富良野で”自由で豊かな田舎暮らし”を提案するカフェ&宿「ゴリョウ」

北海道の真ん中にある富良野という街に、まるで異国の地を旅できるような宿がありました。名前はゴリョウゲストハウス。築約90年の古い建物に集まるのは、海外からのゲストさん。ふと目を移すと、お隣にあるカフェ・ゴリョウでは長靴をはいた農家さんが、なにやらお喋りをしています。

ここは、国内外からの旅人さんの非日常と、富良野に住む地元の方々の日常が交差する場所。人々の心休めるこの場所は、オーナーさんご夫婦が3年かけて創り上げた、こだわりがたっぷり詰まったゲストハウスでした。

旅好きオーナーが辿り着いた場所

オーナーの雅樹さんと奥さんのかなこさんは宿を始める前、2人で2年間、世界各地を旅していたそうです。その旅の間には55カ国の田舎をまわり、なんと400軒以上の宿に泊まり歩きました。

そんなお二人は縁あって大阪から富良野に移住してきて、自分たちの好きなこの場所で自分たちができることを考えたときに、カフェと宿を始めることを決めたそうです。

手創りを大切にした、宿のこだわりとは

▼自然の中に佇む、赤い屋根のゲストハウス

当時、人が住んでいなかった廃屋を、大工さん一人とオーナーさんご夫婦の3人で改装を始め、カフェをオープンしたのが2008年12月。その後カフェをやりながら隣の建物の改装も始め、冬はスキー場や農家さんでアルバイトをしながら3年かけて宿を完成させたそうです。

ご自身が世界中を旅していたとき、実際に泊まった宿のお気に入り部分を抜き出して自分たちの宿に取り入れています。例えば宿の中にはフリーキッチンがあって自由に料理することが出来たり、連泊するゲストさんには洗濯機を貸し出したり、Wi-Fiやパソコンが自由に使えたりします。

▼人と人との繋がりでコラボレーションが誕生したオリジナルグッズ

▼北海道の景色を楽しみながら朝の洗顔を

旅人さん同士の距離が近づく仕掛けとは

▼開放的な2段ベッド

特にこだわっているのは、部屋に備えついている2段ベッド。ベッドは広々とさせたり、壁で仕切ったりすることもできますが、あえてそのままの2段ベッドを置いているのは、隣の人の顔が見えることで旅人さん同士の距離がぐっと近くなることができると、ご自身が旅をしていた時に感じたからだそうです。

オーダーメイドで作ったこのベッドと、旅の疲れを癒してくれるこだわりの羽毛布団で眠りつけるのは、旅人さんにとって、とても嬉しい心遣いです。フリーキッチンや顔の見える2段ベッドなど、ゲストさん同士の距離が自然と近くなって、ついお喋りしてしまうような仕掛けが宿の中にはたくさん散りばめられています。

▼温かい灯りの下で自由に使えるフリーキッチン

自然の中のカフェは、暮らしそのもの

この宿のお隣には、カフェ・ゴリョウという喫茶店が併設されていて、お食事も楽しむことができます。夏はほとんど自家栽培の野菜を使い、富良野の農家さんが作ったお米を使用しているそうです。もともと野菜を育てた経験がなかった雅樹さんですが、富良野の環境にいるとその暮らし方は、とても自然なことだったそうです。そうして育てた北海道の食材を使って、旅をしていた時に美味しい!と感じたものを再現して提供しています。

取材中居合わせた、海外からのゲストさんや、楽しそうに写真を撮る女子旅さんたちも、運ばれてきたお食事を口にした瞬間、はっと笑顔になるのがとても印象的でした。

▼木を基調とした落ち着く店内

▼階段を上がると広がる、隠れ家のようなカフェスペース

ゴリョウが届けたいもの

このように、雅樹さんご夫婦は富良野に移住してきてから、庭で野菜を育てたり、家を自分たちで建てたり、今では畑で葡萄を育てたりもしているそうです。

そんなゴリョウのコンセプトは、“自由で豊かな田舎暮らしの提案”。都会で過ごしていた時の、野菜は買ってくるもの、家は建てて貰うもの、という常識を覆してくれるのが、田舎暮らしの味わい深いところだと雅樹さんは話してくれました。

▼ゲストハウスの前に広がる葡萄畑

何度でも行きたくなってしまうゴリョウの魅力

▼窓の外の景色を眺めながら一息つけるカウンター

ゴリョウの魅力は、北海道を感じるこの場所と、隣に広がる葡萄畑の景色。そして、オーナーご夫婦が自らの手で改装したこの素敵な内装と、世界各地で買い付けた雑貨の数々。

目で見ても、写真で撮っても収まりきらない魅力が詰まったゴリョウですが、何よりも惹きつけられるのは、雅樹さんとかなこさんの素敵な旅話。結婚前に二人で旅に出て、世界一周中に辿り着いた、カナダにある世界一小さな教会で結婚式を挙げたそうです。別々の苗字で旅に出て、同じ苗字になって帰ってくる。そんな素敵な旅話は、聴いているだけで頭の中に情景が浮かんで、なんだか自分まで異国の地へ旅しているような、ぽかぽかした不思議な時間を過ごすことができます。

▼異国の香り漂う雑貨たち

今でも毎年1回は二人で旅に出て、観光地ではない世界の様々な地域を回っているそうです。そんな旅好きのお二人に会いに是非ゴリョウに行って、旅先の非日常と富良野の日常を一度に味わってみてください!

ゴリョウ ゲストハウス
所在地:北海道富良野市上御料
電話:0167-23-5139
料金:ドミトリー 素泊まり2,500円/朝食付き3,700円
※朝食は1/4~3/15期間限定の提供
※7泊で連泊割引あり
caféゴリョウ
営業時間:11時~20時(L.O.19時30分)