【函館市】五稜郭駅の北側には、(1)狭い、(2)低い、(3)暗い、(4)危険、(5)怖い、の5つがそろったトンネルがあるという。しかも交通量はその割に多い。その様子から、地元では「お化けトンネル」と呼んできた。果たしてどんなトンネルなのか、実際に行ってみた。
4つの連続する長短のトンネルが交通量の多い理由
場所は、JR函館本線・五稜郭の北約800m。JR北海道函館運輸所青函派出所・函館事業所五稜郭支所、JR貨物北海道支社五稜郭機関区がある場所である。その下をくぐるようにして連続した高架下トンネルがある。
トンネルは東から順に、5m程度の短いトンネル2つ、それより少し長めの15m程度のトンネル1つ、JR関係の施設へ入る交差点を挟んで、100m弱の長いトンネル1つで構成される。両端は交差点になっており、その間の区間、全長200m区間に4つのトンネルがあることになる。
このトンネルは周辺住民にとっては重要な交通ルートである。面積の広いJRの機関区がある関係で昭和地区が分断されており、周辺に踏み切りやトンネルは数少ない。北側に500mいったところに踏切、南側は五稜郭駅北側に人道橋、自動車となると五稜郭南側の道道347号線の跨線橋まで行かないと線路を越えることはできない。そのためお化けトンネルの交通量は多くなりがちだ。市によると一日7000台以上が通るそう。
▼西側出入口
▼トンネルは時代を感じさせる
▼JR機関区への交差点とその付近
▼東側出入口。2011年まではここにもう一つトンネルがあった
高さ1.7m、歩道はあってないようなもの
その交通量の割に、トンネルは狭く低く通りにくく感じる。道路標識にもあるが、この路線は高さ制限1.7mとなっているし、トンネル中央に壁があるためか、さらに狭く感じさせる。当然トラックは通ることはないが、乗用車が多く走り、地元の方は慣れているのか、この狭い空間をかなりのスピードを上げて走り抜けている。
車道はいいとしても、本当の問題は、歩行者や自転車も意外と通るということである。しかし路肩はなく歩道も肩幅あるかないかで、あってないようなもの。歩いているとすぐ横を車がばんばん通るのだから、誰もが危ないと感じてしまうのも無理はない。
さらに、古いトンネルで、コンクリートや鉄骨や立て札が時代を感じさせる。トンネル内に電灯はあっても暗い。昼間であっても暗く湿った感じの内部であり、これが地元住民から「お化けトンネル」と呼ばれるようになった由縁だ。
▼映像
2011年に改修工事を行うも……
そのようなわけで、お化けトンネル(正式名称・市道昭和4-11号線)は危険であるとし、地元住民も2009年に改修を求める署名を市に提出した。そして、2011年11月中旬から12月下旬にようやく改修工事が行われた。5つあったトンネルのうち、現在は住宅地になってトンネルの役目を果たしていない東側の20m級のトンネル1つを撤去するにとどまった。この通りを大幅に拡張するのは困難なようで、お化けトンネルは今後もこのまま存続するのかもしれない。