音威子府村の幻の黒い蕎麦!道の駅の「麺屋一ふじ」で肉蕎麦を食す!

北海道、いや全国でも非常に珍しい蕎麦『音威子府蕎麦』をご存じでしょうか?
その黒い外見と香ばしい蕎麦の香を知れば誰でも病みつきになってしまう黒い魔法の蕎麦。この蕎麦を食べるため、音威子府村へと足を運びました。

道の駅で食べられる「麺屋一ふじ」の音威子府蕎麦とは?

昨年美深まで開通したばかりのバイパスを抜け、美深から1時間半をかけやってきたのは、音威子府の「道の駅おといねっぷ」にある蕎麦処「麺屋一ふじ」。
平日の昼を過ぎた時間というのにお客さんが絶えません。

今回ご紹介するのは、同店で人気の「肉そば」です。
この見た目でわかる通り、蕎麦は黒さを極めています。角切りの麺も太いですが、それだけでは出せない歯ごたえを一口目に感じ、同時に口の中に香ばしい香りが一気に広がります。

肉も歯ごたえ抜群。これ以上ない食べごたえの蕎麦となっています。さらにお値段も一杯680円と非常にリーズナブル。冬ということもあり、温かい音威子府の肉蕎麦は冷えた体を癒すにはあまりにも十分すぎる味です。

音威子府蕎麦とは

音威子府蕎麦とは、音威子府地方でのみ生産される全国でも珍しい黒い蕎麦です。
この独特の蕎麦が生み出される秘訣は、通常取り除かれるはずの甘皮をそのままに挽いていれる「挽きぐるみ」という製法を使用しているからです。蕎麦が本来持っている甘味と風味、そして野性味すらも閉じ込めた、これ以上ほどない純粋な蕎麦なのです。

90年以上の歴史がある幻の蕎麦

同店店長の藤原さんは「音威子府蕎麦は90年以上前から作られている歴史ある蕎麦で、この蕎麦こそ店のこだわりなんです」と語ります。

同店の蕎麦は音威子府村にある畠山製麺所が製造しており、その発祥はもともと音威子府にあった天北線(1989年廃線)の駅ソバが発祥であったと言われています。

当時、音威子府は天北線の分岐点であったため、駅のホームで乗り換えの待ち合わせをするお客さんが多かったとか。そこで、駅のホームで食べられるものをと駅蕎麦が作られ、そこで音威子府蕎麦が生まれたそうです。

この蕎麦の味が評判となり、全国から集まる鉄道ファンが音威子府で蕎麦を食べていたそうなのですが、その特徴的な蕎麦の噂が徐々に広がることとなり、音威子府の街中にも多くの蕎麦屋さんができたのです。

しかし、天北線の廃止や少子高齢化の影響もあり、次第に店舗が減っているといいます。

夏・冬問わず楽しめる味

香りが強く歯ごたえも抜群の音威子府蕎麦は、これからの季節、温かい蕎麦で食べるとその味は格別です。とにかくパンチの強い味だけに、濃い目の温かいつゆと合わさると、他の温蕎麦では物足りなくなってしまいます。

しかし、音威子府蕎麦を最も美味しく食べるのは盛り蕎麦です。香ばしい蕎麦の風味と味を素直に楽しむなら、温かい蕎麦よりも冷たい蕎麦のほうが向いているといいます。

駅蕎麦が発祥ということもあり、肉やてんぷらをのせた温蕎麦のイメージが強い蕎麦ですが、冷たい蕎麦を夏場に食べるのも格別とのこと。一度味わえば二度と忘れることが出来ない蕎麦だけに、ぜひ一度味わってみてください。

麺屋一ふじ
所在地:北海道中川郡音威子府村音威子府155 道の駅おといねっぷ内
TEL:01656-5-3111