食パンで挟んで4辺を圧着したサンドイッチといえば、北海道では「ラブラブサンド」をイメージする人がなくありません。実は北海道で40年近い歴史を誇るロングセラー商品であり、道民のソウルフードとして定着しています。
なぜ「ラブラブサンド」というのでしょうか。これまでどんな商品が発売されてきたのでしょうか。その歴史について、製造元の日糧製パン(本社:札幌市豊平区)に聞きました。
「ラブラブサンド」の意味
「ラブラブサンド」は、北海道を地場とする日糧製パンが製造しています。販売開始したのは1984年(昭和59年)9月のこと。全国的には、先行して他社製の類似商品が販売開始されていますが、北海道では日糧製パンの「ラブラブサンド」が初めてでした。ですから、道民にとって初めて味わうことになったのが「ラブラブサンド」だったのです。
道民のみなさんは、手軽さが売りの「ラブラブサンド」を学校の売店やコンビニなどで買って食べた経験があるのではないでしょうか。現在も、本社がある月寒工場でのみ製造されており、ほぼ北海道限定商品となっています。
発売当時のことについて、日糧製パン株式会社 営業本部マーケティング部の杉澤洋史さんは「菓子パンが進化していく中で、食パンのおいしさを広めたい、道民に手軽に食べてほしいと、耳なしのソフトなパンを開発することになりました」と話します。
ところで、なぜ「ラブラブサンド」という名前になったのでしょうか。「当時パッケージデザインを担当したデザイナーからの提案がヒントだったと聞いていますが、同じ単語を2つ重ねることが流行っていた時代です。2枚のパンを圧着させることと、2つ入りであること、仲良く見えること、白くてかわいいことから『ラブラブサンド』になったとのことです」(杉澤さん)。
2013年9月10日には、日本記念日協会に毎月22日は「ラブラブサンドの日」として登録されました。22日は「夫婦」と読む語呂合わせから、夫婦でラブラブサンドをプレゼントして感謝を表してほしい、未婚カップルも仲良く分け合い将来夫婦になってほしいとの願いを込めて制定したと言います。
「ラブラブサンド」はピーナツから始まった
「ラブラブサンド」はピーナツから始まりました。1984年に発売されたのは「ピーナツ」と、まさかの「青りんご」味。その後、様々な味が開発されて種類が増えていきました。1986年2月には「チョコレート」が発売。今も人気度で不動のツートップとなっている「ピーナツ」と「チョコレート」は、発売から2年の間で誕生し、現在まで続いているのです。
同社には発売当初の記録があまり残っていないとのことですが、これまでに発売された味は延べ100種類を優に超えていると言います。例えば、1986年頃のパンフレットには、7種類の「ラブラブサンド」が掲載されており、このころすでにピーナツやチョコレートが定着している様子が見られます。1989年頃のパンフレットには、4種類が掲載されています。
時代に合わせてアップデートし続ける「ラブラブサンド」
2000年6月に「ラブラブサンド」の見直しが行われ、丸いデザインをアイコンにしたパッケージに切り替わりました。その後、何度かパッケージデザインがリニューアルしましたが、丸いデザインは今に至るまで受け継がれています。また同年以降、総菜系も誕生しました。
2009年3月には、コラボ商品の開発が始まります。初めてコラボレーションしたのは、札幌のスープカレー店「らっきょ」。以降、地元北海道の原料や店舗とのコラボレーションが積極的に行われるようになりました。
2000年以降の「ラブラブサンド」の例
(定番7種)
- ピーナツ
- チョコレート
- ジューシータマゴ
- コク旨 焼きそば
- ミルクコーヒー
- ツナサラダ(ジューシーツナ)
- トリプルイチゴ
(これまで開発された商品の例)
- 室蘭カレーラーメン
- りょうおもいかぼちゃのプリン
- ソフトカツゲン入りクリーム
- リボンナポリン風
- 粒あん&練乳
- 175°DENO坦坦麺風
- 板チョコ&3種のベリー
- とちおとめいちご&ミルク
- ハムカツ&マヨ
- はちみつ&マーガリン
- クッキーバニラ
- 十勝あん&北海道ミルク
- 北海道ビーフカレー
- 十勝牛乳キャラメル&北海道練乳
- カリー軒
- マーマレード&ホイップ
- マロン
- 北海道ミルク(アローラロコン)
- 富良野オムカレー
- ひろしとみさえのラブラブサンド メロン味&いちご味(映画クレヨンしんちゃん)
- ピーチホイップ
- バナナホイップ
- バニラホイップ
- 味の大王チーズカレーラーメン風
ピーク時には12~13種類を販売していたケースがありますが、現在は常時10種類程度を販売しています。過去に発売したもののリバイバル版や、トレンドや季節に合わせて様々な味を発売しています。
2000年代後半にはパン生地に色を付けることができるようになったほか、2017年にはデリカ新工場が完成したことにより総菜系の完成度がUPするなど、長い歴史を通じてアップデートを遂げてきました。
北海道内のコンビニ・スーパー・小売店で手に入る「ラブラブサンド」。今後も道民に親しまれるパンとして進化を遂げていくことでしょう。
ラブラブサンドを食べて北海道の若者を応援しよう!
日糧製パンは「ラブラブサンド」の売上の一部を「ほっかいどう未来チャレンジ基金」に寄付する取り組みを2018年から行っており、2019年以来3度目の取り組みを2021年12月1日(水)~2022年1月31日(月)に実施します。「ラブラブサンド」販売1個につき1円が、北海道の未来の若者のために寄付されます。
「ほっかいどう未来チャレンジ基金」は北海道が創設。北海道に貢献する意欲のある若者の海外での挑戦を官民一体となって応援するための取り組みで、支援金は「学生留学」「スポーツ」「文化芸術」「未来の匠」の4つの支援コースにおいて、海外渡航費や滞在費、授業料などに活用されます。