道央自動車道の深川ジャンクションから分岐し、留萌市までを結ぶ高規格幹線道路「深川・留萌自動車道」の最後の区間が開通し、これをもって全区間が開通しました。高速道路(高規格幹線道路)が全線開通したのは、道内で初めてのことです。
2020年3月28日 15時に開通し大行列
今回開通したのは、留萌市内の留萌大和田IC(ハーフIC)と留萌IC間(延長4.1km)。総延長49kmに及ぶ深川・留萌自動車道の最後の区間として、2020年3月28日15時に開通しました。新型コロナウイルス感染症の影響で、留萌振興局で、予定されていた開通記念式典および通り初めは中止となりました。
終着地点となる留萌ICは、羽幌方面に続く国道232号がJR留萌本線の上を越すカーブ部分を、丁字路に改良。羽幌方面から直進で深川・留萌自動車道に入ることができるようになりました。
沿道では、関係者が「開通」と書かれた小旗を振ったり手を振ったりして、開通を祝いました。丁字路の信号機が稼働し15時を迎えると、開通を待ちわびたドライバーが続々と本線に入っていきました。周辺は自動車道に入る車で大行列が発生。開通から5分後には、下り車線にも車の姿が見えるようになりました。
【動画】映像で見る開通の瞬間の様子&実際に走ってみた
旅行・救急搬送・水産品輸送にも貢献
深川・留萌自動車道は深川市を起点として、秩父別町、沼田町、北竜町(以上、空知管内)を経由して留萌市に至る自動車専用道路です。道央自動車道とは深川ジャンクションで連結しているので、旭川・オホーツク方面や札幌や新千歳空港など道央圏と高速ネットワークを形成します。
深川ジャンクションと深川西IC間、延長4.4kmが開通したのは、1998年4月11日のことでした。その後、同年7月23日に秩父別ICまで延長7.2kmが開通、5年後の2003年7月17日に沼田ICまで延長8.4kmが開通、2005年3月27日に北竜ひまわりIC(北竜町)まで延長7.1kmが開通されました。この北竜ひまわりICは、地名以外の名称がIC名に含まれた、国内で初めての事例として注目されました。
その後、山越えの区間として、留萌幌糠ICまで延長8.9kmが2006年11月26日に開通。留萌大和田ICまでは2013年3月16日に開通しました。終端の留萌IC開通までは、その後7年間の年月を要することになりました。留萌ICまで延伸されたことにより、深川・留萌自動車道は全線開通したことになります。高速道路が全線開通したのは道内初です。
今回の開通により、深川―留萌間は約20分、旭川―留萌間は約30分短縮されることになりました。空知から留萌までの間が走りやすくなり、自動車道を使うことで道央圏との距離が近くなります。旅行者の利用、高速バス等公共交通機関の所要時間短縮はもちろんですが、旭川市内の高次医療施設までの救急搬送時間が短縮される効果も期待されています。全通時点で最大4400台の車両に利用されていて、今後さらなる交通量増が見込まれています。
また、北海道ブランドのホタテ産業のためにも貢献します。留萌管内海域の海流や地形が稚貝育成に好条件とされており、北海道東部の別海町野付といった道内ホタテ生産地へ供給されるホタテ稚貝の輸送時の速達性が向上します。そのため、従来は翌朝に放流しなければならなかったものが、輸送時間を180分短縮することにより、当日中に放流できるようになりました。
もう一つは、道内水揚げの約7割を占める留萌産甘えびを輸送する際の速達性も向上します。留萌産甘えびは、東京市場では主要産地の水揚げが少ない時期に安定供給を行う役割を担ってきました。東京市場のせりにかけるには、水揚げ当日の新千歳空港からの空輸が必要でしたが、深川・留萌自動車道開通により新千歳空港発の最終便に間に合わせることができるようになります。
留萌振興局(留萌合同庁舎)では、エントランスで全線開通をPRする取り組みが実施されました。留萌管内にとって念願の全線開通であることがひしひしと伝わってまいります。