ガラス館や熊牧場もある!楽しみ方いろいろ「昭和新山」周辺巡り

かつて広大な麦畑だった地帯が、噴火活動により隆起し、山となる――。そんな信じられないような自然現象が、昭和の時代に起こりました。山は「昭和新山」と名付けられ、今では観光スポットとして親しまれています。昭和新山の歴史と共に、ビューポイントや周辺施設もご紹介しましょう。

昭和新山の歴史はまさに自然のダイナミズム!

昭和新山があるのは、北海道有珠郡壮瞥町です。昔から畑作地域として栄えてきた地域でした。そこに異変が起こったのが、1943(昭和18)年。地震が発生し、爆発音と共に青い麦畑が膨れ上がりました。

以降、4ヶ月にわたって地震は頻発し、爆発を繰り返し、大地は刻々と隆起していきました。地底で固まった粘性の強いデイサイト溶岩が押し上げられ、ついには402メートルものベロニーテ型火山を出現させたのです。これが、昭和新山が誕生した経緯です。

▼昭和新山によってできた新山沼

昭和新山の形成は、当然のことながら周囲にさまざまな影響を及ぼしました。土地が隆起したことでそこに流れていた壮瞥川が堰き止められ、やがて新山沼と呼ばれる沼が誕生しました。現在では新山沼展望公園として訪れることができ、季節によってさまざまな表情で観光客を楽しませてくれます。

▼新山沼展望公園から眺めた新山沼(写真提供:そうべつ観光協会)

また、昭和新山の隆起によって、旧国鉄胆振線の橋脚と橋台が持ち上げられました。昭和新山の山腹に、今でも残された鉄橋橋脚を見ることができます。

▼昭和新山鉄橋遺構公園にある橋脚

昭和新山は、1977(昭和52)年から1982(昭和57)年にも火山活動を起こしています。その際の地殻変動により、近くの病院施設が倒壊しました。その周辺は1977年火山遺構公園として整備され、倒壊した病院も残されています。

▼倒壊し朽ち果てた病院施設

これらは「火山と人の営み」を体感できる野外博物館「洞爺湖有珠山ジオパーク」として、大切に保存されています。自然のダイナミズムをまさに肌で感じることのできる場所なのです。

新山沼展望公園
所在地:北海道有珠郡壮瞥町字滝之町294
昭和新山鉄橋遺構公園
所在地:北海道有珠郡壮瞥町字滝之町(国道453号線沿い)
1977年火山遺構公園
所在地:北海道有珠郡壮瞥町字壮瞥温泉76-17

周辺には他にもたくさんの施設が

昭和新山を訪れたなら、ぜひとも併せて足を運んでおきたいのが「三松正夫記念館」です。1888(明治21)年、会津磐梯山の噴火の年に生まれた三松正夫は、明治新山、昭和新山、有珠新山の誕生を見守ってきた壮瞥郵便局長です。火山に魅せられた三松が克明に書き綴った昭和新山生成の記録は、一見の価値ありです。

▼巧みなデザイン画や書簡など貴重な資料が(写真提供:そうべつ観光協会)

三松正夫記念館
所在地:北海道有珠郡壮瞥町字昭和新山184-12
電話:0142-75-2365
営業時間: 4月~10月8時~17時 / 11月~3月9時~16時
定休日:無休(1月から3月不定休)
その他:料金300円
公式ページ

昭和新山についてさらに詳しく知りたいなら「昭和新山パークサービスセンター」へも立ち寄りましょう。「昭和新山の生い立ち」などをレーザーディスク映像で紹介している他、貴重な写真や模型も展示されています。

▼有珠山や洞爺湖についての資料も揃う昭和新山パークサービスセンター(写真提供:そうべつ観光協会)

昭和新山パークサービスセンター
所在地:北海道有珠郡壮瞥町字昭和新山188-5
電話:0142-75-2241
営業時間:8時30分~17時(閉館時間は時期により変動あり)
定休日:冬期不定休

また「道の駅そうべつ情報館i」でも多くの情報を発信しています。

▼立派な施設の「道の駅そうべつ情報館i」

火山や災害について学ぶことができる「火山防災学び館」をはじめ、壮瞥町の農産物も販売しています。壮瞥町周辺を巡るなら、まずここで情報をゲットすると効率が良さそうです。

▼豊富な情報がここで得られる

道の駅そうべつ情報館i
所在地:北海道有珠郡壮瞥町字滝之町384-1
電話:0142-66-2750(NPO法人そうべつ観光協会)
営業時間: 4月1日~11月15日 9時~17時30分、 11月16日~3月31日 9時~17時
定休日:夏期無休、冬期(11月16日~3月31日 祝日以外の毎週火曜日)、年末年始(12月31日~1月5日まで)
Facebookページ

さて、気分をがらりと変えて、観光客に人気のスポットもご紹介していきましょう。まずは「昭和新山ガラス館」です。

▼昭和新山すぐ側の人気スポット

ここでは、バカラ・ボヘミア、ベネチア・スワロフスキーなど、国内外のガラス製品を展示・販売しています。ガラスのお花やアート皿など小物雑貨も豊富なので、お土産を探すのもいいかもしれません。

▼ゼリーキャンドルづくりも実施中

昭和新山ガラス館
所在地:北海道有珠郡壮瞥町字昭和新山184-6
電話:0142-73-3300
営業時間: 4月~10月、8時30分~17時 / 11月~3月、9時~16時30分
定休日:毎週水曜日

家族連れには、約60頭ものヒグマに出会える「昭和新山熊牧場」がおすすめ。さまざまなポーズでエサをおねだりする様は、猛獣とは思えないほどの愛らしさです。詳しくはこちらの記事をどうぞ!

▼春にはキュートな小熊に出会えるかも!

昭和新山熊牧場
所在地:北海道有珠郡壮瞥町昭和新山183番地
電話:0142-75-2290
営業時間:元旦 10時~15時/1月2日~3月31日 8時30分~16時30分/4月 8時30分~17時/5月~10月 8時~17時/11月~12月30日 8時30分~16時30分/大晦日 8時30分~15時
入場料:大人(中学生以上)850円/子ども(6才以上)500円
公式サイト

昭和新山の歴史は、まさに人と自然が共存してきた歴史。昭和新山そのものの迫力に触れることはもちろん、周辺施設を回って歴史探訪すると、よりそのことが実感されるはずです。さらにガラス製品を買ったり熊を見たり、多彩な楽しみ方ができるのも壮瞥町の魅力。お出かけリストのひとつに、加えてみてはいかがでしょうか。

取材協力
特定非営利活動法人そうべつ観光協会
所在地:有珠郡壮瞥町字滝之町384-1(道の駅そうべつ情報館i内)
電話:0142-66-2750
営業時間: 9時~17時30分(4月1日~11月15日)、9時~17時(11月16日~3月31日)
公式サイト
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