十勝といえば広大な大地をイメージする人も多いかと思います。そんな十勝で、個人の趣味ではじめられた庭づくりが、今や壮大なガーデンとなって観光客で賑わっていると聞きました。なんでも無料で開放されており、たくさんの木々や花が植えられ、小川が流れ、牛やポニーまでもいるのだとか。いったいどんな場所なのか、訪れてみました。
進化し続けるヌップクガーデン
ガーデンの名前は、十勝ヌップクガーデン(以降ヌップクガーデン)といいます。帯広駅から南方向にあり、直線距離で約15kmに位置します。帯広から行くなら、浦河町までを結んでいる国道236号線(広尾国道)を利用するといいでしょう。
▼ヌップクガーデンMAP(提供:東洋印刷(株))
ヌップクガーデンの広さは、なんと4ヘクタール。その敷地内に、イチョウ、エゾヤマザクラ、ハルニレ、もみじ、ライラックなど80種類以上の樹木、アジサイ、バラ、ブルーベリー、ルピナス、芝桜、チューリップ、ユリなど120種類以上の花が植えられています。
▼ヌップクガーデン内を流れる川
園内には水源が3ヶ所あり、川となって流れています。その3本が1つにまとまり、ヌップク川となっているのです。ヌップクとはアイヌ語で平野を流れる川のこと。そこからガーデンの名前が付けられました。
▼ヌップク川を泳ぐニジマス
気になるのは、このヌップクガーデンが個人の庭だということ。どのような経緯でこれほど立派なガーデンができあがったのか、マネージャーの平井さんにお話を伺いました。
「この場所は、オーナーの吉川さんが経営していた牧場の一部でした。飼料や機械を置く倉庫があったのですが、使わなくなったため処分したところ、ずっと手を入れていなかったので原野のようになってしまったのだそうです」
そこで、ここをきれいにしようと、オーナー夫婦が自分たちで木を伐採したり、土を入れたりするうちに、庭づくりがはじまったといいます。今から10年ほど前のことでした。
▼オーナーの吉川広司さん(左)とマネージャーの平井彰さん(右)
庭づくりはこだわりを増し、やがて友人知人が見学が訪れるほどに。そこでみんなで食事ができるレストランもつくったところ、評判が評判を呼び、やがてはガーデンも無料で開放するようになりました。
▼2012(平成24)年8月にオープンしたレストラン
「自然の草花の美しさを保つには、きちんと手を掛けてあげなくてはいけません。ガーデニングには終わりがないのです。まだまだ花の種類も増やしていきたいですしね」と、オーナーの吉川さん。
▼小川には木製の水車が
今年(2017年)は、蘭とミニ水族館をオープンさせました。ずらり並んだ鉢植えの蘭と、鯉や金魚など11種類1,000匹以上が展示されています。
▼今年7月にオープンした蘭とミニ水族館がオープン
季節や目的によってさまざまな楽しみ方が
これだけの規模のガーデンが無料で見られるとは驚きです。ガーデンに入園できるのは、日の出から夜まで。暗くなってから21時まではイルミネーションを楽しむことができます。
▼イルミネーションに照らされるガーデンも幻想的
また、ガーデン併設のレストランでは、自然を愛でながら食事することができます。
▼大きな窓からガーデンを眺められるレストラン
たくさんあるメニューの中から、おすすめを教えていただきました。
▼ハンバーグランチ 1,300円(税込)
オーナーの吉川さんが畜産関係の会社も経営していることから、A5ランクの黒毛和牛をリーズナブルに食べられるのがこのレストランの魅力です。ハンバーグに使われている挽肉も、もちろんA5ランクの牛肉100%。肉汁たっぷり、本格的な味わいをこの価格で楽しむことができます。
▼ヌップクサラダうどん 920円(税込)
暑い季節におすすめなのがヌップクサラダうどんです。鶏肉の甘辛煮とサラダが乗せられたもので、ヘルシー志向の女性に人気です。
▼ソフトクリーム
食後にぜひおすすめしたいのがソフトクリーム。清水町のあすなろファーム産のソフトクリームで、ミルクの味がしっかりしています。口溶けがよく、食後でもさっぱりといただけます。
ヌップクガーデンは、これだけ多くの木々や草花が植えられているので、春夏秋冬どの季節に訪れてもそれぞれの見どころがあります。
▼秋のヌップクガーデン(写真提供:東洋印刷(株))
雪の季節に訪れても、真っ白に染まったガーデンはロマンチックな表情を見せてくれます。
▼冬のヌップクガーデン(写真提供:東洋印刷(株))
近くに住む人なら、散歩に利用するも良し、デートで訪れるも良し。もちろん、遠くから訪れる価値も大いにあります。また、ガーデニングを趣味にする人は、一度は訪れてみたいところではないでしょうか。
【動画】ヌップクガーデンを散策してみた(ドローンからの映像含む)