北海道の滝を調べていると、秘境めいた場所にもかかわらず、難なく滝を見ることができる場所は意外にも多いものです。中でも、道東は十勝総合振興局北東部に位置する足寄町には、北海道内の町の中では一番の面積を誇るだけあって多様な形の滝を楽しめます。
今回見に行くことができた滝は全部で7つ。そのほとんどが極端な装備や遡行などせず、地図を片手にハイキング感覚で見に行ける滝です。
▼足寄町の7滝の位置関係図
オンネトー湯の滝(オンネトーゆのたき)
オンネトー湯の滝は、雌阿寒岳や阿寒富士の西麓に広がる原生林内にあり、2000年(平成12年)には「オンネトー湯の滝マンガン酸化物生成地」として天然記念物に指定されています。
オコタンペ湖、東雲湖と共に、北海道三大秘湖に挙げられるオンネトー。その南側にある駐車場から約1.4km歩くことになりますが、道は管理道路として整備され歩きやすく、観光地として多くの人が訪れています。
▼オンネトー湯の滝、高さ20m、幅8m
白藤の滝(しらふじのたき)
国道241号線の釧路市との境にある足寄峠の近くにあり、オンネトーへ向かう道道664号線との三叉路からは北へ約2kmの地点の道路脇に看板があります。
看板から600m程の林道を進むと車を止められる場所があり、そこから沢に向かって急斜面を下りていくことになります。崖の上から真っ直ぐに落ちる水と、その横に見られる赤茶色の柱状節理を間近で楽しめる滝です。
▼白藤の滝、高さ12m、幅4m
トブシの滝(斗伏のたき)
国道242号線沿いにあり、看板と車を停められる場所も注意していればすぐに発見できます。駐車場からも確認できますが、滝の近くまでも容易に行くことができます。滝自体小さくも複雑に流れ落ちる水の動きを楽しめます。
▼トブシの滝、高さ6m、幅2m
屏風岩の滝(びょうぶいわのたき)
トブシの滝の駐車場から脇へと伸びる町道斗伏線を約300m進むと、民家の倉庫壁に入り口看板があります。入り口看板から林道を2km程行くと、大きな鹿防除用の金網柵があり、それを通過していくことになります。
屏風岩と呼ばれる大きな崖沿いを進むのですが、落石やスズメバチの巣などに注意しなければいけません。滝の高さはないものの、豊富な水量が落ちる迫力と、滝の上へも簡単に行けるので、様々な角度から滝を楽しめます。
▼屏風岩の滝、高さ5m、幅15m
白糸の滝(しらいとのたき)
国道242号線から道道468号線へ入り、約6km程進み右の砂利道へと入ると、滝への看板が確認できます。道道から入る場所に以前は看板があったようなのですが、現在はなく地図と走行距離を確認しながら進まないと通過してしまいます。
車を停められる草原から探勝路を5分ほど歩くと滝の正面に出ます。水が複数の細い筋となって流れ落ちる様は、繊細な美しさを感じることができます。
滝上部には川の流れは無く、地面から水が湧いているという珍しい現象を見ることができます。
▼白糸の滝、高さ12m、幅5m
巨岩の滝(おおいわのたき)
道道88号線を北上し途中左の林道へと入り約9km進むのですが、途中に芽登温泉や糠南ダムを通過することになります。林道の左に看板がありますが、駐車場は無いので車は路肩へ寄せて停めることになります。
看板から100mほど歩くと滝の上へ出ますが、急斜面を注意して下りると滝の正面にも出ることができます。川の真ん中にある巨大な岩に流れが分けられ、左右それぞれ違った滝の姿を楽しめます。
▼巨岩の滝、高さ10m、幅15m
美里別の滝(びりべつのたき)
道道88号線を巨岩の滝よりもさらに北上し林道へ入るのですが、現在は通行止になっています。そのため別の林道から入ったのですが、非常に荒れた道でしたので、普通の車両での進入はやめたほうがよいでしょう。
林道を約2.5km進むと左に滝まで400mという小さな看板があり、その道を進むのですが行き着いた先に滝はなく、途中車を降りて、木の枝に結ばれているピンクテープを頼りに藪の中へ入らなければなりません。
5分程歩くと滝を見下ろす崖の上に出ます。下流方向へ行くと、川へと降りれる場所があり、遡行すれば滝の正面に行くことができます。
▼美里別の滝、高さ10m、幅10m
今回、1日でどれだけの滝を見てまわれるものか挑戦したのですが、滝の場所の情報が乏しいこともあり、結局丸2日かかってしまいました。しかし、事前に場所さえ分かっていれば、1日で見てまわることは可能でしょう。場所によっては、危険なところもありますので十分に注意して、ちょっとした探険を楽しんでみてはいかがでしょうか。