阿寒アイヌ工芸協同組合と釧路市は2021年3月20日および22日、釧路市阿寒湖温泉街のアイヌコタンにある阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」の演目をフルリニューアルすると発表しました。「アイヌ古式舞踊」がリニューアルされるほか、「イオマンテの火まつり」を一新し「火のカムイの詩(ウタ)」の名称でスタートします。
「アイヌ古式舞踊」がリニューアル
一つ目は、ユネスコ無形文化遺産に選定されている「アイヌ古式舞踊」のリニューアルです。アイヌ文化への注目が国内外から注目されている今、より多くの人々にアイヌ文化に触れて理解してもらいたいとリニューアルされました。
リニューアルされた「アイヌ古式舞踊」は、舞台監督を阿寒アイヌ工芸協同組合理事の床州生氏が努めます。秋辺デボ氏、渡辺かよ氏、平良智子氏らが企画し、脚本演出をクリエイティブディレクターの坂本大輔氏が担当します。
新たな公演では、アイヌの伝統儀式「カムイノミ」で用いられる祭具「イナウ」をメインに据え、阿寒湖アイヌの歌と踊りと祈りを主題として構成されています。阿寒湖アイヌが大切にしている火・水・土・風・太陽の5つのカムイ、イナウにスポットがあてられます。
新しい「アイヌ古式舞踊」は、2021年3月21日の公演からリニューアルされます。約30分、大人(中学生以上)1,500円、小学生700円。
「イオマンテの火まつり」は「火のカムイの詩(ウタ)」に一新
これまで3月中旬から10月末まで夜の公演で行われていた「イオマンテの火まつり」はフルリニューアルを果たし、名称も新たになって新登場します。新名称は阿寒ユーカラ「火のカムイの詩(ウタ)」。
リニューアルにより、最新の映像技術と音楽が駆使され、まったく新しい物語として提供されます。阿寒湖に伝わるユーカラのオイナ(阿寒湖に伝わる叙事詩=ユーカラのひとつ)として、「アペヤテンナ」、「フンコフンコ」、「カララト」の3つが登場します。
主題詩となるのが、一つ目の「アペヤテンナ」。火の媼神「アペフチカムイ」が危険の知らせに耳を傾けず、「レプンカムイ(シャチ)」の願いで刺繍をやめて湖へ向かうというストーリー。しかし語られていない部分があり、そこを残る2つの「フンコフンコ」と「カララト」で創作して、全体で一つの新しいストーリーとしています。
舞台監督は床州生氏、脚本演出は坂本大輔氏、映像制作はWOW、音楽はKuniyuki Takahashi氏が務めます。「火のカムイの詩(ウタ)」のナレーションを阿寒湖在住のフチである山本栄子氏、火の媼神「アペフチカムイ」を渡辺かよ氏が務めます。また「オイナ」は、これら3つのオイナの伝承者である四宅ヤエフチ(1904~1980)の孫、平良智子氏が務めます。
「火のカムイの詩(ウタ)」は2021年ゴールデンウィークから公演開始となります。約30分、大人(中学生以上)2,000円、小学生700円。
「ロストカムイ」と合わせて演目がフルリニューアル
既にお伝えしている通り、2019年には阿寒ユーカラ「ロストカムイ」が新登場しており、阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」で行われている三大演目すべてがリニューアルを果たしたことになります。阿寒湖温泉街に行く際は、「イコㇿ」も訪ねてみてください。