌市交通局にご協力をいただき、これまでに札幌市営地下鉄がタイヤで走っていること、トンネルの中からちゅんちゅんという音が聞こえてくる理由について教えていただきました。(札幌市営地下鉄特集はこちら)
鉄道に興味がなかった筆者ですが、話をお聞きするたびに、いろいろなことに興味が出てきてしまい、さらに疑問が押し寄せてきました。その波はもう止まりません。
今回は、タイヤで走る札幌市営地下鉄がどうやって進行方向を変えているのかについてお聞きしました。
一般的な鉄道と札幌市営地下鉄の違い
車の場合、隣の車線に行きたくなったらハンドルを切るだけで車線変更することができますよね。しかし、鉄道の場合は違います。隣のレールに行きたくても、レールの上を走っていますので、レールのあるところしか行けません。そのため、隣のレールに移動する時のためにポイントがあり、それを切り換えて移動しているということは、あまり鉄道に詳しくない人でもご存じでしょう。
▼一般的な鉄道のポイント
ちなみにポイントのことを「転てつ器」ともいい「転轍器」や「転轍機」と書く場合もあります。札幌市交通局の資料を見ると「転てつ器」と書かれていますので、今回は「転てつ器」で統一します。
では、タイヤで走っている、レールのない札幌市営地下鉄はどうやって隣の軌道に移動しているのでしょうか?
▼札幌市営地下鉄にはレールがない
札幌市営地下鉄は、案内軌条を使って方向を変えているのです。案内軌条については、以前、取材させていただいた「札幌の地下鉄はなぜタイヤなの?どんなタイヤなの?疑問を徹底解明!」や「札幌の地下鉄はなぜ『ちゅんちゅん』鳴くの?音の正体に迫る!」で説明していますので、そちらを参照ください。
▼真ん中にあるのが案内軌条
南北線の転てつ器2種、最後の動画も必見!
札幌市営地下鉄の転てつ器装置は、案内軌条が入れ替わるような仕組みになっています。いくつか種類があり、今回は南北線で利用している転てつ器装置の2種類を撮影させていただきました。ここで簡単に説明しておきましょう。
上下式転てつ器
向きの違う案内軌条を2本を利用し、片方を地上に、片方を地下に沈め、使用する側の案内軌条を上下させて入れ替える仕組みの転てつ器です。
▼上下式転てつ器:直線側の案内軌条が上がり、曲がっている案内軌条が下がっている
▼上下式転てつ器:直線側の案内軌条が下がる
▼上下式転てつ器:曲がっている案内軌条が上がる
トラバーサ式転てつ器
テーブルの上に何本かの案内軌条が設置されており、テーブルが左右に移動することで利用する案内軌条に入れ替える仕組みの転てつ器です。主に車両基地に設置されています。
▼トラバーサ式転てつ器:左に曲がるための案内軌条が手前の案内軌条に接続されている
▼トラバーサ式転てつ器:案内軌条の設置されているテーブルが左に動く
▼トラバーサ式転てつ器:真っ直ぐ進むための案内軌条が手前の案内軌条に接続された。よくみると奥の方にもトラサーバ式転てつ器があり、接続が変わった
なるほど。そういう仕組みになっているのですね。これでひとつ疑問が解決しました。上記した2種類の転てつ器装置の動きを動画に録りました。なかなか一般では見ることができない瞬間ですので、ぜひご覧ください。
【動画】札幌市営地下鉄の転てつ器装置の動き