【清水町】 十勝のキレイな水が生み出される源のひとつ、日高山脈のふもとに位置する清水町。そのキレイな水が、十勝らしい雄大な景観で行われる酪農と畑作を支えている。
清水町の地名の由来は、アイヌ語の「ペケレベツ」つまり「清い水の流れるところ」。それほどこの地は、キレイな水と切っても切れない関係があるのだ。では、なぜ清水町でキレイな水が生み出されているのだろうか。その謎を解くキーワードが「麦飯石(ばくはんせき)」というものである。
清水町の地下にある天然のろ過装置
「麦飯石」は、花崗岩(かこうがん)の一種。石の表面が麦飯のように見えることが名前の由来となっている。そして、よく見てみると、表面に小さな孔が多く観察できる。そして、目には見えないが、ミネラルを多く含んでいる石である。
この石は、古くから中国では皮膚病を治す漢方薬としても使われ、日本国内でも漢方薬石に認可され、健康に良いというイメージがついた。現在は健康グッズも多い。
前述の通り多くの孔があるため、自然の中では、地下水などを浄化し、匂いを取り除く。こうした巨大で天然のろ過装置によりキレイな水が生み出される。実は、清水町の地下一帯にはこの麦飯石が多いとされている。つまり、日高山脈に積もった雪が長い年月をかけ地下水となるが、麦飯石で浄化されてキレイな水となり、清水町をはじめ十勝平野を潤しているのだ。
「『十勝千年の森』は麦飯石の上に乗っています」
清水町内の森では麦飯石を観察することもできるが、最もわかりやすい例として、十勝千年の森内に置かれている作品「カムイのサークル」(板東優・2002年作)がある。草原に設置された作品は、巨大な麦飯石で構成される。施設内では「十勝千年の森は麦飯石の上に乗っています」という説明書きを見ることもできる。
そして、同施設の売店では、施設内でとれた麦飯石が400円で販売されているので、気になったら買ってみるのもいいだろう。水に入れると浄化され美味しい水が出来上がるという。また施設内のレストランやカフェで使う水ももちろん麦飯石で浄化された地下水を使用し、美味しい料理を提供している。
清水町の名にふさわしく、清水町の水はキレイだ。麦飯石という天然のろ過装置によって生み出されたきれいな水は、いまも十勝の農業と酪農を支えている。