「帯広の森」には道内一美しい『ガラスのない電話ボックス』がある?!

【芽室町】 帯広市と芽室町の境界にまたがる「帯広の森」をご存じだろうか。帯広の町はずれ、木々に囲まれる自然豊かな空間には、プロ野球の試合も行われてきた野球場、スピードスケート場などスポーツ施設も集結し、市民の憩いの場・スポーツの場となっている。

そんな帯広の森はあまり観光として行くような場所ではないかもしれないが、知られざる意外なスポット・見所がある。そのひとつが今回紹介する『ガラスのない電話ボックス』こと「森の電話ボックス」。帯広の森をよく利用する人は見かけたことがあるかもしれないが、実はこれ、「北海道で一番美しい公衆電話」として知る人ぞ知る存在なのだ。

ガラスのない電話ボックスの正体


「帯広の森体育館」横 [地図](帯広の森研修センターと体育館の間) に、赤・黄・白・緑の色違いの4本の柱があって、緑色の屋根が乗っかる構築物がある。柱だけでガラス戸やガラス板はなく、良く見ると、茶色の台座に段が付いている。実はこれが噂の電話ボックスなのだそうだ。

台座に乗ると(屋根の下に入ると)、小さなボックスがあり、動物のイラストともに「でんわ―森の電話ボックス」と書いてある。茶色のボックスを手前に引いてみると、普通の公衆電話が入っていた。最近は携帯電話の普及であまり見かけることのなくなった緑色の公衆電話(久しぶりに見た……)。

カラフルでオシャレで可愛らしい見た目は、すぐにそれと見分けがつかない。しかし、ボックス内の壁には「NTT東日本」「公衆番号:007075」「所在地:河西郡芽室町北伏古東7線6」と表記されており、実際に使うことだって可能だ。



自然環境を意識できる「風を感じる電話ボックス」


そもそも、この不思議なたたずまいの電話ボックスは、なぜここにあるのだろうか。とかち帯広デザイン振興協議会の金澤和彦さんによると、「1990年に『帯広の森』をテーマに食やファッション、音楽など幾つかの分野でデザインを試みた成果の一つ」という。設置当初のコンセプトは「自然環境を意識できる『風を感じる電話ボックス』」といい、2014年で設置24年目になる。

電話ボックス自体は、電話機と土地を除き、同協議会が保有。そのため、毎年6月にメンバーが集まり、ペンキの塗り替えや周辺の清掃を行い、奇麗な電話ボックスを保つようにしている。

2008年度には、日本公衆電話会主催の「全国美し公衆電話コンテスト」北海道地区部門で入賞し、「北海道で一番美しい公衆電話」と言われている。帯広の森に出かける機会があれば、一風変わった「森の電話ボックス」に立ち寄って、実際にかけてみてはいかが。