函館と周辺地域のお土産屋さんでよく見掛ける謎のお土産「モナスク」をご存じでしょうか。辞典のような形をしたパッケージに入っていて中身がよくわからないため、気にはなっていても買うのをためらっているという方もいるのでは。そこで、製造元を直撃して「モナスクっていったい何なの?」と尋ねてきました。
まずは、あのパッケージの中身を拝見!
「モナスク」を製造しているのは、北斗市の洋菓子店「ジョリ・クレール」。函館駅からは車で約25分、北海道新幹線新函館北斗駅からは車で約20分の国道沿いにあります。
▼エメラルドグリーンの三角屋根がかわいらしい店舗
▼ショーケースに色とりどりのケーキが並ぶ
お目当ての「モナスク」はショーケースの向かい側にありました。壁一面が引き出しになっており、その中に様々な形状の焼き菓子がぎっしりと並んでいます。なるほど、これがあのパッケージの中身だったとは。でも、よく見るとこれ、洋菓子らしからぬ見た目をしているような……。
「モナスクはモナカの皮を使った焼き菓子ですよ」と教えてくれたのは、ジョリ・クレールを運営する末廣軒の佐々木善史常務。末広軒は1933(昭和8)年創業の老舗和菓子店で、1996(平成8)年に洋菓子ブランドとしてジョリ・クレールを立ち上げました。
モナスクが誕生したいきさつ
モナスク誕生のきっかけは、意外にも2010年の箱館奉行所復元にありました。この時、函館地域の和洋菓子店からなる「函館スイーツの会」(当時)は奉行所の外観を再現したモナカ皮を作り、加盟各店で「箱館奉行所最中」として売り出しました。
末廣軒もこれに参加しましたが、同時にモナカ皮にサブレ生地を詰めて焼き上げた焼き菓子も作り、モナカとラスクを合わせた「モナスク」の商品名でジョリ・クレールから発売しました。モナカのパリパリ感とラスクのサクサク感が同時に楽しめるのが特徴で、モナカ皮の香ばしさとサブレ生地の濃厚なバターの風味が一体となり、続けて何個も食べたくなってしまうほどのおいしさです。
▼モナカ皮にサブレ生地が詰まっている
その発想は、函館の街並みに今も残る「和洋折衷文化」がヒントになっています。和洋の違いはあれど、もち米を餅にしてから焼くモナカ皮と、小麦粉をこねて焼くサブレ生地とは相性がよいはずだ、と佐々木常務は考えました。生菓子主体の洋菓子店において、お土産として持ち帰ってもらえる日持ちのするお菓子も提供したいとの思いもあったといいます。
箱館奉行所、金森倉庫、五稜郭、中空土偶茅空……増えるバリエーション
こうして誕生した「モナスク」は手頃な価格と抜群のおいしさで徐々にファンを増やしていき、2011年には「ニッポン全国ご当地おやつランキング」の北海道代表に選ばれるまでになりました。
味のバリエーションも増え、現在はプレーンタイプの「箱館奉行所」にメープル味の「金森倉庫」、チョコ掛けの「五稜郭」、抹茶ガゴメ昆布風味の「中空土偶茅空(かっくう)」を加えた「函館名所シリーズ」全4種類が店頭に並びます。
パッケージが辞典の形をしているのは、歴史ある函館ならではのアカデミックな雰囲気を感じてもらいたいとの理由からだそうです。
▼函館の名所などをかたどった「モナスク」シリーズ
▼モナスクの断面。見るからにサクサクしている
続いて2014年には、北斗市のマスコットキャラクター「ずーしーほっきー」の様々なポーズをデザインしたモナカ皮も新たに製作。黒ゴマを練り込んだ生地でセメント工場を表現するなど、北斗市の特徴をイメージした4つの味を考案し、こちらも好評を博しています。
▼「ずーしーほっきー」のモナスクシリーズ
今では、ジョリ・クレールが製造販売する焼き菓子類の中で一番の人気商品に育った「モナスク」。軽くて常温で保存できる上、モナカ皮のおかげでクッキー類などに比べて割れにくいため、持ち帰りや発送にも最適です。和と洋の組み合わせから生まれる絶妙のハーモニーをぜひお楽しみください。
所在地:北斗市中央2丁目1-5
電話:0138-73-3122
営業時間:10時~19時
定休日:年中無休