羽幌町沖の日本海に仲良く浮かぶ2つの島、天売島(てうりとう)と焼尻島(やぎしりとう)。ほぼ同じ大きさの島ですが、天売島は、絶滅危惧種のオロロン鳥やウトウなどの世界的に貴重な海鳥の繁殖地。一方の焼尻島は島の3分の1が深い原生の森となっており、森を抜けると羊がいる牧草地帯が広がっています。
今回は、そんな個性的な2つの島を女子二人が1泊2日で旅する「シマタビ北海道」。自然景観、海鮮料理、島の歴史から、恋が成就すると言われるパワースポットまで、島の見どころをご紹介します!
今回の行程(スケジュール)
1日目
08:00 【乗車】札幌駅前バスターミナル 沿岸バス「特急はぼろ号」(事前予約)
11:12 【下車】沿岸バス本社ターミナル
11:20 【乗車】沿岸バス本社ターミナル 沿岸バス「羽幌港連絡バス」
11:30 【下車】羽幌港
羽幌フェリーターミナルでチケット購入
11:40 【乗船】羽幌フェリーターミナル 羽幌沿海フェリー高速船「さんらいなぁ2」
12:15 【下船】焼尻フェリーターミナル
12:30 島っ子食堂でランチ「プレ・サレ焼尻」
13:30 レンタサイクル梅原でレンタサイクル
焼尻郷土館/ハートの坂道/オンコの荘/焼尻めん羊牧場
レンタサイクル返却
焼尻フェリーターミナルでチケット購入
15:10 【乗船】焼尻フェリーターミナル 羽幌沿海フェリー「おろろん2」
15:35 【下船】天売フェリーターミナル
15:40 おろろんレンタルでレンタサイクル
観音岬展望台(ハート型の崖を展望)
18:00 萬屋旅館で夕食、一泊(事前予約)
2日目
07:00 朝食
07:50 旅館から漁船乗場へ送迎(民宿栄丸・事前予約)
08:00 漁船クルーズ(民宿栄丸・事前予約)
09:30 天売郵便局
10:00 シーカヤック体験(観光案内所で受付・事前予約)
12:00 「海の宇宙館」見学
12:30 炭火海鮮「番屋」でランチ
レンタサイクル返却
天売フェリーターミナルでチケット購入
13:20 【乗船】天売フェリーターミナル 羽幌沿海フェリー 高速船「さんらいなぁ2」
14:20 【下船】羽幌フェリーターミナル
14:30 【乗車】羽幌港 沿岸バス「羽幌港連絡バス」
14:40 【下車】沿岸バス本社ターミナル
15:00 徒歩移動(TIARA/はぼろバラ園/北海道海鳥センター)
17:00 【乗車】沿岸バス本社ターミナル 沿岸バス「特急はぼろ号」
20:15 【下車】札幌駅前ターミナル
※羽幌沿海フェリーが運航するフェリー&高速船は季節によって運航ダイヤが変わります。旅行の前に運航ダイヤを確認しよう!
【動画】映像で天売島・焼尻島のシマタビを見てみよう!
札幌から天売島・焼尻島を目指すなら「特急はぼろ号」+「羽幌港連絡バス」がおすすめ!
今回は、札幌から天売島・焼尻島を目指しました。フェリーターミナルがある羽幌町までは、沿岸バスが運行する「特急はぼろ号」がおすすめです。
▼特急はぼろ号
本社ターミナルバス停で下車し、沿岸バスが船の発着に合わせて運行する「羽幌港連絡バス」に乗り換え。約10分で羽幌フェリーターミナルに到着します。
▼羽幌港連絡バスは前払い制。大人200円、幼児100円を用意しておこう
▼冬期間はラッピングバス「観音崎らいな号」での運行
羽幌沿海フェリーで焼尻島へ!
羽幌フェリーターミナルの窓口で、焼尻島行きのチケットを購入しましょう。羽幌沿海フェリーが運航するフェリー&高速船は、季節によって運航ダイヤが変わります。
9月からGW直前までは1日1~2往復ですが、GWと6~8月は1日4~6往復と増便。しかも近年6~8月は高速船の運賃が3割引のキャンペーンを実施しています。例えば、羽幌から天売島まで高速船に乗ると、通常4,100円のところ1,220円お得となる2,880円で乗船できます。運賃や便数の点でも、夏は比較的ラクに、お得にシマタビを楽しむことができますよ。
▼高速船「さんらいなぁ2」で移動!
今回は、羽幌から焼尻島までを高速船「さんらいなぁ2」で移動。スピードが速いので、フェリーで60分かかるところをたったの35分。こんなに近かったの?と驚くこと間違いなしですよ。
▼高速船「さんらいなぁ2」デッキから。いってきます!
▼高速船「さんらいなぁ2」客室内
▼高速船「さんらいなぁ2」操舵室(特別な許可を得て撮影しています)
▼あっという間に焼尻島に到着
高級サフォーク「プレ・サレ焼尻」を七輪で!
あっという間に焼尻フェリーターミナルに到着。荷物はフェリーターミナルのコインロッカー(200~300円)に預けることができます。
焼尻フェリーターミナルに併設されている焼尻島観光案内所。島の観光地や今日のランチにおすすめのお店を丁寧に教えてくれました。
▼観光案内所の高橋さんと記念撮影
おすすめいただいたお店は、フェリーターミナルの横にある「島っ子食堂」。焼尻島で飼育されている希少な高級サフォーク「プレ・サレ焼尻」をいただくことができます。島の静寂に包まれる中、屋外で七輪を使い、自分で焼いて食べるスタイル。サフォークは柔らかい肉質でジューシー!「あぁ、焼尻島に来たんだな」と感じられる一品です。
※プレ・サレ焼き肉の提供をしていない場合があります。カラスが狙っているのでご注意。
連絡先:01648-2-3176
営業時間:6月~9月末(不定休)
島の移動には自転車が便利。フェリーターミナルの横にあるレンタサイクル屋さんで自転車を借りておきましょう。
連絡先:01648-2-3559
営業時間:5月~9月20日
料金:2時間800円(超過1時間毎に200円)、1日乗り放題1,000円(電動自転車2時間1,500円、4時間2,000円)
焼尻郷土館で焼尻の歴史を学ぼう!
港を見下ろす高台にあるのが「焼尻郷土館」。ここで焼尻の歴史を学びましょう。
郷土館の建物は1900年築の旧小納(こな)家を利用した和洋複合建築の貴重な文化財で、漁業・呉服・雑貨商を営んでいたほか、郵便局・電信局を併設していたといいます。館内は当時の間取り、道具類などがそのまま展示されており、明治、大正時代にタイムスリップしかのような印象を受けます。
連絡先:01648-2-3392
営業時間:5月~9月末 9時~16時
ハート柄の坂道で恋愛成就?
焼尻郷土館から約200メートル北に進んだところに、細い坂道があります。路面をよく見ると、ハート型のくぼみがいくつもあることがわかります。坂の上まで約120メートル、登りきったら恋が叶うかも?
▼ハート柄と一緒に記念撮影
国内屈指のオンコ原生林を見に行こう!
めん羊牧場の北西にはオンコ原生林が広がっています。その数は国内屈指の約5万本と言われています。
中でもめん羊牧場の西に広がる「オンコの荘(しょう)」では、強風や積雪のために上に伸びず、地を這うように横に広がった形のオンコが見られます。「オンコドーム」と呼ばれるオンコの木は、中に秘密基地のような空洞があって入ることができます。
▼めん羊牧場周辺でサフォークの姿が見られるかも?
焼尻サフォークの姿を見られるのが、島の南東部にある「めん羊牧場」。牧場内には入れませんが、牧場の西側に広がる牧草地では、タイミングが良ければ約200頭のめん羊が放牧されているのを見ることができ、のどかな風景に癒やされます。
焼尻島から天売島へ移動!
レンタサイクルを返却したら、今度は天売島へ行ってみましょう。フェリーターミナルの窓口でチケットを購入。フェリー「おろろん2」に乗船し、約25分で天売フェリーターミナルに到着します。
▼フェリー「おろろん2」
▼フェリー「おろろん2」の操舵室(特別に許可を得て撮影しています)
▼焼尻島ありがとう!
▼天売港に入港
天売フェリーターミナルにも、観光案内所が併設されているので、天売島の観光名所について教えてもらうことができます。焼尻島と同様、荷物はフェリーターミナルのコインロッカーに預けることができます。
▼天売フェリーターミナルに観光案内所併設
また、天売島でも自転車移動が便利ですので、自転車を利用しましょう。今回利用したのはフェリーターミナル裏にある「おろろんレンタル」!
連絡先:090-8633-3906(01648-3-5125)
営業時間:4月末~9月末
料金:4時間1,000円(電動自転車2時間1,500円、4時間2,000円)
観音崎展望台でハート型の崖を探せ!
レンタサイクルで向かうのは、天売島北岸にある観音岬(かんのんざき)展望台です。坂道を登ること約30分(途中から一方通行路(6~8月限定)を通りますので自転車を降りて移動してください)。観音岬展望台の駐車場に到着。徒歩1~2分で展望台に到達します。
観音岬は、かつてはウミネコの一大繁殖地として知られ、今も数多くの海鳥が生息しています。高さ100メートル以上の断崖絶壁を一望することができ、南側を見るとハート型に見える崖があります。
▼晴れていればハート型の崖が見える
▼撮影日は残念ながら霧の中でした
▼帰りは下りなのでラク!
観音岬展望台へは自転車で往復60分を見ておくと良いでしょう。
海沿いの旅館で地元産ウニなど海鮮料理を堪能!
今回宿泊するのは、島の南東部の前浜漁港に近い萬屋旅館。窓を開ければ波の音が聞こえる、海沿いの旅館です。夕食は、地元で獲れたウニ、アワビ、ホタテ、エビなど海鮮尽くしの料理でした。特に大ぶりで口の中で甘くとろける新鮮なウニは絶品です!
▼殻付きウニがこれでもかと出てくる
▼汁物にもウニを贅沢に使っている
連絡先:01648-3-5224
営業時間:通年
夜に時間があれば、赤岩展望台のウトウの帰巣を見に行くツアーに参加するのもおすすめです(各宿泊施設を通る送迎車あり)。
→ウトウの帰巣についてはこちらの記事参照
天売島の海を楽しむアクティビティ
2日目は7時に朝食。7時50分にチェックアウトし、8時から始まる漁船クルーズを楽しみます。漁船クルーズは民宿栄丸が、天売港発着で1日に複数回運航しています。事前に連絡しておけば、宿泊先まで送迎車が来てくれます。
天売港を出港するのは、まさに漁船そのものです。船の後部にライフジャケットを着用して座ると、いよいよ出港。天売島灯台・ゴメ島を回り込んで、観音岬展望台の崖下、海鳥観察舎、屏風岩、そして海鳥繁殖地として有名な赤岩展望台の崖下をまわります。
海から見ると、天売島の北西海岸は人を寄せ付けない高さ100メートルを超える断崖絶壁の地形で、数え切れないほどの海鳥の営巣の様子が観察でき、海鳥繁殖に最適であることがよくわかります。
▼ハート型の崖も海から見ることが可能。どこかわかるかな?
後半は、島の南東の海岸をまわります。さきほどの断崖とは打って変わって、なだらかな斜面と住宅地が続きます。陸地からは見られない天売島の姿を見ることができるのが、この漁船クルーズの魅力と言えます。
連絡先:090-8425-9859
営業時間:5月~9月(荒天時中止)
天売島一周90分ガイド付き、2名より運航、定員12名
料金:大人3,000円、小学生半額、小学生未満無料
▼天売郵便局
漁船クルーズの後は、フェリーターミナルから自転車で約15分のところにある天売郵便局へ。郵便局では「天売郵便局来局証明証」がもらえます。
▼「本日、あなたは日本有数の「海鳥の楽園」天売島に上陸し、天売郵便局に来局されたことを証明します」
続いて楽しむのは、シーカヤック。「天売島おらが島活性化会議」が提供する体験メニューで、受付はフェリーターミナル隣接の観光案内所です。夏季限定のシーカヤックは、ウニ漁との兼ね合いで概ね10時過ぎから体験可能です。
▼焼尻島をバックにシーカヤック!
ドライスーツ(無料レンタル)に着替え、レクチャーを受けたら、さっそく海へ。ロンババの浜と呼ばれる場所から海に出て、焼尻島を見ながらシーカヤックを楽しみます。海の中を見れば、昨日食べたウニがいっぱい! 海底との距離が近いからこその体験がここにはありました。
連絡先:01648-3-5515
営業時間:6月~9月(荒天時中止)
料金:大人4,000円~
今回紹介した漁船クルーズとシーカヤックは事前予約制。あらかじめ問い合わせをお願いします。
炭火海鮮「番屋」で海鮮料理をいただく!
フェリーターミナルから徒歩約10分。高台に位置するのが「海の宇宙館」と炭火海鮮「番屋」です。
1999年にオープンした天売島ビジターセンター「海の宇宙館」は、ドーム状の建物の中に、天売島の海鳥や自然を写真パネルとして展示しています。渡り鳥情報を詳しく知りたいときにもこちらが便利です。オリジナルグッズの販売や喫茶コーナーもありますし、裏手にはキャンプ場もあります。
▼海の宇宙館
連絡先:090-4876-9001(5月~9月)01648-3-9001(年中)
入館料:無料
隣接する炭火海鮮「番屋」では、海鮮5品(ウニ・ホタテ・青つぶ・かれい・いか)の焼き物が一押しですが、今回は地元産の海鮮を使った「炙り海鮮丼」。エビ、タコ、サーモン、とびっこなど大ぶりの食材がこれでもかと丼に乗っかっています。番屋風の建物の中で、潮風を感じながらいただく海鮮料理に大満足です。
▼炭火海鮮「番屋」
連絡先:01648-3-5714
営業時間:4月下旬~9月末(不定休)
シマタビもいよいよ終盤へ! 羽幌町の観光地を巡ろう!
お腹を満たしたら、シマタビもいよいよ終盤。天売フェリーターミナルでチケットを購入し、高速船「さんらいなぁ2」に乗船します。焼尻島を経由して約1時間で羽幌フェリーターミナルに到着します。
羽幌フェリーターミナルからは、沿岸バスの「羽幌港連絡バス」に乗車し、本社ターミナルまで移動。札幌行きの「特急はぼろ号」は17時発。それまで道の駅ほっと・はぼろ周辺の観光地を巡りましょう。
▼道の駅ほっと・はぼろ
道の駅ほっと・はぼろの向かいにあるのが、ソフトクリームで有名な「TIARA」。甘えびソフトが2019年5月に発売になり話題沸騰中です。
→TIARAの甘えびソフトについて詳しくはこちらの記事参照
▼TIARAで甘えびソフト
道の駅の裏手では、「はぼろバラ園」が見頃を迎えています。300種類2000株のバラが咲き競うバラ園で、6月下旬から9月頃まで、赤、ピンク、白などさまざまな色のバラを楽しむことができます。
▼はぼろバラ園でバラに囲まれる
日本で唯一、海鳥の保護と研究を進めている専門施設「北海道海鳥センター」も隣接。断崖の巨大ジオラマや映像シアターがあり、天売島で繁殖する海鳥のことがわかります。天売島の漁船クルーズから見た断崖、そして飛び交う海鳥を思い起こしながら見学してみては。
▼北海道海鳥センターで天売島の海鳥について学ぼう
天売島・焼尻島をお得に旅しよう!
今回は1泊2日で、天売島と焼尻島の楽しみ方をご紹介しました。ただ、1泊2日では2島のすべての魅力をご紹介できなかったのも事実。もう少し長く島に滞在して、島の自然や島の人達との交流を楽しんでみてはいかがでしょうか。
札幌市から羽幌町までは沿岸バスの「特急はぼろ号」、フェリーターミナルまでは「羽幌港連絡バス」、天売島・焼尻島へは羽幌沿海フェリーのフェリー「おろろん2」と高速船「さんらいなぁ2」に乗船するだけ。乗り換えもスイスイでしたし、お得にシマタビを楽しめました。
天売島・焼尻島ってどこ? どんなところ? 何があるの? などなど、知らなかった方、行ったことがなかった方は、旅の候補地としてみてはいかがでしょうか?
【動画】映像で天売島・焼尻島のシマタビを見てみよう