釧路から国道44号線で根室方面に車を走らせ厚岸湾に出ると、遠くからでもはっきりと見える真っ赤な橋。それが厚岸大橋(あっけしおおはし)です。
この大橋を渡るだけでもよいのですが、厚岸大橋はもとより厚岸湾、厚岸湖、厚岸市街地を一望できる展望台があります。今回は、見晴らし抜群!厚岸の展望台「お供山展望台」をご紹介します。
北海道初の海上橋「厚岸大橋」
厚岸大橋は道道123号別海厚岸線の橋で、厚岸郡厚岸町の厚岸湾と厚岸湖の境にかかっています。長さは456.5mで、1972年(昭和47年)9月に北海道で最初の海上橋として開通しました。
▼真龍岸壁(しんりゅうがんぺき)から見た厚岸大橋
2009年より、床版補修や橋面防水、舗装、トラス部分の塗り替えなど全面補修が開始され、現在(2016年11月)もまだ工事は続いています。厚岸町役場によると、2017年2月まで工事が行われる予定です。
▼湖北地区から厚岸大橋を見た写真
【動画】厚岸大橋を渡ってみた
お供山展望台から厚岸を一望!
厚岸大橋を湖北地区より湖南地区に渡ると、向かって左前方に見えるのがお供山(おそなえやま)です。お供山の頂上には展望台があり、厚岸の町並みや厚岸大橋、厚岸湖などを眺めることができます。厚岸大橋まで行ったのならぜひ登ってみましょう。
▼湖北地区から厚岸大橋を渡ると左前方に見えるお供山
▼お供山の頂上に展望台が見える(写真提供:厚岸町役場)
お供山の登り口は、湖北地区から厚岸大橋を渡って2つめの十字路の左側奥にあります(上記動画でも場所は確認できます)。厚岸大橋を渡ってすぐ(約300m)ですし、上部にお供山展望台入口とかかれた看板が出ていますのですぐにわかると思います。
駐車場はお供山とは逆方向にあります。つまり厚岸大橋を渡って2つめの十字路を右に曲がります。少し走ると若竹第一埠頭にたどり着くのですが、埠頭の手前、進行方向の左手に広い空き地があり、そこが駐車場になっています。上部の看板には駐車場のマークが出ていますが、実際にそちらに行っても駐車場という看板などはないので注意して下さい。目印は、進行方向右手にある公衆トイレです(公衆トイレは12月から3月までは閉鎖)。
▼お供山展望台への登り口
駐車した若竹第一埠頭からお供山展望台の登り口までは約400m、歩いて5分少々で到着します。お供山展望台の登り口は住宅の裏にあり、細い階段を登っていきます。この階段はかなり急です。途中から山道になり、凸凹もかなりありますので、革靴やヒールなどでは少し大変。山登りするという気持ちで靴も備えていった方がよいかもしれません。
▼住宅街の裏から急な階段で登っていく
階段、登山道を10分から15分ぐらい歩くと頂上に到着します。頂上には木で組まれた展望台があります。
展望台からは厚岸町市街、厚岸大橋、厚岸湖などが見渡せ、なかなかの絶景。
▼お供山の頂上の展望台(写真提供:厚岸町役場)
▼展望台から見た厚岸大橋
注目すべきは、厚岸湖にポツンと浮かんでいるように見える赤い鳥居。
厚岸湖には以前60以上の牡蠣島がありました。ちなみに牡蠣島とは牡蠣が自生していたことからそう呼ばれていたのですが、現在では牡蠣がいなくなり、代わりにあさりが採れるようになったのであさり島と呼ばれているのだそう。赤い鳥居は、そうした牡蠣島のひとつに建てられたもので、この島は弁天島と呼ばれていました。
以前は面積が広く、保養館という建物や料亭もあったそうですが、地盤沈下で島がどんどん小さくなって、現在は鳥居とほこらが見えるだけとなってしまいました。
▼展望台から見える鳥居と社
▼弁天島
また、お供山にはチャシ跡群があります。チャシとはアイヌ語で砦、城、柵囲いなどを意味します。お供山には4つのチャシ跡が残っており、近世アイヌ期(17~18世紀頃)の遺跡と考えられています。展望台の手前にあるのが「鹿落しのチャシ跡」です。こうしたチャシ跡群は道内でも非常に珍しいとされているので、お供山に登った際にはぜひチェックして、悠久の時を感じてみてはいかがでしょうか。
▼お供山頂上にあるチャシ跡
地元の人はきっとあたりまえに利用しているであろう厚岸大橋。そして日常の中で何気なく目にしているであろうお供山。それらの中に息づいている歴史に改めて注目してみると、いつもの風景が少し違ったものに見えてくるかもしれません。近くを訪れた際は、ぜひ橋を渡って山に登ってみてください。
参考文献:
厚岸町史、公式ウェブサイト