【中札内村】「道の駅なかさつない」の一角には、水色の屋根を持つオシャレな建物がある。その名は「ビーンズ邸」。どうやらビーンズさんという豆研究家の自宅だとか。館内に入ると至る所、豆尽くしである。農業王国十勝ならではの、豆に詳しくなれる博物館だ。
ビーンズさんとは
そもそもビーンズさんとは何者なのか―、そこから説明する必要がある。本名は豆畑拓男、通称ビーンズさんという。実は彼、架空の人物。職業は豆栽培・豆研究家。秘境探検、旅行、釣りを趣味とする中札内村在住の34歳独身男性という設定だ。ただ、畑仕事を共に行うフランス人女性ミシェルと同棲している。
豆栽培で成功した家に生まれ、大人になってから新種の豆を探しに世界各地へ旅に出た。世界中の豆を知ったビーンズさんは、十勝の豆が世界一素晴らしいことに気付く。その後、生まれ故郷の十勝で、豆栽培、品種改良や研究に情熱を注ぎ、十勝の豆の魅力を知ってもらおうと、自宅「ビーンズ邸」を開放しているという。
豆資料館・ビーンズ邸は昭和27年築
ビーンズ邸は1952年に帯広市幸福に建築された、旧農林省馬鈴薯原原種農場(独立行政法人種苗管理センターとかち農場)の事務所棟を、2004年8月に購入し移築、2005年8月2日にオープンした。
とかち大平原交流センター(帯広市)とふるさと歴史館ねんりん(芽室町)と連携した「とかち田園空間博物館」として運営する。豆王国十勝に相応しく豆をアピールするべく、豆資料館として整備。洋館の建物で、より柔らかい雰囲気にするため「ビーンズ邸」と呼ぶことにした。
建物エントランスに至るアプローチから豆。気づく人は気づくが、玄関に至る通路の両側に豆で栽培されている。館内の展示資料の数々は、1988年~2000年まで山忠菅岡商店(帯広市)本社倉庫に存在した私設資料館「豆の問屋の小さな資料館」の豆関連資料約2000点を村が購入したものだ。
世界の豆180種類を集めた研究室も
館内は「前室」「リビングルーム」「キッチン」「研究室」「資料展示室」の5つの部屋で構成される。エントランスからスリッパに履き替えて入館すると、廊下にはこの建物の生い立ちを紹介する展示や中札内の風景を展示。
「前室」である書斎はビーンズさんの趣味の部屋。開放感ある「リビング」は、雑貨や家具など、豆に関係した品々で埋め尽くされる。豆遊びもできる、くつろげる空間である。
通路でつながる離れの「資料展示室」は、豆の流通に関わる、手廻し計算機・小切手印字機を含む各種検査道具、農機具、商店の服装や看板、帯広運送社や商店の請求書、買掛帳簿や売買帳簿など記録文書、十勝の鉄道写真パネルなどを展示。かつてこの地で行われていた豆栽培の展示が見られる。
「キッチン」は、豆を使った料理などレシピを添えて紹介している。そして最後の「研究室」は、世界の豆を180種展示している。
この豆資料館を訪れれば、十勝の豆栽培の歴史だけでなく、豆についていろいろ学べること間違いなし。くつろげるソファなどもあり、ゆったりと自宅にお邪魔している感覚で楽しめるはずだ。
▼中札内村豆資料館ビーンズ邸
河西郡中札内村大通7-14 道の駅なかさつない
開館時間:4~10月を除き毎週月曜日と年末年始休館、10:00~17:00
公式サイト