地サイダーブームが起きてから数年。今も日本のどこかでその土地ならではのサイダーが誕生していて、2018年4月には大空町でも待望の地サイダーがデビューしました。しかしこれが、なかなかの問題作。特産物である網走湖産の天然大粒しじみエキスを、贅沢にインしたサイダーなのです。
いったいどんな味? なぜしじみだったの? 実際のところ売れているの? 謎だらけの「しじみインサイダー」に迫るべく、販売元である一般財団法人めまんべつ産業開発公社へとやって来ました。同公社は「道の駅メルヘンの丘めまんべつ」などを運営しています。
▼絵になる丘の風景で知られる大空町
▼道の駅メルヘンの丘めまんべつ
しじみ100個分のエキスを込めて、秘密裏に作られた魅惑のサイダー
大空町の「しじみインサイダー」について聞くなら、この人をおいてほかにはいません。「しじみインサイダー」を企画した、同公社の事務局長、福田重幸さんです。時々、北海道内のラジオやテレビの情報番組に登場して大空町の話題を発信していますから、福田さんの名調子を知る人もいることでしょう。
▼めまんべつ産業開発公社の事務局長、福田重幸さん
さて福田さん、「しじみインサイダー」はどのようにして誕生したのでしょうか?
福田:大空町でも地サイダーを作ろうと考えて、素材となる町の特産物をいろいろと検討しました。トマト、タマネギ、チーズ……。しかしどれもありきたりに思えて、やはり大空町らしいといえば網走湖産の天然しじみだろうと。ところがね、ほかの職員が猛反対! そんな気持ち悪いもの、誰も飲みませんよ、って。
そうでしょうね。
福田:でも私はあきらめきれなくて、こっそり作ってしまったの。(笑) それで納品になった時、驚く職員たちをなだめすかして試飲を勧めました。そうしたら、みんなこわごわと飲んでね、あら、おいしい!って言いました。
おいしいんですね。安心しました。
福田:そう、おいしいの。ゆず風味で爽やかです。安心してお買い求めください。「道の駅メルヘンの丘めまんべつ」内の「アンテナショップほのか」と、「ほのか女満別空港店」にて1本200円で販売しています。地サイダーですから、大空町内でのみ店頭販売することにこだわりました。
▼道の駅メルヘンの丘めまんべつ・アンテナショップほのか
▼「しじみインサイダー」は、ほのか女満別空港店でも購入できる
恐る恐る買われてヒット。カワイイ・おいしい・からだにうれしいサイダー
レトロかわいいラベルも魅力的ですね。お客様の反応はいかがですか?
福田:かわいいでしょう? 子どものころ、暑い夏の日に飲んだサイダーは本当においしかった。そんな懐かしさをラベルに込めました。お客様は、まずラベルに惹かれて手に取って、そしてしじみの文字を見てギョッとして、恐る恐るお買い求めくださいます。ええ、売れていますよ。ズバリ人気です。
では筆者もいただいてみましょう。キャップを開けてグラスに注ぐと、シュワシュワっと炭酸がはじけて、音も泡もおいしそう。そして問題の味は……、とっても美味です! さりげなくゆずが香ってコク豊か。しじみのフレーバーはどこにもありませんが、本当にしじみエキスが入っているのですか?
福田:もちろん入っています。しじみの臭いや味はありませんが、この1本330ミリリットルにしじみ100個分のエキスが含まれていて、肝臓機能や疲労回復を助けるといわれるオルニチンは35ミリグラム配合されています。瓶の下の方にキラキラとした細片が見られますが、これがしじみエキスが入っている証拠です。
▼網走湖の天然大和しじみは大粒
網走湖は日本三大しじみ産地の一つですが、これほど大粒のしじみが獲れるのは網走湖だけなのだとか。それは網走湖が資源保護のため、獲る大きさや漁獲量を制限してきた成果です。大切にされて大きく育った網走湖の天然大和しじみ。そのパワーがぎゅっと詰まった「しじみインサイダー」は、地サイダー業界でも、異色の新星として注目されそうな予感がします!
大空町しじみシリーズには、翌朝スッキリの「シジミドリンク」も
実は、「しじみインサイダー」が誕生する前から、大空町のしじみシリーズには複数のアイテムがそろい、人気を博してきました。例えば、2003年から発売されている「シジミドリンク」は、1本100ミリリットルに自慢のしじみ50グラム相当のエキスを含むエナジードリンク。
▼「シジミドリンク」262円もゆず風味
クエン酸、ビタミンC、ビタミンB群、ナイアシン、葉酸なども含み、糖分は人工甘味料ではなくグラニュー糖。のど越しは濃厚で、これは元気になりそうですね。
福田:飲み続けると実感しますよ。朝もめざめスッキリ。お酒の前や後に必ず飲むというファンもいます。あ、お酒といえば、今年の夏ころにはソーダ割りにぴったりの、甘くない「しじみ炭酸」を発売します。地元の飲食店にリクエストをされたので作ることにしました。こちらのラベルデザインにもご期待ください。
「しじ美醤油」は禁断の味。いつもの卵かけごはんが激ウマ!
しじみといえばアミノ酸が豊富でうま味成分が濃厚。その魅力を生かした商品も数々ラインナップしています。そのうちの一つがオホーツクブランド認証商品で、「日本ギフト大賞2018北海道賞」も受賞した「しじ美醤油」。
発売元は大空町のおおぞら三昧株式会社で、「道の駅メルヘンの丘めまんべつ」や「ほのか女満別空港店」でも販売されています。
福田:「しじ美醤油」は1本200ミリリットルで、白と濃色があり各756円。高価でしょう? だから私はお客様に「買わないほうがいいですよ」って言ってるの。一度使ってしまうと一生とりこになってしまって大変だから。なのに購入してくださる方が絶えなくて、リピーターが続出なんです。
「しじ美醤油」には、お試し用の100ミリリットル486円もありますね。とりこにする気、満々じゃないですか。ではもう筆者も「しじ美醤油」のとりこになります。どんな味わい方がおすすめですか?
福田:ちょっとつけたりたらしたりして、風味を楽しむとよいですね。ナガイモや豆腐、お刺身、卵焼き。そうそう、「しじ美醤油」は卵との相性がバツグンなんですよ。いつもの卵かけごはんがグレードアップしますよ。
▼「しじ美醤油」の卵かけごはんを体験してみて!
「しじ美醤油」のほかに、「しじ美つゆ」や「しじ美ポン酢」、「しじ美ドレッシング」までそろっていますね。
福田:いずれも「しじ美醤油」をベースとしたシリーズです。私は「しじ美ポン酢」もお気に入りなんですが、先日、すごいことを発見してしまいました。たまたま出張先の鹿児島で、生卵につけていただくしゃぶしゃぶを体験したので、自宅でもやってみたんですよ。生卵を溶いて、「しじ美ポン酢」をちょっと入れて。そうしたらこれがね、最高でした。
なるほど! 卵と「しじ美醤油」の相性がバツグンということは、卵と「しじ美ポン酢」だって合うわけです。これこそ、「摩訶不思議な出会い」。ところで福田さん、めまんべつ産業開発公社から売り出す、新たな「しじみ」アイテムの構想はありますか?
福田:私の頭の中にはありますよ。でもまだ秘密です。
今度はどんな商品が登場するのでしょうか。今後も大空町のしじみシリーズから目が離せません。
一般財団法人 めまんべつ産業開発公社
所在地:北海道網走郡大空町女満別昭和96番地
電話:0152-75-6160
営業時間:9時〜18時