広大な十勝平野を舞台にした熱気球の町として知られる上士幌町に2020年6月11日、新たに「道の駅かみしほろ」が誕生しました。意外にも上士幌町にはこれまで道の駅がなく、町にとってはまさに待望のオープン。道内で127番目、十勝では15番目となる道の駅かみしほろの魅力を伝えます。
「ここが旅の目的地」をコンセプトにオープン
道の駅かみしほろは、帯広と阿寒方面を結ぶ国道241号と帯広を起点に紋別へと至る国道273号が交差する地点に位置します。帯広の中心街から車で約50分。上士幌町市街地の玄関口に広がる約2万3000平方メートルの敷地に建つ、1550平方メートルの鉄骨平屋の建物です。
入口に向かうとまず目を引くのが、前面ガラス張りの外観。期待を胸に館内に入れば、高い天井から床までのワイドな窓から陽の光が射し込む開放的な空間が。広々としたスペースにゆったりとした間隔でテーブルが並び、フロアを取り囲むように物産店やテイクアウトショップが配置されています。
道の駅かみしほろのコンセプトは「ここが旅の目的地」。施設の運営を担う上士幌町観光地域商社「株式会社Karch(カーチ)」の事業統括部長、中田将雅さんはこう話します。
「目指しているのは、訪れる人が思い思いの楽しみ方でゆっくり過ごせる道の駅です。館内にはスイーツのお店やテイクアウトショップ、町民に親しまれているパン屋が出店しています。本格的な洋食レストランも目玉の一つです。さらに、敷地内にはテラス席や広い芝生、ドッグランがあります。食事でもアウトドアでも、目的を持って来てもらえるような道の駅にしたいと考えています」
館内でイートイン、テイクアウトしてテラス席で――過ごし方は自在
地元で人気のベーカリー「トカトカ」が移転
では、地元で人気のベーカリー「トカトカ」から紹介するとしましょう。
▼道の駅かみしほろに移転オープンした町の人気ベーカリーは、選ぶのが楽しくなる豊富な品ぞろえ
トカトカは以前、別の場所に店舗を構えていましたが、この度、道の駅かみしほろに移転オープンしました。北海道産小麦と自家製酵母を使ったパンが評判の、地元はもちろん近隣の町にも多くのファンを持つベーカリーです。
驚くことに毎日80種類ほどのパンを並べるそうで、確かに、売り場に併設する工房から次々に焼き立てのパンが運ばれてきます。中でも高人気なのが2斤の角食パン「トカショク」(399円)。棚にはしっかり「お客様支持率№.1」のパネルも貼られています。
▼トカショクを目当てに来店する人は少なくない
▼十勝ナイタイ和牛カレーパンは午前中に完売することもしばしば
道の駅かみしほろのインフォメーションスタッフで、町民でもある佐藤紗代さんによると、「十勝ナイタイ和牛カレーパン(237円)とクリームホーン(227円)も、午前中に売り切れることがあるほど人気」とか。ヒット商品を確実に購入するためには、早めの来店が正解かもしれません。
テイクアウトショップ2店舗
テイクアウトショップは2店あります。「THE SANDO(ザ サンド)」と「UC STAND (ウーシー スタンド)」です。
▼十勝初出店のパンケーキサンドの専門店「THE SAND」
THE SANDOはパンケーキのモダンサンド専門店。十勝産の小麦や甜菜糖、地元の牛乳やハチミツを材料にしたふわふわの生地でカスタードやあんなどの具材を挟んだ、どら焼きとは似て非なるスイーツを提供しています。
▼人気№.1の「ストロベリーカスタードサンド」とパンケーキのふわふわ感がたまらない「モカサンド」
イチゴを大胆に並べた数量限定の「ストロベリーカスタードサンド」(テイクアウト410円)とモカクリームを挟んだ「モカサンド」(テイクアウト350円)が特に売れ行き好調だそうです。他にオリジナルのソフトクリームやソフトドリンクも楽しめます。
▼地元産の牛肉や野菜を手軽なメニューで提供する「UC STAND」
もう1店のUC STANDは肉も野菜も十勝産にこだわったメニューを揃えるテイクアウトショップです。看板メニューは地元の十勝ハーブ牛をたっぷりとのせた「UC(ウーシー)丼」(テイクアウト1,200円)。国産牛を使った贅沢なこの牛丼、他ではなかなか味わえないかもしれません。同じくメニューに並ぶアメリカンビーフをのせた「U.S.丼」(テイクアウト800円)と食べ比べてみてはどうでしょう。
▼右が十勝ハーブ牛の牛丼「UC丼」。上士幌産野菜のサラダは260円
「THE SANDO」と「UC STAND」で購入したメニューを、テイクウトするのではなく館内で食べることも可能です。その場合はイートイン価格になることを忘れずに。
地場産食材を使ったコース料理で満ち足りたランチタイムを
洋食レストラン「La Table de KAMISHIHORO(ラ ターブル ドゥ カミシホロ)」は、ドアで仕切られた独立した一角にあります。こちらも、目の前に芝生を望むことのできる快適な空間。地場産の食材をふんだんに使った本格的なコース料理を、ゆったりと味わえます。
▼店名の「La Table de KAMISHIHORO」は「上士幌の食卓」を意味する
▼景色を望みながらコース料理を楽しめる
そのコース料理は3種類。5種類のパスタからメインディッシュを選ぶ2,000円コース、日替わりの魚料理と道産豚を使った肉料理からメインを1品選ぶ3,000円コース、本日の魚料理と十勝ハーブ牛をメインにした5,000円のフレンチフルコース。すべてに前菜、トカトカのオリジナルブレッド、上士幌産ビーツのポタージュ、デザート、上士幌産大豆コーヒーなどの飲み物がセットされています。
▼魚料理と十勝ハーブ牛の1皿をメインディッシュにした5,000円のフルコース(写真提供:道の駅かみしほろ)
▼2,000円のコースはメインディッシュを5種類のパスタから選ぶことができる(写真提供:道の駅かみしほろ)
▼カフェ&バータイムにワインとチーズで優雅な気分を味わうのも乙(写真提供:道の駅かみしほろ)
本格レストランだけにワインリストも大充実。シニアソムリエが厳選した白、赤、シャンパンなど約40種類のワイン(3,000~1万7,000円)を揃えています。15時からのカフェ&バータイムにワインとチーズの盛り合わせ(1,800円)などをオーダーし、くつろぎのひと時を過ごすもよしです。
その一方で、ファミリー客向けに「お子さまセット」(1,000円)を用意しているところが、家族連れも多い道の駅にあるレストランならでは。ピラフにハンバーグ、エビフライ、スープ、デザートが並んだセットが、子ども心をくすぐることは間違いなさそうです。
新鮮野菜から名産品まで上士幌町の逸品がここに集結
ところで、道の駅といえば外せないのが地元の名産品や地域産品を扱う物産コーナー。道の駅かみしほろにも、地元の農業生産者が育てた野菜や町の名加工品を揃えた特産品直売ショップがちゃんとあります。
▼地元で採れた旬野菜の購入も道の駅での楽しみの一つ
「かあちゃん ばあちゃん 本日のお野菜」コーナーには、カリフラワーやアスパラ、春菊など旬の野菜が。時期によっては、農家のおかあさんが朝採りしたワラビやフキ、ウドなどの山菜も売られています。
▼取材をした6月には山菜も並んでいた
上士幌町の名産品は通路を挟んだコーナーにラインナップされています。十勝産の牛乳やバター、小麦粉を材料にした十勝製菓のキャンディ。蜜蜂の飼育からハチミツ採取、製造まで一貫して手がける十勝養蜂園の純国産ハチミツ。放牧牛からその日の朝に搾乳した牛乳と北海道産グラニュー糖のみで作る十勝しんむら牧場のミルクジャム。道の駅を訪れたなら、「上士幌の味」を見逃すわけにはいきません。
▼上士幌町をはじめ十勝の特産、名産品を取り揃えた物産コーナー
▼十勝製菓の2020年新商品「北海道ミルクCANDY」は濃厚な味わい
▼まろやかでクリーミ―な十勝しんむら牧場のミルクジャム
また館内には「ふるさと展示」のコーナーが。「上士幌町教育委員会」と「ひがし大雪自然館」が交代で展示を担当するそうで、オープン時から2020年10月31日までは自然館が「上士幌の哺乳類と鳥類」をテーマに、町内に生息する哺乳類や鳥類の剥製を展示しています。
▼上士幌町では30種の哺乳類と170種の鳥類が確認されているという
ここまで館内を紹介してきましたが、道の駅かみしほろはアウトドア要素も魅力大です。広々とした敷地内には24時間無料で開放しているドッグランやピクニック気分が味わえる芝生の広場があり、7月下旬からはバルーンの体験搭乗も始まる予定。道の駅は上士幌町が管理するレンタサイクルの貸出場所にもなっています。
▼ドッグランの利用はフリー。いつでも愛犬を遊ばせることができる
駐車場は265台のスペースを確保。電気自動車急速充電器も1台備えています。キャンピングカー専用駐車場も来春に整備される予定です。
十勝で15駅目となる道の駅かみしほろ。上士幌の食材を味わいに、町の逸品を買い求めに、アウトドアを満喫しに――。ここを旅の目的地に訪れてみてはどうでしょう。
道の駅かみしほろ
所在地:北海道河東郡上士幌町字上士幌東3線227番地1(国道241号沿い)
電話:01564-7-7722
休館日:年末年始
開館時間:9時〜18時 (10月下旬~4月上旬 9時〜17時)
レストラン:ランチタイム/10時30~15時、カフェ&バー タイム/15時〜道の駅閉館まで
公式サイト