北海道怪獣伝説「クッシー」とは何なのか

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北海道の怪獣といえばこれしかないでしょ!

 未確認生物。なぞに包まれたミステリーな話は世界各地にあり、世界各地に
広まっています。では北海道にはそういった話があるのか……。道産子にとって
「クッシー」はなじみのある名前でしょうか。「ネス湖のネッシー」の話が出ようもの
なら、すかさず「屈斜路湖のクッシー」を引き合いに出したものです。北海道にも
そういうのがいるんだぞといわんばかりに。

 そう、北海道の怪獣物語の代表例といえば、今述べた「クッシー」なのです。
道東の弟子屈町にある屈斜路湖で、1973年7月に北見から遠足にやってきていた
中学生らが、なにやら怪しげな動く物体が湖面を泳ぐのを目撃したのが発端となり
ました。目撃場所は美幌町藻琴山。

 早々とメディアを通じてその騒動はまたたくまに全道へ広がりました(その直前にも
別の目撃者あり)。以後目撃情報が相次ぎ、取材も殺到し、野次馬な観光客も
続々とやってきて、たちまち人気の観光名所に。

 それ以前にも、アイヌの人たちの伝説があって、巨大生物大蛇が恋人を湖の中
島まで運ぶというもの、冬に湖面の氷が裂ける御神渡りと呼ばれる現象は大蛇の
せいだというものまであります。

クッシー熱は今……

 目撃情報は、ネッシーと同様、首長竜、体長は10~15メートルといったところ。
ネス湖に似た自然環境ということもあって注目を集めました。「クッシーを守る会」
とか「ネッシーとクッシー(作詞:前川市治郎さん、唄:田中星児さん)」といった歌まで
作られる人気ぶり。

 町もクッシーのオブジェをあちこちに作るプロジェクトをたちあげる熱の入れようでした。
とはいうものの湖自体は弟子屈町の所有。美幌町は湖を展望するしかできないん
ですが、「美幌のクッシー騒動」として紹介されてしまっていますね。

 さて、1980年頃以降目撃情報はほぼ皆無となり、現在に至っています。科学的
にも巨大生物が生息することは不可能とされています。今では子供たちでも知らな
いことが多いくらい忘れられる過去の出来事となってきています。

トッシーも忘れてはいけない……かも

 北海道は大自然で神秘な湖が多いことも手伝って、怪獣伝説は他にもあるよう
です。たとえば洞爺湖のトッシー。実はこちらのほうがクッシーよりも早い目撃で1946
年のこと。知名度も余りありません。これとクッシー、そして鹿児島のイッシーを一般に
「日本三大湖底水棲獣」と呼びます。