波涛。それは大波とか高い波と言う意味があります。激しい荒波にもまれる地域が道内にもあるわけですが、特に「世界三大波涛」の一つに数えられるのが留萌沿岸部です。それほど高波が押し寄せるわけとは?
「世界三大波涛」とは、留萌のほか、インド・マドラス、スコットランド・ウィックの3カ所と言われています。留萌は夕陽の名所であると同時に、日本国内・北海道内有数の波涛の地となります。
留萌港ではどれほどの高波が生じるのでしょうか。留萌港で観測されている波の高さの記録では、1984年10月に12mの高さの波が観測されたことがあります。今でも留萌の海では5m以上の波浪は珍しくありません。
厳しい波浪の影響で海難事故が生じることもありました。たとえば1969年2月5日には、川崎近海汽船の貨物船が留萌港北防波堤付近で座礁、船体が分断されました。この事故で8人が死亡する惨劇となりました。
こうした激しい波に耐えるため、留萌港では国内でも初期のころから築堤を行ってきました。南防波堤は重力式ケーソン構造として1911年に着工し、難工事の末1929年に竣工。その後も改良を続け、現在、留萌港南防波堤には世界最大級の80t型消波ブロックが使われています。こうした経緯から、2010年に土木学会選奨土木遺産を受賞しています。
ところで、なぜ留萌沿岸は波が高いのでしょうか。特に激しくなるのが冬季です。冬には北西からの季節風が強くなり、沿岸部では風速が秒速20m以上になることもしばしばです。年の平均では風速秒速5mほどになります。ですので、冬に留萌を訪れる際は特に注意が必要です。