異色の地域活性化が注目を集めています。それはオーストラリアの国鳥であるエミュー事業です。そもそもエミューって何なのかというところからはじめましょう。
エミューとは?
世界最大の鳥類はダチョウですが、第2位のサイズがエミューという鳥です。もちろん飛ぶことができません。体の高さは最大2m、体重は50kgほどになります。雑食性。もともと気温差のある砂漠で生息していますから、寒暖の差に強い北海道でも適応できるというわけです。
しかも飼育が比較的簡単です。さらに、活用方法がたくさんあります。代表例はエミュー肉。高タンパクで・低カロリーで、鉄分は豚肉の約4倍とも10倍ともいわれます。鹿・馬に似た食感で、くせがないので食べやすい肉ですので、いろいろな料理に活用されます。詳細料理は後述します。
卵もサイズがビッグ。殻の色は深緑色で、アレルギー体質の人でも食べられるとか。また、オイルは保湿効果があります。羽根も寝具に活用でき、骨や皮、内臓も加工品に活用できる可能性があります。
日本初の畜産の地・下川
エミューは動物園では結構飼育されますが、畜産としては近年になって飼育されるようになっています。実は日本で初めて畜産として導入されたのは1996年(前年に試験的飼育)、下川町・一の橋地区の今井氏でした。アメリカ・モンタナからエミューとともに移住し、「エミュー牧場」を開設しました。
エミュービジネス創造最先端の地・網走
エミューを飼育して新たなエミュービジネスに取り組んでいるのが網走市にある東京農大バイオインダストリーです。先に述べたように、エミューは肉から羽根、エミュー油まで、あますところなく活用できるため、加工産業などで経済効果・雇用効果も生まれます。
食としては、現在、網走市内のショップで様々な食品が販売されています。「エミュー生どらやき」は、中でも大人気商品です。ただし卵を使うため、産卵期の冬季しか販売されません。「エミュープリン」も同様にエミューの卵を使った商品なので主に期間限定です。
デザートのほか、エミュー肉では「エミュー寿司」や「エミュー竜田揚げ」、「エミューコロッケ」「ソーセージ」「ハンバーグ」「カルパッチョ」「肉まん」などを開発してきました。2009年10月には市内ホテルで道内初となるエミュー肉常時メニューを提供し始めました。
エミュー牧場も観光スポットになります。網走市稲富には「エミュー牧場」と呼ばれるエミュー飼育場があります。市内では金融危機のためにエミュー飼育も始めた会社があります。政府のエミュー事業にもなり、こうした産官学連携により、飼育数も増加し、軌道に乗りつつあります。