深川から留萌を経て増毛まで走る留萌本線。その終着駅が増毛町の増毛駅である。1921年11月5日に開業した木造駅で、現在は無人駅となっている。駅ホームには一本のレール、車止めが置かれ、なんと一日に6.5往復しか運行されていない。たまにホームに止まっているローカル車両のある風景がまた趣がある。また、1981年の映画「駅 STATION」で駅や市街地がロケ地となったことでも知られている。
増毛駅を降りると、街中にはレトロな建物が林立している。どこか懐かしい、時が止まっているかのような街並みだ。駅前には木造3階建て「旅館富田屋」、その横の角地に立地する木造「増毛駅前観光案内所」がある。共に1933年築で、映画「駅 STATION」にも登場した。観光案内所に掲げられている「風待食堂」という看板はそのまま残されており、ラーメン店になったりした後、2001年に観光案内所になって現在に至る。
駅前の観光だけでも十分味わい深いが、2012年4月28日からは駅でオススメの絶品ご当地グルメも楽しめるようになった。それが、増毛駅に入っている孝子屋ぐるめ食品株式会社(増毛町)の水産品直売店「孝子屋」、増毛産そば粉を使った地元有志による立ち食いそば「そば処増毛駅」。特に「孝子屋」内では、増毛産の水産加工品を陳列販売するほか、調理場を併設しており、美味しそうなにおいが駅前に漂ってくる。中でもオープン以来人気なのが「孝子屋」内で調理販売する「たこ親爺の蛸ザンギ」だ(2011年は増毛駅前通ぐるめ食品フードコーナーで販売していた)。
「タコザンギ」は1カップ400円で販売する手頃な増毛グルメであるためか、連日多くの観光客が購入していく。オーダーを受けてから、一口サイズのタコの柔らか煮を揚げて調理するとあって、少し時間がかかるが、出来たてのアツアツタコザンギは素晴らしく美味しいのである。とにかく、想像以上に柔らかく、歯を使わなくても噛み切れるのではないかと思うほど。実際はそんなことはないが、これだけ柔らかく作れること自体が驚きで、揚げているにもかかわらずプリプリした食感を楽しめるのは素晴らしい。
増毛駅で販売される「たこ親爺の蛸ザンギ」は大変満足の味であるので、増毛町観光の際は、歴史的建造物巡りと合わせて是非ともオススメしたい。