【利尻町】利尻島西海岸を走る道道108号線沿いに、小さいながらも真っ赤な鳥居と祠が海に向かって建っている場所がある。[地図] 道路にある駐車場からは、鳥居をくぐった先に、小さな橋が海に浮かぶ岩に向かって架かっており、その先の岩の上に祠が建立されている。これが「北のいつくしま弁天宮」。そしてこのまわりには、なぜか、寝てる熊に見える「寝熊の岩」、人の横顔に見える「人面岩」といった奇岩も多く、一緒に観光することができる。
「北のいつくしま弁天宮」とそれが建つ「龍神の岩」
言い伝えによれば、弁財船がこの付近を通った際に嵐で岩に打ち砕かれそうになった際に、弁天様に救われ、それに感謝した船乗りたちが弁天宮を建てたという。
一方、この祠が建つ岩を「龍神の岩」と呼んでいるが、これにも由来がある。古老の話によれば、大正時代初期のある日暮時、大沢から地鳴をたてて下りてくるものがあったのだが、それはこの大岩付近で消えたという。当時は吉凶何れかのお告げとして誰もが黙して語らなかった。そんなあるとき、通りかかった修行者が、この大岩に祠を建て信仰するよう伝えて立ち去った。
こうして、1979年に「北のいつくしま弁天宮」の標識を建立し、はじめて「龍神の岩」が世に知られることになる。その翌年には、元総理大臣・三木武夫氏が揮毫して利尻町観光連盟が碑を建立した。そのようなわけで、この「龍神」が「北のいつくしま弁天宮」の守護神として信仰が深められるようになった。現在も地元住民の信仰の地として知られる。
寝そべっている熊に見える?穴澗「寝熊の岩」
北のいつくしま弁天宮の近くで見下ろすことができるのが「寝熊の岩」だ。その名の通り、大きな熊が海の上に寝そべっているかのように見える岩だ。角度によって微妙にそっくりに見えるか変わるが、耳の位置がわかれば、熊が頭を海のほうに向けて寝ている、という姿が何となく見えてくるはずだ。
かつて、この地には先住民族の住居跡と言い伝えのある穴澗があったが、道道の道路工事で埋没してしまったという。そして最後に残った穴澗が、この寝熊の岩だとされている。これにちなみ、1965年5月2日、時の運輸大臣・松浦周太郎氏が来島した際に揮毫し、利尻産自然石に刻み建立した、寝熊の岩碑がある。碑は同年8月に建立された。
ヒグマが生息していないとされる利尻島で、『熊』を見ることができる場所だ。
人の横顔に見える?「人面岩」
さらに「人面岩」がある。岩場の中に、ひょこっと飛び出している丸っこい岩があるが、それが「人面岩」だ。ちょうど岩場から頭を出しているかのようで、人の横顔にも見える。岩の頂上部に、白い鉢巻が巻かれているのだ。いうなれば、人面というより、頭そのもの。言われてみれば、そう見えてくるかも?
道道108号線沿いには駐車帯があり、そこに車を止めて、3つのスポットすべて見て回ることができる。言い伝えが多く残る、奇岩の多い海岸線。赤い鳥居と祠を目印に、足を止めてみはいかが。