北海道らしい「おやつ」のひとつに「焼きトウキビ」があります。じゃ
がバターのように、作物をそのまま使用する、農業王国北海道ならではの
ものですね。※さとうきびではありません。
そもそもトウキビって?
北海道外の方ならわからないという方も多いかもしれません。標準語で
いうと「とうもろこし」になります。とうきびは、北海道の方言であり、
また国内のいくつかの地域でも使用される言葉のようです(道内の一部、特
に道南では「とうきみ」と呼ぶ人もいるそうです)。
「とうきび」で慣れ親しんできた道産子は、方言だったことを知っても、
とうもろこしはいいづらいという事で、「とうきび」を一生使う人が多い
わけです。もちろん、公式では「とうもろこし」と標準語で書きますが。
とうもろこしには種類があって、「スイートコーン」と呼ばれるものが、
普段食用となるとうもろこしです。一方、「デントコーン」というものも
あって、それは家畜用となります。
ピーターコーンという品種は定番で、黄色と白色が3対1の割合で並んで
いるもの。うま~いし、甘ぁ~いです。収穫した瞬間から徐々に甘味が少
なくなっていきますので、収穫したてのとうきびがおすすめです(8月から
9月頃の収穫期)。
実は北海道、とうもろこしのスイートコーン生産量・収穫量が日本一!
なのです。国内生産の4割程度が北海道です(その中の1位は芽室町[めむろ
ちょう])。それだけじゃない、おいしさも日本一とされています。その理
由とは?
北海道産とうもろこしがうまい訳
北海道産のとうきびが甘いのは、1.日照時間が長い、2.昼と夜の気温
差が大きい、という理由があります。まぁ、いくつかの北海道産の食物が
うまい理由と一致します。太陽光を十分に受けて光合成するから、糖分が
蓄えられて、夜は気温が低いから糖分が失われないのです。
北海道でとうもろこしが栽培されるようになったのは、開拓時代のこと。
ポルトガル人が16世紀に伝えたものではなく、開拓使と屯田兵の時代に、
アメリカから輸入したのがはじまりでした。
かつて1960年ごろまでの道内は、ピーターコーンではなく、「札幌黄八行」とか「八列とうきび」(写真)と呼ばれる、つまり8列にきれいに
並んでいる細長いとうきびが主流でした。いまは道内でも一部で夏季限定販売していたりしますが、滅多にみることはない貴重な存在。開拓時代からのとうきびとして、ご年配の方々にはなつかしいもの。
収穫したとうきびを、天井につるして乾燥させ、冬に備えていた家庭もあ
ったようです。この八列とうきびは食品の世界遺産「味の箱舟」に登録されています。
とうきびといえば「焼きトウキビ」!
焼きとうきびや茹でとうきびで育つ人が多い北海道。晩夏の風物詩とも
いえる「とうきび」です。「しんとして 幅廣き街の 秋の夜の 玉蜀黍の
焼くるにほいよ」は、有名な石川啄木のうたです(大通り公園西3丁目)。
札幌ではその時代から今にいたるまで「焼きとうきびの香る街」です。
特に大通り公園は有名で、屋台が開かれて1本300円でご提供です。焼きと
うきびの作り方はいたってシンプルで、しょうゆをはけで塗りながら、焦
げ目がつくまで焼いていくというもの。ご家庭でもできます。
今年の夏も、焼きとうきび、もしくは茹でとうきびに挑戦しましょう。
道内をドライブすると、路肩の屋台で売っていることもありますよ。